詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

空の色を湛えて

2016-04-23 | フリー Poem
少女の空には
いつも青空が拡がっていた
どんなに曇った日も
雨が続く日も
少女の空は青く澄み渡っていた

でもある日少女の空は
だんだんだんだん狭くなり
青い点線にまで小さくなった

少女の体に流れる血管が
細く細く脈打つのと同じように
少女の青空は
小さく小さく
静かに静かに脈打った

少女の涙は
空の色をかき消しは
しなかった

青い点線のような空の道は
地平線の向こうの
ずっと見えなくなるどこかに
つながっていて
辿っていったら
明日の空につながっている

涙はレンズになることを
知っている?

点線の空を歩きながら
少女の空は
青い海を映すほどの
大きな丸い青空になっていく
少女の涙は
空の色を湛えて



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夜は 悲しみを連れ去っていくものだと

2016-04-21 | ひとひらのPoetry
夜は 悲しみを連れ去っていくものだと
教えられた。
繰り返し訪れる夜。
繰り返しやってくる朝。

もうじき明ける朝の物音を聞きたくて。
そこには光が届けられるからね。
光がたくさん入るカップを用意して
横になって。

子供に添い寝したあの晩のように、
いつまでも そっと
お話しながら朝を待っている。




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俺の引く線の向こうには

2016-04-14 | フリー Poem
空に直線を引きたくて、
男がそう言った

だから電線工事の仕事屋をはじめたんだ、

直角を出すのが難しくてね。
そうさ、捕まるところの無い、
足場のない、
空中にだよ、
一体どうやって直角定規を当てると言うんだい。

だけど、俺には持って生まれた感覚があるんだよ。
鳥が飛べるようにさ、
猫がクルッと高い所から、いつだって着地できるようにさ、
ミュージシャンの耳に音がなだれ込んでくるように
俺の目には幾筋もの線が空から降りてくるんだ。
空は、自分が球形なものだから、
たまには直線を引いてみてくれというんだ、
憧れているらしい。

だから俺は、空に電線というやつで、線を引く。
こっちの空にも、あっちの空にも。
どうだいって、たまには空に出来を聞いてみるが、
ゴキゲンな時もあれば、そうでない時もあるみたいさ、
そりゃね。
けれど、紅をさしてみたり、雨を降らせてみたり。
そして、その調子だ。って、いつも言ってくれるのさ、
空はいいやつだから。

1人、2人、時々俺と空のやりとりに気づく人間がいて、
なにやら電柱の下の方で会話しだす時がある。
そうだよ、空の線、
みんな怖い顔するのをやめて、見てごらん
家に帰る前にね、見上げてみたらいいさ。

空がほんのちょっと、笑って見えたりするものだ、
俺の引く線の向こうには。



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夕陽が美しいのは

2016-04-14 | ショートPoem
夕陽が美しいのは、
皆が悲しい絵の続きを描かなくて済むように、
絵の具を置いていくからかもしれないね。
だから夕陽は、空に
皆からもらったたくさんの色を塗って、
毎日見たことも無い美しい夕焼けを、
描いて見せてくれるのかもしれないね。
朝、透明な光に包まれて、
また素敵な日がはじまるように。



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月は1つ

2016-04-14 | ひとひらのPoetry
地球にとって、月は1つ。

余所の土地に行って、
空に上ってくる月に
感動したことがあった。

どこにいても同じ月を
見ることができる。
国が違っても言葉が違っても、
この空は繋がっていると
感じ入ったことがあったが。

月の光はたくさんの人の心を照らす。
…そして、1つ、と思っていたら、
月は見る人の数ほど
本当は、空にあるのだね。



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夢を釣り上げて

2016-04-14 | 詩を歩く
多くの人の心に生き続けている言葉がある。
音楽がある。絵がある。
いのちと同じように、”希望”というものが
繋っていくのだと思う。

時間というのは、1本の流れではないのかも
しれない。渦を巻くような流れや激流も
あると思う。激しい流れは、時間を飛び越え、
現在や未来に届く…。

時間を遡り宝物を釣り上げる。
しかしそれは、本当は反対なのかもしれない。
過去へ投げかける釣り糸は、考えてみると、
過去から未来へ投げられた糸。
過去が未来に泳ぐ魚を捕まえているのだと。

時間はいつも過去と明日へ足をかけている。
生きるということは、すでに明日の希望を
生きていて。時間は夢を釣り上げていく、
今を歩くことからはじまる夢。



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芭蕉の桜に

2016-04-14 | 詩を歩く
「さまざまなこと思い出す桜かな 芭蕉」

芭蕉の胸中に思いを馳せるが、
はるか昔に発せられたこの短い言葉は、
現代の私たちの記憶の時間にも触れてくる。

あえて、"さまざま"と詠む芭蕉の句。
何でもないような日常語の言葉にも思えるけれど、
深い共感を呼ぶ。
読み手の心に記憶された時間を呼び覚ます。
実に多くの場面が、この言葉によって、
映画の1シーンのように流れだす。

芭蕉の、奇をてらわない言葉には、
何という生命力が潜んでいるのだろうと思う。
…人の記憶や五感を目覚めさせる言葉、
過ぎた時間を生き生きと喚起する言葉に、
しばらく打たれていたい。
桜の花びらが降りしきる、そんな風の中に立ち。



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いつも空といる

2016-04-14 | トークタイム
空ばかり見ている時がある。
風に吹かれて、風を感じて。
風は無色、
無色の中に数え切れない色があり声があり。
青空を待ち曇り空を待ち雨を待ち。

雲の流れを追っていると、鳥が不意に現れる。
奇跡のような訪れは、空の下にいつも生まれる。
どこまでも続く空。過去現在未来を繋ぐ空。
空といる。背中を押されては立ち上がり。
いつも空といる。



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恐れないで…という曲があった

2016-04-14 | 小林万利子/Arim songs 歌&歌詞

恐れないで…という曲があった

どんな歌だったかと
思い出そうとするけれど
探すことさえ 今は叶わない

時々  人生というのは
嵐のような日がやってきて
開け放してあった窓やドアを
吹き飛ばしていってしまう

雨が降りやまない
横殴りの風が  家の中と外を
行ったりきたりしている

家の前の商店街には
ヘビーメタルなロックが
毎日  流れている
こんな雨の日にも

今日も空を見上げて
涙を  雨に隠している

涙が途切れるまで
いつものように

恐れないで…
うろ覚えの
1フレーズを歌いながら♪


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