絵を見るのは、楽しい。
若い時、最初は抽象画の方がしっくりきた。
具象画があくまでも、一方向の世界観と感じられたせいか、
何となく真正面から対峙できない照れがあったように思う。
抽象画は、いろいろなニュアンスを感じることができ、
日常の意味を解放してくれる。
五感を研ぎ澄まし、あれこれと想像を巡らし続けることができる。
わからないまま「感じる」という観賞が許される。
だが、急にある時から具象画にも惹かれるようになった。
具体性のインパクト、力強さに引き込まれるようになった。
良い展覧会に出会い、本物を見れたせいもあっただろうが、
時代を含めた画家の背景への興味というものが、かなり影響
していたように思う。
個性豊かな画家。ロートレック、ユトリロ、フリーダ・カーロ、
ジョージア・オキーフ‥そして、以前は、敬遠していたにも
拘わらず、アンリ・ルソーの絵がとても好きになった。
具象でもない、抽象でもない、幻想の世界でありながら、
絵に描かれている空気がこちら側に、流れ込んできそうな
不思議なリアリティ。
これを機に、いろいろな画家の具象画にも惹かれるように
なったのは、優れた具象画の奥に、抽象性をみることが
できるようになったからだと思う。
少し乱暴かもしれないが、私にとって抽象とは、
リズムであり、色彩であり、揺れ動く形であり、
拡がる意味だといえる。
そう考えると自然の風景というのも、限りなく抽象的だ‥。
だんだん両方の境界線が私の中では、滲んで無くなって
きそうなのだが、好みは抽象と具象とをいったりきたりする。
絵を見るとは、時計の振り子のように大きく振れる私の中の
価値観、未知と既知、様々なアンビヴァレンツの往復運動の
軌跡上に、あそばせてもらうことのようにも思う。
アンリ・ルソー(HenriRousseau) 異国風景-原始林の猿
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