詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

満月を見ていると…

2015-11-27 | フリー Poem
さいはての国というのは
今どきのこと
いったいどこを指すのだろう、と思うが
満月を見ていると
やはり、さいはての国は
あるのだろうと、思えてくる

さいはての国から
男はやってくる
月灯りを背にして
まるで ブラック・ジャックのような風貌で
現れるのだが

コンコンッと 戸口をたたく音
それは キツツキがくちばしを突くように
コンコンッと 夜の町になりひびく

音に気づいて ドアを開けてみる家もあれば
寝静まっている家もある

さいはての男は 月灯りのように
毎日、何百件と戸口をノックしてあるく

「何かしら」小さな女の子が
そっと 窓をあけて のぞきこむ

木のこづえには 猫がうづくまり
丸くなったり 細くなったりする月が
葉をゆらしている

さいはての国というのは
地平線のむこう側にあり
そこは 地球の裏側かもしれないし
引力をするっと抜けた
地球の外かもしれない

さいはての国は 遠いところのようだけど
本当は 太陽に一番近い場所に
あるのかもしれなくて


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そして名前のことを、少し考えはじめる…

2015-11-27 | トークタイム
T・Sエリオットの「ポッサムおじさんの猫とつき合う法」の
猫の名前を、時々眺める。
そして名前のことを、少し考えはじめる。

猫や犬に名前をつける時って、
その子から受けとる印象を音にしようとしたり、
或いは素敵な意味を名前にしてあげたいと思ったり。
名付けたときから、もう物語は始まっているのだなと思う。

名前について、よく思うのだけど、
名前をつけることで、膨大な宇宙の時間を一輪の花のように
切り取ることができるのだと思う。

私が知らないだけで、小さな雑草にも本当は名前が
つけられている。名前をつけた人は、隣に生える植物との
差異を理解したのだ。はじめは食べられるかどうかが
肝心なことだったのだろうと思う。食に適した植物は
特徴を名づけられたりして所有される。

そのように時代によっては、植物を名付けることは
調査のためだったかもしれない。
1対1で向かい合った時間から、人間よりもずっと長い
時間を生きているかもしれない植物は、
人間の言葉に触れて関わりを持ち始め、
別の時を打ちはじめる。
名前がついた時間を共有し始めたのだ。

名前というのは、所有することなのだと思う。
興味あるものの名前を知りたくなるし、
名前のないものには名付けたくなる。

所有といっても、手のひらに包み込むことではないが。
例えば、琴座のベガという名前を知ることで、
星さえも自分の時間にとりこめたりする。

やっと、話が猫に戻れそうだが…、
猫に名前をつけることで、一緒の時間を刻めるように
なったりする。野良猫も名前で呼んでいると、
時々顔を見せにきて、その子に流れる時間を共有させて
もらえる。

名前の不思議を思う。結局呼び名ということだが、
昨日まで見知らぬ子だった犬や猫、人もそうだけど、
呼び名を持つことで特別な繋がりができるものなのだ。

雨や風、自然にも人は微妙な変化の様子を、
呼び名を変えて名付けたりする、その特徴を共有し、
自分の時間に所有しようとすることへの情趣を
感じるのだ。面白いなと思う。…



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猫たちの神殿

2015-11-19 | フリー Poem
その村には、猫語を話せる少年がいました。
村の真ん中には樹齢500億光年の星が眠る場所があって、
そこにはちょうど10人の子供が手を繋いで、木のまわりを
ぐるりと一回りできる木がありました。

この村で生まれて育った猫たちは、みんな可愛らしく
nyann. nyaago. nnyannと啼きました。
少年も少女も村人は、猫たちが優しい心で話すのを
知っていてnyann. nyaago. nnyannと返事をしました。

太い木には葉が生い茂り
一枚づつに翻訳された言葉がかくれていました。
誰かが翻訳してくれているのだけど。
Thank you
Aisiteimasu
I need you
猫の言葉は優しくて優しくて、音色は静かにひびきわたっていきました。

