詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

プトレマイオス、という名前が…

2017-03-22 | フリー Poem
プトレマイオス、という名前が
心に現れて戸惑うのだ
しかし、挨拶をせねばなるまい
詩を書こうとしていた矢先、
私はあなたのことを書くつもりでは
なかったのだが、と
人類は、あなたに惜しみなく敬意をはらう
あなたが信じた天動説は
地動説を生み、
コロンブスが夢の航海に出たのだから

私たちは急ぎすぎる
今日も
今つけたばかりの足跡を
消すかのように
歩かなければならない
頭上に鳴り響くは

地球は1つであり
太陽も1つであると
空は全天指向
空に翼を拡げ
消えた足跡や
忘れてきた夢を
白い羽を1本抜いては
地図に
書き上げていく


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言の葉つづり 小篇(15)

2017-03-11 | 言の葉つづり 小篇
17-55)
例え 昨夜の夢見が
悪かったとしても
私達の今日は
始まっていく
悪夢というものが
あったなら
それは結末ではないと
信じさせてくれる日が
繋がっていく
希望に終わりは来ない
冬枯れの木々の枝に
花芽が膨らみ
空には
虹が何度も描かれて


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イマジズムの詩掌編(4)

2017-03-11 | イマジズムの詩

あわれなるりんごひとつ
あわれなるは真っ赤に熟れた
あなたではなくて
あなたを見ているこの
わたくしの感情である
あわれなる店さきにて
あなたは忘れられた
季節は残酷にも
あなたを置いて
行ってしまった
わたくしはあなたを
両手に包んで帰ろうとおもう
雪ふかき田舎で
母が手際よく皮を剥いてくれた
あなたというわたくしに流れた時間を
おもい



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イマジズムの詩掌編(3)

2017-03-11 | イマジズムの詩

ひるさがり
太陽のいばしょを
じめんにのびた
じぶんのかげに
きいてみる
じぶんとは
ほんとうはどこにいるのか
じつにたよりない
気がするもの
だけれど
1秒2秒と
変化し
うまれでるせかいを
あるいていくのは
この足
きこえてくる
じぶんの足音



今日と昨日のあいだに
境界線などないはずなのに
光にかたどられた
今日という輪郭が
できあがっていった
あなたと私にも
境界線などないはずだった
もうじき
闇に閉じられ
また私たちは
星の輝く平原に
戻っていく



たくさんの孤独
たくさんの夢を
知って
口笛を吹く
そして
雲に覆われた夜空を
見上げるのだが
そうだ、
雲は人間のように
前と後ろがあって
宇宙を向いた雲のかおは、
月の光を耕す田園のように
冴えざえと
しているのだと
知るだろう
まもなく、
光が
漏れてくる


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イマジズムの詩掌編(2)

2017-03-11 | イマジズムの詩

涙壺に
涙の雫を落とす
ブルーのガラス瓶に
曇ガラスの瓶に
家中の瓶に
いっぱいになり

次は
空になった紅い香水瓶に
涙を入れてごらん
涙は
香りを身につけて
夢見て
眠りにつく



鳥は巣を作った木を
覚えていた
常緑樹の葉陰に潜り
いま、戻ってきた、とばかりに
鳴きだした

まだ、冷たい
凍りつく朝
人間が窓をガタンと
乱暴に開ける音にも
慣れていて
ここがいつかの場所だと
帰ってきたのだ
白い花弁よりも
誰よりも先に



落ちる落ちるちるちる
落とす落とすとすとす
ちるちるちる
とすとすとす
地面に落ちるみちるものもの
落とすとすとす音するもの
おとおとものそれは
すもも



灼熱の舗道
粉雪の舗道
水溜りのできた舗道

歩いていく



夜更けに
葉の陰で
鳥は
いつまでも寝ない人間の
話を聞いている
目を瞑りながら
聞いている
朝の光の足音を
聞き逃さぬように
一番鳥は
耳を澄まし
誰かの寝息を
聞いている


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イマジズムの詩掌編(1)

