詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

光への郷愁 ーピアニスト 小林真人ー

2013-04-28 | 気になる人、ことば
森閑とした地上にさしこむ月明かりのような旋律を
奏でるピアノ弾きがいた ※

華奢な肩に 憂愁を漂わせ
生きることの意味を 一身に受けとめて
彼の体を まるで伏流水のように通って
浄化された音が 
指先から紡ぎだされる

あまた砂の中から 金色に輝く粒子を
つぎつぎに拾い集めていくような
美しい音の痕跡は 
清らかな水の流れのような 光の矢のような
地球の記憶をたずさえたメロディーに
集約され ふたたび拡がりだす

私たちの中に眠っていた 光への郷愁を
めざめさせてくれるのだ

            ※「月下の楽園」 小林真人


     光と風のピアニスト 小林真人
作曲家、ピアニスト小林真人さんの奏でるピアノには、
自然のきらめきとやさしさが、充ち溢れている。
紡ぎだされる音色は、耳を傾ける人の心を深く打つ。
人が、こんなにも美しい光と風に包まれている幸せに、
気づかせてもらうからだ。



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今は、まだ

2013-04-25 | 子供のこと、子供のことば
Tちゃんは、何でも頑張る。
学校以外に、スポーツを2つとピアノをやっている。
でもピアノはいつも壁にぶつかる。
人よりも時間をかけて弾けるようになるのだが、
新しい楽譜になる度に、敬遠してしまう。
無理なら、辞めたらいいのにと思うけれど、
全部やりたいという。

小さい時から、一曲が弾けるようになるのを
見ていて思うこと‥、
努力して、のぼってきた階段は、
頑張れば、どんどん続いていくけれど、
頑張るのを止めたら、上へのぼる階段はない。
まわれ右をして、下りていく階段だけだよ。
なんて言ってみる。

でも、本当は、大人はそこでまわり道を見つけたり、
別の細い階段を作って、のぼったりして、
結局、進んでいくんですね。

今は、まだ。
子供だから、私からはもう少し頑張って、と
言ってみる。そこからいろいろな本当の道がひろがり
そうだから。



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すみれ

2013-04-24 | トークタイム
初夏の佇まいに、寒が戻っていますが、
先日、Tさんのブログ記事から、
「すみれの花の砂糖漬け」が気になって、
いろいろ調べていました。
作ってみようと、気づいた時には、
裏の路地に群生していたすみれの紫は、
ふたたび、土に眠りにつこうとする色へ
徐々に変わっていました。

今年、初めて見つけてから、
その後、何日も傍らを通りかかるたびに、
地面の下のどこに、
これ程までの紫色があったのだろう。
地球の何を吸収したら、こんな色になれるのだろう、と
野のすみれの美しい色に、見入っていました。
そして、あまりに可憐な姿に、
摘み取るという気が、おきなかったのです。

まもなく、どれも皆、咲ききってしまうでしょう。
来年また、たくさんの花をつけてくれることを
楽しみにして、その時に「すみれの花の砂糖漬け」を
思い出してみようと思うのです。

 

「すみれの花の砂糖漬け」



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文の気持ち

2013-04-15 | トークタイム
<私の詩は、どんどん変わっていきたいと思う。>
この文脈は、主語述語の関係が良くない‥。
英訳するには、
私は、私が書く詩の形を、どんどん変えていきたい
と思う。
とでも直さなければならないと思うが。

しかし私は、悪文といわれるものが好きだ。
その人の生きている感じを、よりリアルに感じ取る
ことができるからだ。
自分について言えば、デコボコした文章も多いと思う
が、整った文よりもどちらかといえば、
インスピレーションや、生命感のある文を、
大事に捕まえたい、という気持ちが強い。

人に伝わるように、ルールは守らなければいけない
ものだと思うが、人それぞれの歩き方のような、
そんな文が好きだ。

ところで、ようやく本題に戻ってきたが、
「卵」が、おたまじゃくしになり蛙になるように、
あるいは芋虫になりサナギになり蝶になったり、
魚になったり、亀になったり、鳥になったり‥、
変化していくという現実が、生きることの醍醐味だ
とすれば、
<私の詩は、どんどん変わっていきたいと思う。>
というのが、冗談ではない本当の気持ちなのです‥。



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いつか どこかで

2013-04-10 | フリー Poem
いつか どこかで会いました
ふいに吹いてくる風のなかで

駅前でことばを交わした人と
アスファルトの隙間に
根を張るたんぽぽと
道のむこうからやってくる
ドキッとするような犬と

遠くで光る雷神
飛び立つ小鳥二羽
突然の驟雨
かすかに アルコールの匂いがする
なつかしいpoetの影

ふりそそぐ光のなかに
また どこかで
近いうちに
遠い日に
会う約束をした

いつか どこかで
会いました と



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J.Tからのたより

2013-04-05 | フリー Poem
J.Tは 怒っているだろうか
それとも退屈な顔をしているだろうか

いや もうそんなことはお構いなしだろう

次から次へと パソコンのウインドゥを
開くように
思い通りにピアノの鍵盤を
ひくように
楽しんでいるだろう

あの頃と違うのは
もう格闘しなくてもいい ということ
今ごろは
何もかも うまくいっているはずなのだ

やさしい風にのって
きこえてくるんだ
詩だって
絵だって 
音楽だって
天上界では 
J.Tの思うがままだっていうことが


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