詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

ノヴァーリスのことばから

2014-08-30 | 詩を歩く
「すべてのみえるものは、みえないものにさわって
いる‥‥」
詩人ノヴァーリスの言葉が、いつも胸の奥にあります。

神秘は、いつも水面下で、人間の知らないところで、
行われている。
暗闇の中の秘めごとによって、
この知覚できる世界に形成されてくるように思うのです。

はじまりは、多くのいのちに見守られていて…
だから、出会いというものが、
それまでに積み上げられた時間の結晶のように
感じられるのです。




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今日の空は

2014-08-29 | お気に入り My Poem
今日の空は美しいね、
と 誰かと話しだすとき
永遠という時間が
また ながれだす

空が 白々とあけていく姿を
何度も見たことがあるね

長い 長い人間の歴史を歩きながら
あの時ね、
などと はじめてみようか

それが 私たちの
明日のいのちにつながるのなら



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あと 15分あれば

2014-08-28 | ひとひらのPoetry
あと 15分あれば
月まで行ってこれるだろうか
今朝の 究極の問題…

そんなことだって
これから起こらないとは限らない
時間のセオリーは
本当は無限なんだよ

かたくなな心や
古い辞書で一杯になった頭の
鍵をはずしてみるのさ
その時 なにかが変わるというよ

どこで 飛び越えようか
その術を習得すればいいんだよ
ひとつは
愛というものでさ



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カナブンの風

2014-08-22 | トークタイム
…カナブンは、
飛行能力がとても優れているという。

先程、羽音を立てて、すごい勢いで
近づいてくるカナブンが窓枠に止まった。
陽が照りつける中、
風は待つものと思っていたところへ。

その羽(翅)は、
飛び立つために
風の波を起こすんだね。

美しいカナブンの写真・画像まとめ




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時には 言葉のない国を歩いて

2014-08-20 | ショートPoem
朝から晩まで
木の葉のつれづれのあいまを
歩かせてもらいながら
何も語らない日をすごす

心に残っていた夕陽の
残照のような言葉も
この森に預けた

ようやく
鳥のように
虫のように
身一つで 帰って行こうか
そう思った時
白い小さな木綿の袋を
授かるように
先ほどまで歩いていた
梢のすきまに
月が のぞきだした



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ところで、あなたは勇気というものを、…

2014-08-18 | フリー Poem
「ところで、あなたは勇気というものを、
どこから、手に入れたのだね」

突然 戸口から大きな音を立てて
入ってきた老人が 話しだした

初対面というのに
あまりにぶしつけなことばに
少々ムッとしながら
私は 答えていた

「あなたは、どこで、それを知りましたか」

「きみは、いつ、生れたのかね」

「さっき。」

食い違うような会話を
永遠の輪のようにつづけていく

閉め切った部屋は
急激に蒸し暑くなってきて
窓を一枚二枚と 開け放していく
すると 老人はその間にいなくなり

外の 木々の一枝を
風は 戯れるように揺らしていく
葉に隠れていたらしい
小さな花たちの芳香が
にわかに 散らばる

だがたしかに
私に 老人が置いていったものは 
時間という魔法
私が 老人に手渡したものは
未来という時計




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葉を探して歩きたくなる日

2014-08-17 | 詩を歩く
時々、葉っぱを探して歩きたくなる。
手のひらに包んでしまえるような、美しい小石を
いくつも見つけて歩きたくなる。

人が、この地上に影を落として歩いていかなければ
ならない不思議さと、淋しさをフと思い出す時。

雲が空を覆いつくし、今にも小雨が降り出しそうな
そんな匂いを知っていますか。
あの匂いは、どこからくるのだろう。

美しいものを思慕する気持ちというのは、
人の心の深いところにあり、
それはどこかしら
生きるための
祈りにも似ているのかもしれない。

…どこから話しだせばいいのだろう。
時には一日中黙って
自分がどこからきたのか…考えていたい。
葉や土の生き生きとした輝きに魅せられながら
虫が動き回る様子を観察しながら。
日が沈むころ、そしてようやく、
誰かに話しはじめたくなるのだ
そんな、あれやこれやを



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箪笥に軍服を見つけた日、

2014-08-15 | トークタイム
…30年近く前だろうか、
まだ健在だった祖母と母と一緒に、
古い箪笥の虫干しを手伝ったことがあった。
昔の着物類が、古色そのままにしまわれていた。
下から2段分には、引き出してみると
黄土色の何やら硬いものがでてきた。
父が戦争に行った時の軍服とゲートルだった。

平和な昼下がりだった。
なにか場違いのような気がしたのを覚えている。
なぜ家の箪笥に軍服がしまわれているのだろう。
素朴な疑問が頭をもたげた。
だが誰もそのことは口にしなかったので、
話を掘り下げることはためらった。

父は陸軍に所属し、中国に戦争に行ったと聞いたことは
あったが、それ以上の話は父の口からは続かなかった。
箪笥に軍服を見つけた日、
あの時、軍服の時代は過去であり、
日本にはもう似合わないと思った。
鮮烈に感じた私の育った時代との違和感。
その印象を、ずっと強く心に描いていたいと思うのだ。




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夢のなかで

2014-08-15 | ショートPoem
想いは言葉のむこうからやってきて
言葉に追いついたのだったが
つかのま また言葉を追い越していこうとする
ある日 私は言葉使いになると決めたのだから
また 追いかけていかなければいけない
月と地球のように
あなたとわたしの影のように
近づいては 遠のきをくりかえして
いつか 皆既日食のように全てをのみこまれ
そしてまた 新しい光が生まれるように



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