2017-03-11 | イマジズムの詩

白い柵のむこうに
レモンが実る
オリーブの畑は
褐色の葉に覆われて



象牙海岸の名前は
記憶されるべき
両極に揺れて
このにほんの浜辺に
立ちて望む音の意味

歩道を叩く雨
ヒールを履いた女も
野良猫も
遠ざかり
ビニールの屋根の下に
鈍く灯が灯る店の
窓はくもる
グラスに赤い葡萄酒が
注がれていく
雨、雨



ビルの角を
折れる
つづらおりの
山の
曲がり道の
ように
ビルの角を
折れて
折れて
折れて
いく
目的の場所
まで



雪の上に
円をえがく
土が透けて
白い丸が
浮かびあがる

今日は雪が降った、と
明日になり
雪が溶けてしまわぬうちに
今日は雪が降った、と
白くなった地面に
刻印する



石の声を聞きたいと
鳥は上空から降りてくる
赤い実を啄み
石に奉納する
石は地球の時間の
神様なのだ
鳥は空に住んでいるが
時々星の光の先端となり
角ばった小石に
止まってみるのだ
何年何月何日という
記念日を知りたくて


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イマジズムの詩…

2017-03-11 | イマジズムの詩
今の時代を生きてる人の心を通って、ものが見えてくるような言葉の詩を、写真に収めるみたいに数行に描いてみたい。また野望ですが。失敗ばかりだと思うけれど、何作かのうちには、1作くらい、光る詩が生まれるかも、そんな今のイマジズム詩探しの”イマジズムの詩 ”を、ポツポツ作っていきたいと思います。


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言の葉つづり 小篇(14)

2017-03-11 | 言の葉つづり 小篇
17-48)
夕陽が美しい理由を
いつも忘れてしまう
遠い誰かの悲しみだったり
笑い声だったり
怒鳴り声だったり
猫の鳴き声
クラクション
鳥の囀り

川の濁流

さよならと
太陽が今日の思い出の絵を
描いていくから


17-49)
もし私が花に覆れていたなら
貴方は私を愛し続けたのですね

イザナギが見てしまった
女神の素顔
黄泉の国に
蠢めく命がほの見え
暗がりに眠る命の灯り
エロスはここに始まるのです
葡萄や桃を投げ
女神を美しい花に
変化させる術を手に入れたい


17-50)
緑と砂の文化は
対局だと言われるけれど
緑の草木と砂の相性がよいのも
本当のこと
水の惑星に生まれてくるためには
小石の間をかけのぼり
きっと誰かに会えると
夢を持ち続けることだった
夢は砂と緑と水を結びつける


17-51)
柔らかくなったり
尖ったり
ふうふう言いながら
歩いて行くのがいいのです
そのうち誰かが
ふうふう追いついてきて
貴方も同じねと
楽しくなるのです
心は不思議な器です
風を盛り
漂う春花のような香りを
貴方に届けに行こうかと
思っていたのです


17-52)
目の前に現れ
時々空の色にかき消され
青の群れが集まりゆく先へ
螺旋階段をのぼる
タバコ屋の角という
今では死語に近い街角を折れ
釣り橋を渡っておいで
猫のようにしなやかに通り給え
風に揺れ散った花びら
今日はこの花の道を歩けと言われ


17-53)
まだ零時前
秒針はいつから音を無くしたのか
夜の街には
ガラスの靴が落ちている
永遠は
暮れていくインディゴの空に
雲と一緒に流れている
今は
琥珀色の液体に姿を変え
コップに注がれる


17-54)
みずすましが
水面を行ったり来たり
泳いでいる
空の音を聞いている
宇宙の秘密を知らせる暗号のように
音が踊りながら降りてくる
みずすましの横に
降りてくる
水中に眠る花へ
みずすましは
まるい波を広げては
泳いでいる


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言の葉つづり 小篇(13)

2017-03-11 | 言の葉つづり 小篇
17-41)
あの夜、彷徨い歩いたのは
生きる道を
見つけるためだった
止まぬ雨のように
涙を流し
あてのない
突きあたりのない道を
どこまでも歩いたが
それは
希望に繋がる道だった


17-42)
珈琲が好きな理由が
わかったような気がする
珈琲を飲む間に
人には考えたいことがあって
人生の急ぎの用事を先送りしている
絵のこととか音楽のこととか
形而上のこととかを想いながら
忘却の川の上に
夢のはしごをかけて
しばらく座り込んでいる


17-43)
風の始まりはどこだろう
風の尾は
過ぎた時間にも
まだ届いていて
後悔を慰め
花の目覚めに
立ち会い

まだ見たことのない
これから始まる場所へ
ふわり夢の種を運んでは
吹いたり止んだり
通り過ぎていくね


17-44)
あれから
風のページをめくっては
恋文をしたためています
お訪ねしようとお土産を
考えていたら
あの方は
一足先に
旅立たれてしまったのです
どこへ届ければいいのか
途方に暮れながら
手荷物が
増えていくのです


