詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

「6次元」さんと時間のことなど

2013-11-24 | 気になる人、ことば
先日、今注目のブックカフェ+ギャラリー。
ー都市型茶室「6次元」のことを知った。
店主ナカムラクニオさんの著書
『人が集まる「つなぎ場」のつくり方』を読んでから、
別の時間が流れだしている。
というか、どこかへ置き去りにしてきた大切な時間の感覚が
戻ってきた。

鮭が産卵のために、川をのぼり戻ってくるのを待つような、
豊潤な生命力を持つ卵が育まれる時間。
消費される時間とは真逆の、
何かを待つ確かな予感に満ちた時間。
そんなイメージと重なる。

ここのところ、時間について考えている。
ネットの普及は、一個人を取り巻く情報環境を一変させている。
激流のごとく、だ。
自分が釣り人のつもりが、情報網に絡めとられた釣りロボットの
ようになってしまう危うさもある。
脳も心も、猛スピードでフル回転させなければいけないし、
常に時間は足りない。
情報の激流は、個人を忙殺し呑みこんでしまいそうだ‥。
皆が一斉に、リアルタイムの情報を知らなくても構わないし、
そこだけに、時間の全容が集約されているわけではないはずだ。

時間の蓄積は、自分を形づくるために、自分の色を際立たせる
ために必要なのだと考える。
だとしたら、より多様な時間の概念や角度を、感覚の中に
取り込みたい。

人間が、人として生きる時間を取り戻したい、と思う。
心が、じっくりと物事や他人のことを感じとって、
生きる時間、醗酵させていく時間が必要だと思う。

そんな折も折、冒頭の『人が集まる「つなぎ場」のつくり方』は、
読了後も、何回も手にとってしまうような、
心に体温が戻ってくるような考え方、ユニークな取り組みや
創造に充ちている本だった。

中でも、ブックカフェらしい<簡単読書術>の紹介には、
なんて、心がホッとできただろう。
①遅読 ②妄読 ③積読 のすすめ。
今の情報の激流時代に、このようなことを提案し、
別次元の時間を創出される著者ナカムラさんは、魅力的だ。

興味の対象を、時間をかけて感じていい、そんな時間こそが
大切なのだ、人間が育てられていくのだ、と気づかせてもらう。
人間らしい時間、何かを感じとり、ホッとしたり、悩んだり。
散歩したり、ポツポツと誰かと、とりとめのない話をしたり。
そんな一日の中の、ゆるやかなスポットに、一瞬でも
身を置くことができること、が大事だと思う。

乱暴になるくらい誰もが多忙で、自分を見失ってしまいそうな
日常の中で、さらにスピードアップするだろう時代に、
人間を人間らしく成長させていく、大切な時間のように
思えてくる。

「6次元」。いつか、訪ねてみたいお店。
そしてナカムラさん、という人。

   『人が集まる「つなぎ場」のつくり方』 著ナカムラクニオ


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虹の橋は

2013-11-22 | 詩を歩く



虹の橋は、どこか希望の国へと繋がっているような
錯覚を覚える。
虹自体が現実のものでありながら、
手に掴むことができない、非日常的な性格を持つもの
だからだろうか。
すぐそばに、虹が架かったことがあって、
手を差し伸べてみたが、触れることはできなかった‥。
すり抜けてしまうのだ。

希望の国へ、虹の橋を架けるには、
どんな釘を打ちつければいいのだろう。
虹色の釘。
雨のような、涙の後の虹色の釘。

ここのところ、虹の橋のことを、ずっと考えていた。
折しも、山梨県立文学館の与謝野晶子展(11月24日迄)
のちらしのコピーを目にした。
<われも黄金の釘一つ打つ>与謝野晶子の言葉が、
光のように差し込んだ。



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かすかな光の影を見つけては

2013-11-11 | フリー Poem
小石混じりの硬い地面の下から
鳥の記憶からも 
忘れさられていた
細くうずくまる種が
でてこようとしている
石さえも割って 
芽をだそうとしている

おぼえておくといい
光は 
どんな暗やみも 引き裂くほどの
鋭利な角度を持っていると
種に 宿っていた火種は
緑色の先端になって輝きだす

夜が 暗やみを支配しつづけようとしても 
空は 折りたたんであった光の帯を 
拡げていくだろう

窓の外には
朝を知らせる光の粒子が
間断なく ふりそそぐ
置き去りにされるものは 
ひとつもなく
手渡された証拠のように
光は 影をおいていく



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ぶどう畑

2013-11-10 | Photo-ry (写真)
  


  昔、ぶどう郷勝沼の風景が南仏のようだと、
  誰かがエッセイに書いていたっけ‥。

  そんな、遠い記憶も錯綜して、
  山梨市に拡がる果樹畑の風景を眺める。
  いつか、南仏プロヴァンスが
  ブームになったことがあるけれど、
  どこか、そんなプロヴァンスの田園風景みたいだな、
  なんていう思いがよぎる‥。



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