詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

また 地球が一回りするたびに

2015-03-25 | フリー Poem
また 地球が一回りするたびに
宇宙のかけらが
おちていないかと 思うんだ

今日も 一人で
1つ2つと かけらを
探して歩く

夕映えに包まれる
地平線のむこうに
あなたは どんな宝物を
見つけていますか

ふりそそぐ光のなかを
―それは時間の粒子でも
あるのだけれど
私たちは 歩いている
どこへ向かって

水なかを回遊する
イルカのように
この大きな水の星に
生まれた私たちも…

星は球体だから
消えたと思った光も
反対側から
また巡ってくるね

宇宙の回転運動は
地球の空なかに
水しぶきを上げ
水玉をころがし
動かぬ石も
ころがし ころがし
丸くしていく

魚も鳥も動物も
生物は放物線を描いて
飛び立つ夢を
胸の内側に秘めて

人間の心も
時間という光を
何度もあびて
まあるく ころがり
そして あなたの
そして 私の
手のひらに
大切なものとして
そっと 包まれる

この地上に出会えることの
不思議に気づいたとき
だから…
道ばたの丸い石を
時々 拾ってみたくなるのだ



ありがとうございます。応援してネ♪
にほんブログ村 ポエムブログ 現代詩へ
にほんブログ村

空へ

2015-03-12 | ショートPoem
空へ
そんな時間がきた
悲しみ色が
何色であるのか
わからなくなるための夜

そんな夜を越えていくたびに
涙は涸れるものかと思ったが
そうではないことを知った
星の見える見えない
千回もの夜が 過ぎ去り

新しい夜を数えながら
星の数を数える人の
横に立ち
今は 黙って黙って
動いていく時を見守る

星の瞬きは
心臓の鼓動によく似ていて
誰かの心の音が
穏やかに 時を打てるように
耳を澄ます

夜空の下に
ひとりぼっちじゃないことを
優しいまなざしで
星を見上げている人たちが
いることを感じて



ありがとうございます。応援してネ♪
にほんブログ村 ポエムブログ 現代詩へ
にほんブログ村

刻まれた日に

2015-03-12 | ショートPoem
ときどき、何も
言葉がでないときがあって

言葉に魅せられた者の一人として
言葉は
輝くものに近づいたり
遠のいたり
風を止めたり揺らしたり
芽吹きを知らせて
永遠を小さく切りとって
誰かにうつくしいよ
なんて見せあったりできるのに
今日は
言葉の前に
ひざまずき
ひざまずき
まだなにも…
世界を
映し出すことができず
大事な人たちの
心を膨らませる言葉を
みつけられずに
刻まれた1日が
深夜になろうとして



ありがとうございます。応援してネ♪
にほんブログ村 ポエムブログ 現代詩へ
にほんブログ村

鳥の声が

2015-03-06 | ひとひらのPoetry
鳥の声が 翻訳できたら
いいと思うんだ

今日は 鳥が1時間くらい
ずっと 窓の外で
鳴いていた

何を伝えたいのだろうと
思って
聞いていた

羽の生えているものが
そばにきてくれるのは
それだけで うれしい

よい予感に充ちていると
思えないかい?



ありがとうございます。応援してネ♪
にほんブログ村 ポエムブログ 現代詩へ
にほんブログ村






忘れっぽい天使 パウル・クレー

2015-03-02 | フリー Poem
忘れっぽい天使がいる
忘れっぽい天使が降りてきた
今日から
忘れっぽい天使が
そばにいてくれることになった

天使は何を忘れるかって?
けんかしたこと
悪口いったこと
怒ったこと
泣いたこと
そして後悔した真っ暗な夜のこと…

ダメだダメだと
肩を落としていると
忘れっぽい天使はやってくる
羽を拡げ
大切そうにしまってある
天使専用のビデオを見せてくれる
楽しい時間が私たちの鼓動に
なるんだよ
いつだって つづきは
つながっていくんだよと言って
天使の秘密

天使は忘れない
私たちの胸を塞いでいる悩みも
きっと 解決していけることを
楽しくて幸せな時間が訪れることも
人間は仲良くやっていけるものだ
と信じて
だって それしか
記録をもたないのだから

天使が降りてきた
今日は特別な日
忘れっぽい天使が
いつもそばにいてくれる
素敵な時間が
はじまっていく



ありがとうございます。応援してネ♪
にほんブログ村 ポエムブログ 現代詩へ
にほんブログ村


すべては、つづき

2015-03-01 | ショートPoem
山道を歩きながら
いろいろな場所にさしかかる
避けて通れぬ道もあって…
だから、険しい断崖も
通っていくしかない

だが 足元に咲く花に
貴方は気づき
私は気づき
美しい道はつづいていること
を知る
同じ道を歩いていることを
知る

傷つきながら
小さないのちに心を寄せて
通り過ぎていく後に
一輪が手折られることなく
あの美しい夕陽の中で
風に揺れているのを
知る


ありがとうございます。応援してネ♪
にほんブログ村 ポエムブログ 現代詩へ
にほんブログ村