「よいどれ」 がいってしまった飲み屋のイ
スに 何日も何日も 腰をかけていたいと
おもう 日が暮れるたびに パチパチと破
裂しそうな薪ストーブに 手や足を近づけ
暗い闇からの足音をきくために
入口の扉があき 風が吹きぬけると つ
かれた老人のひたいは しだいにコップの
影にみえなくなる
こわれた時計は動きだし 音楽隊はまだ
こない
壁や棚 机やボトルが 風のなかにかき
けされ 残されたストーブが いつまでも
あかあかと燃えあがり 二つの瞳は閉じる
こともできず乾ききり 今夜も 天井には
焼けあとのような空が ひろがるだけ
詩集「月がまるみをおびる地点まで」より
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スに 何日も何日も 腰をかけていたいと
おもう 日が暮れるたびに パチパチと破
裂しそうな薪ストーブに 手や足を近づけ
暗い闇からの足音をきくために
入口の扉があき 風が吹きぬけると つ
かれた老人のひたいは しだいにコップの
影にみえなくなる
こわれた時計は動きだし 音楽隊はまだ
こない
壁や棚 机やボトルが 風のなかにかき
けされ 残されたストーブが いつまでも
あかあかと燃えあがり 二つの瞳は閉じる
こともできず乾ききり 今夜も 天井には
焼けあとのような空が ひろがるだけ
詩集「月がまるみをおびる地点まで」より
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