17-45)
まもなく梅の花が散るでしょう
花冷えという言葉は
なんと残酷でしょう
冬のあと先に
「私の言葉を信じて」
そんな花言葉を
置いていきました
明日は、春


17-46)
いつも忘れものを
しているような気がして
何度も家に戻るのです
永遠の中の
繰り返しのように
昨日から今日に続く光の粒子が
私の儚い夢を繋げている
信じること
手にした鍵でドアを閉め
言い聞かせるのです
未来は、歩けば始まると


17-47)
静かの海が
月にはありました
星は過去から光を送り続け
私達はやっと気づき
未来へ進むのですね
静と動
過去と未来は
宇宙では1つの事
なのかもしれず
そんな片隅で
先程
梅の花が開いたのです


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言の葉つづり 小篇(12)

2017-03-11 | 言の葉つづり 小篇
17-35)
方言は古代語の名残り
今はなき発音に
外国語のような音が交じる
そんな言葉の
囁きに
脳内の記憶の信号の点滅は
止まらない
だが本当は
犬や猫を愛するのに
共通言語がいらないように
この宇宙には深い音が
響きあい
通いあっているに
違いない


17-36)
天文学者になりたかった夢を
犬は知っていた
音楽家になりたかった夢も
知っていた
誰を愛していたかも
お見通しだった

リードには流れていた
花を咲かせようと
樹木の内に流れる、あの
透明な宇宙の意思のような
信頼が
続いていたのだ


17-37)
葉脈のふしぎを
うつくしいと思った

虫の翅に走る脈に
痛みをおぼえた日

血管という道すじは
宇宙へ帰還する時の地図なのではと
悟る

いつか帰らねばならない
ここにきた理由を見つけたら
その時に
空の扉がふたたび開き


17-38)
口笛は不吉と母が言った
夜にピアノを弾いても
爪を切っても
昔人は吉凶を口にした
この場所から離れてはいけない
生命への愛と執着が
吉の顔だった
土に帰り空に帰り
帰路へ近づくこと
残された者の悲しみが凶であった


17-39)
小さなパンケーキを毎日たくさん作って配りたい/日曜日には街中に拡がるような大きなパンケーキを焼くのもいいね/あっちとこっちの端を持ってひっくり返す/掛け声は123、アンドゥトロワ、ドレミ/時にそんな言葉がいいのさ/美しい歌が生まれるために


17-40)
忘却とは
残酷で
甘美
だが
いのちがつづく傍らで
今日も
堤に繋ぎとめている舟に乗る
微笑みを忘れずにね
ママの言いつけだけが
今も聞こえている
モナ・リザの謎を秘めて
朝のコーヒーを飲み
祈りつづける


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言の葉つづり 小篇(11)

2017-03-11 | 言の葉つづり 小篇
17-29)
海にはどんな時間が
流れるのだろう
マゼランが航海した日々と
海を照らす太陽の陽射しは
何の違いもないのかもしれないし、
星の光は夜を包んでいる
海底には
鮮やかな色の魚が泳ぎ、
未来が静かに
繋がっている


17-30)
淋しさを知らないなんて、
なんて 可哀想な人だろう
雲の上から 憧れの詩人が
笑っている
いのちのかげに
燃えあがるのは
淋しさという幻影

さきほどまで咲いていた花
さきほどまで鳴いていた秋虫
の声


17-31)
猫の気持ちは
気まぐれと言うけれど
そんなことはない

君が恋人にふられた時の
悲しみを
猫はずっと覚えていて
今でも
PCに向かうと必ず
喉を鳴らして
膝や机に乗ってくる
1人で考え事をすると
悲しくなると
思っているんだよ
相変わらず


17-32)
道はつづいている
誰と歩いた道だったろうか
横に並んだ影の先端を辿っていくと
夜の帷の淵に届きそうになって
慌てて引き返してきたものだった
まだ赤い尾を引く
金色ともピンク色ともつかぬ
この世の一番美しい時間まで


17-33)
淡い色が好き
そこには
萌え始める小さな花や虫の
いのちの水玉が眠るから

濃い原色が好き
そこには
炎から生まれ出ようとする
光の子供が踊りはねているから

風が秘密の扉を開けて行く
あわいに
立ち止まる


17-34)
そっとあの夜に
母が幼子の手を離すように
君は繋がっていたリードを
放して教えてくれた
まるで北極星を中心にした星空ように
時間も道も放射状に拡がっていることを
知らせるために

だが、寂しき雨降る夜には
もう一度
道案内を乞うてみたいのだ



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