そしていつしか、そこは言葉の生まれる神殿になりました。
いつもたくさんの猫が集まってきて
nyann. nyaago. nnyannと啼いています。

根っこが地中から踊り出しているような、
太い木の根もとに立って、フッと息をするのです。
すると言葉を1つ頂くことができました。
太い木からはたくさんの枝が伸び、
繁らせた葉には誰かに届けたくなるような言葉が
一枚づつ書き込まれているのでした。

ところで、この村の住民の先祖は猫。
だから皆耳がとがり、口が大きく、男も女も両頬に
2本づつの透明な髭を伸ばしているのです。

「この村に入ったら、根古語を話したまえ」
村人はこの木の根本で休もうとする旅人を捕まえては、
そう話しました。

太い木に流れている村の共通の言葉を、
旅人は一枚のお札を買うように分けてもらうのです。

葉にかかれた言葉は、古い古いnyann. nyaago. nnyann.
旅人の言葉に翻訳すれば、それは世界に共通する言葉。
Thank you
Aisiteimasu
I need you
足元には猫が生まれ、猫が慕い啼きながら寄ってきます。

猫たちは、いつもゆったりとnyann. nyaago. nnyann語を
話し、村の少年少女は、この猫の言葉を世界の言葉に
変えていくのが仕事でした。

使い古した言葉を預かり、
新しい言葉を一枚の若葉に書き込んでいきます。
旅人の心を暖ためるnyann語を届けるために。

古い古い言葉、
I love Youを根古語に甦らせて
貴方に会えてよかった。
あなたを心から大切に思うよ。
どんなときもあなたの幸せを願う。
困ったときはそばにいることを思い出して。
涙を拭いて空を見上げてごらん。と
たくさんの言葉に翻訳していくのです。
旅人の心を暖める言葉で、世界が溢れるように。


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神様はだが…

2015-11-19 | 小林万利子/Arim songs 歌&歌詞

あなた以外の、いったい誰に
これから会えるというのだろう
カーペンターズの歌のように
はじめてみたかったのだけど
出会いは何のために、と
神様に繰り返し尋ねる夜

あなたを知ったのは
どうしてだったのだろう

神様は 今日も雲の上
月の宴、今昔入り交じる時間に
友達の神様と酒を酌み交わしては
私たちの一喜一憂に
雨を降らし
地上に花を咲かせ
笑っているだろう

とても笑いごとではないのだけれど
地上では毎日
出会いと別れに心が張り裂け
涙が溢れているのだけれど

神様はだが
私たちが戦争をはじめると
厳しい顔をされて
長い棒を取りだして
雲を突き抜け
はるか地上へ伸ばし
棒をひとつきドンと響かせる

大きな流行り病がはじまると
深いシワの刻まれた顔を向けて
一角獣の角笛を  吹きならす

神様はいつも私たちの様子を
ごらんになっている
出会いと別れの涙には
空の星屑をスノーパウダーのように
ふりかけたりして
やっぱり笑みを浮かべて
ごらんになっている♪



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眠れない夜がつづくよ

2015-11-19 | 小林万利子/Arim songs 歌&歌詞

眠れない夜がつづくよ
眠ってしまうのが怖いから
One chance  
one love
Hold me down never let me go
歌が聞こえてくるよ
夢の出口か入り口なのか
確かめるために

夜の静寂のなかを
歩いてみるの
風が木々を揺らしていく
枝のあいだには
上弦には早い月が
かかっていたね

木をねぐらにしてる梟が
今は月の代わりに
目を光らせて
耳をそばだてて
聴いていた
One chance
One love
Hold me down never let me go ♪


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真似て…

2015-11-19 | トークタイム
何のために生きているのだろうね、私は、
と時々問う。

street musicianのような人が好きである。
1曲を心を込めて紡ぎだす。
そんな音楽が好きだ。そんな人間が好きだ。
そんな人たちと曲の言葉作りを手伝って
生きていきたいと思ったりもする。

真摯に生きたい。
自分の心を透明に弾力のある清らかな状態にし、
もっともっとどこまでも優しい方々に驚かされて、
人の優しい心を真似て真似て歩きたい。

理想の詩の言葉が、現実の本当になれるような
美しい心で、美しい心の方々に驚かされて、
真似して真似して生きていきたい。
愛と真剣さと正直と誠意が伝わるように
生きていきたい。
手渡されたものを、一生懸命愛して愛されて
生きていきたい。


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