詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

なんだか、熱を帯びている

2016-08-28 | フリー Poem
いつかの帰り道
通りを吹き抜けていく炎天の風に
火傷しかけたことも
あったけれど

熱くて
ちょっと重たくて
アンニュイな息遣いの聞こえる絵から
吹いてくる風が
今もずっと続いていて
だから、そう
なんだか、熱を帯びている

知っている?
湿り気のある風は
砂漠では神様がもたらす風と
言われている

ここは、砂漠ではないけれど
あまりにも悲しいことがありすぎて
植物のように
体に溜めて光っていた雫は
小さくなって
もうじき消え入りそうになっていて

かつて大地に流れたたくさんの涙は
そろそろと集まってきて
空に合図するのだろう
今にも雨を連れ立つような風を
重たい熱を帯びた風を運んできてと

人間と植物の違いは
何だろう
きっとね、心に貯めた思いを
言葉で話し出すかどうかの違い
だから、

植物のように
体に溜め込む ひと滴(しずく)に
いつも恋い焦がれているけれど
そこには光る言葉が眠っていて

人間が人間の心を取り戻すために
熱くて
ちょっと重たくて
アンニュイな息遣いの聞こえる絵から
湿り気を帯びた風が吹いてきて
人間の言葉をつないでいく



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星あかりに照らされて、

2016-08-26 | ショートPoem
星あかりに照らされて、歩いている。
星を見上げる一人ぼっちの影を、
夜は、集めて回っている。

光が、貴方を見つけては、伸びる影。
夜は、みんなの影を抱えきれなくなるほど
集めると決まって、魚の放流のように
そっと手放す。

すると、影は光の真似をして
光りだすものだから、
朝が、日が昇る前から輝きはじめる。

一人ぼっちで、星を見上げていた夜の
静寂(しじま)に溶けこむ影は、
星あかりに産み落とされた卵のように、
光りだす。



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きみと僕のはじまり

2016-08-19 | ショートPoem
ロジャーという名前の友達がいた
どこで知り合ったのだったっけ、と
思い出す

いつも、買い物に行くスーパーで
たまたま、レジの前で
横に並んだ

ロジャー、
きみは、僕の前に立っていながら
後ろにいた僕のカゴに
興味を示したんだ

卵が6コと
牛乳と
ソーセージが入った
僕のカゴ

僕もロジャーの視線が気になり

僕たちは二人で
カゴの中身を確認すると
今度はお互いの顔を見つめて
笑ってしまったのさ

それが
きみと僕のはじまり


(詩のスケッチ)


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Believe

2016-08-17 | ショートPoem
あれから 信じることができた
目にするものの真実について
目に見えないものを信じるのは
案外簡単なんだ
心が感じればいいのだからね
だけど 本当に難しいのは
目に見えるものを信じることさ
目の前にいる人の言葉を信じ続ける勇気
真実は信じることで完成するのだから

(詩のスケッチ)


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夕 陽

2016-08-17 | ショートPoem
今日1日がどんな天気だったのか
どんなことがあったのか
1日の仕事が終わり
外への扉を開けると
夕焼けと一緒に
止まっていた空の感情が
一気になだれ込んでくる

あなたの心に流れた時間
私の心に流れた時間が
夜の闇に紛れてしまう前に
私たちの境界線を
夕陽に滲ませる
今日という日の
すべてのものの和解のために

(詩のスケッチ)


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Blossom

2016-08-14 | フリー Poem
"言葉なんかおぼえるんじゃなかった…"と
好きな詩人が、昔書いていた

言葉を覚えてしまったばかりに
きみの涙に立ち止まる
きみの沈黙に耳を傾ける

詩人は、あれから
たくさんの詩を書いたね

覚えてしまった言葉を
ランプのように掲げて、
地下に伸びる階段を下りていった

私も、この言葉の世界に
少し遅れて、生まれてきた
だから

ランプを手渡され
暗い路地を歩いていく
光る涙を見つけ
あなたの私の隣に座りこんでは
時々
詩人の言葉を真似るのだ

そのうち
自分の哀しみには
慣れてきて
哀しみを忘れる練習を
繰り返し

だから
また始めてみようか
言葉を知ってよかったと思える日を
あなたに、きみに
大切な想いを伝えるための

言葉を
知ってよかったと


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色彩に包まれて (時へのオマージュ)

2016-08-14 | トークタイム
時間には色々な意味があるけれど、
穏やかな時の中では、
せめて時計以外の姿で"時間"を見てみたい、
そんな時がある。
それは吹き渡る風の姿であったり、
鳥がねぐらへ帰る様子であったり、
雨が止む音だったり。

時間は、一方では様々な色彩を孕んでいて、
光の色を翻して進んでいくものなのだなと
思ったりする。
…時間の中で、あらゆる形は変貌していくのだけれど。
慈しむ…、そんな一瞬の時間への
祈りのような対峙を深めていければいいなと
思うのだ。


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