詩の現場

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水は、花になりたかった…

2018-01-04 | フリー Poem
水は、花になりたかった
青々と草の繁茂する土にたどり着き
では、来てごらんと、
木々や野草が水を思い切り吸い込み
枝の先へ上昇させていった

まもなく、水は白い花や黄色い花や
青い花、赤い花と一緒に誕生し
再び、青空を見上げた

水は風になりたいと
空に頼んだ
すると、ふっと力強い風が起きて
水は、風の船に乗り込み波間を泳いだ

そのうち風の流線形を真似た
羽が生えてきて
水は鳥のように
風を孕み包まれ
風の卵にように
空を渡っていった

ある日、
色とりどりの花が枯れ朽ち、
人けのない公園の木立に降り立ち
水は、もう1度花になりたいと
囁やいた

夜の公園に
そっと噴水を出す
冬の朝、
一面に、氷の花が咲き

陽射しの黄色い光に溶けだしながら
水は、時間になりたいと思った、
そして、夕陽を照らす鏡のような
川になって、流れ出した



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