詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

静 寂

2013-05-30 | 光のコンポジション
押しよせては 引いて
光は 何層も積み重なって
地上に 結晶をつくってきた

虹を 重ねるように
土の上へ 人の心へ
希望を 織り重ねていく









<光のコンポジション>
 1.ゆらぎ
 2.おいかけっこ
 3.灼 熱
 4.雷
 5.池の中 
 6.夕映え 
 7.夜のむこうに 
 8.静 寂(しじま) 
  ―Hommage to M―


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Musicから

2013-05-17 | 詩を歩く
先日家人と、トロンボーン・ショーティーの映像をみた。
楽器トロンボーンのイメージがくつがえされる。
これが、トロンボーン? これが、ジャズ?みたいな‥。
トロンボーン・ショーティーは、トロンボーンを吹き、
歌も歌う。ファンクっぽく、ロックっぽく、そしてジャズ。
ニューオリンズの音楽。今の音楽‥。
そうだ、ジャズは前衛なんだ、
本物は、いつだって前衛なんだ、と久しぶりに思ったのだった。

そういえば、20年以上前に魅せられたキース・ジャレットの
「パリコンサート」のCDを最近聴いてみるが、宝物にして
夢中になったCDなのに、なぜかあまりピンとこない。
同じく当時身近に聴き続けた音楽を、今聴くと、ちょっと違う。
あれ?と、思いながら考える。

では何故、ショパンの音楽が今も生き生きと心に迫ってくるのか。
それは例をあげれば、辻井伸行さんのような
現代のピアニストが、次々に新しい時代のいのちを
吹き込んできたからなのだろう。
今流にいえば、クラシックはカバーされつづけてきたのだ。
チック・コリアの「スペイン」も、次々に、ミュージシャンに
リスペクトされ、新しいいのちが吹き込まれる。
時代を超えて、魅力は尽きない。

では、もともと時代を感じさせないものって、何なんだろう。
ここのところ、小説とか詩のことでもずっと感じていること‥。
名作といわれる文学作品、人間にとっての真理が描かれている
もの、とはいっても、今の現代人が、しっくり心に受け取ること
が難しいものが多い。

感動を呼ぶには、時代の‘風’が必要なのだと思う。
心を打つものは、普遍的な要素と、時代の旬な感覚を合わせ
持っているのだと思う。
微かにでも同時代の共感を呼び、そして未知の空気をたくさん
含んでいることが、大切なのではと思う。
やっぱり、前衛‘が時代の感覚を切り開いていくのかな‥。
でも、前衛とは、別に風変りなことを目的にするものではない
と思う。
どうしても、作ってみたくなる、というような、
追い風に従う形、みたいなものかもしれない。

トロンボーン・ショーティーから、こんなところまで歩いて
きてしまった、という感じです‥。



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poesyのかたち

2013-05-16 | 詩を歩く
次女は、何にでも興味を持つ。
小さい時の、言葉遊びから派生して、しりとりがダジャレに、
ダジャレから俳句、詩、短歌にも興味を示すようになった。
子供がことばをつかんでいく瞬間というのは、興味深い。

どんな時に、俳句になるのか
詩の形式を取りたくなるのか。
または、短歌を作りたくなるのか。
たまたま、子供は学校の授業のタイミングもあるが、
表現したいことは、それぞれの形式で少しづつ違うようだ。

私自身は詩の思考を、表現方法として詩の形式に置き換えて
いこうとするわけだが、俳句、短歌を書こうと思うと、
微妙に思考の角度を変えるのだろうと思う。

日本には詩というかたちに、大きく分けて俳句、現代詩(詩)、
短歌とある。(細かくいえば、もっとあるが)
四季の移ろいがあるせいなのか、「もののあわれ」とか
無常感につながる詩情が、豊かな国なのだろうか、などと
思ったりする。独特の詩歌の生成があるように思う。


そういえば今年は、山梨県では<富士の国やまなし国文祭>
というのを開催している。

山梨県は、俳人飯田蛇笏、龍太氏の故郷であり、
又山梨市は、詩人(作家)土橋治重氏の故郷でもある。
土橋治重氏は、鎌倉に在住され晩年も県外の居住だったが、
「風」という詩誌を長年主宰された。
私の師に、昔、よく伺った話だが、土橋氏は詩に対して、
妥協しない、厳しい審美眼の持ち主だった方のようで、
(それに叶った作品や才能は)又、「百花絢爛がいい」と、
どこかに書かれていた言葉が、私にはとても印象に
残っています。
そのことばのように、山梨は著名な作家、詩人などを
たくさん輩出しています‥。


<富士の国やまなし国文祭>ご興味ある方は
詳細をご覧ください。
富士の国やまなし国文祭
現代詩の祭典【文芸祭現代詩大会】 



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雨もり修理人 3

2013-05-07 | 連詩
あれから 数カ月
時々小雨が降りしきるが クレームの電話はこない
それどころか あの住宅街のほとんどの家を
修理することになった
いつも 同じような電話がかかってきて

メーカーの手抜き工事の住宅街 といってしまえば
それまでだが 数十件が皆 雨もりのする家なのだ
不思議なことには ひどい修理技術にもかかわらず
何一つクレームがこない
お客さんは増えていく
終日 電話の音が聞こえない庭に出て 
空を見上げることが多くなった

どうやら 雨もりではなく 光もれのする家がある
といううわさが流れているらしい
夜になると 月や星明かりが 何千と家の中に
入り込んでくるんだとか



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雨もり修理人 2

2013-05-06 | 連詩
ここのところ 雨は降らない
2日3日すると また電話がかかってくる
「天井から雨もりがするのよ、 直してほしい」 と
一方的に住所を告げて 相手は電話を切ってしまう
どうやら先日の家の隣人からのようだ
どんな評判が立ったというのだろう
相変わらず 便利屋の電話番号はかからない

今度こそ断わろうと 依頼主の家を訪ねてみると
車で出かけてしまうところ
「良かった。直しておいてね」とお金を渡される
言い訳をしたいのに あっという間に
時間は閉じられていく

居間の鍵が開いている
雨もりの場所は4か所
道具など持ち合わせていない
事情を話そうと 先日の隣の家に行ってみると
今日も外出中らしい
あの2階の部屋の鍵だけが 開いている
覗いてみると 大工道具がそっくり置いてある

自分に呆れながらも どうしようもないので
道具を借りて 隣の家へ戻る
同じ方法で 雨もりをふさぐ
またしても打ちそこなった釘穴が数十か所
もう限界だと思い 道具を返して帰ることにした



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雨もり修理人 1

2013-05-05 | 連詩
電話がかかってきた
天井から雨もりがするので直してほしい と

便利屋と私の家は 電話番号が一番違い
便利屋に電話をすると
「現在、この電話は、使われておりません」

依頼主は 住所を早口で言い終わると
電話を切ってしまうものだから
しかたがない 行ってみることにした

さっそく家についてみると
「じゃあ、お願いね」と お金を置いて
急いで行ってしまう とにかく忙しい人のようだ

通された2階の部屋だけが 鍵が開いている
天井を見上げると なるほど確認できる隙間が3か所
依頼主が自分で直そうとした跡がある
金づちや釘が 足元に散乱している
大工仕事などしたことがないが 
まあ とにかくやってみようか

小さな木片を目隠しに 打ちつけてみる
1回目失敗 2回目失敗
釘は 釘穴をつけたところには
もう一度 打つわけにはいかない
ようやく何回目かに 木片を打ちつけることができた
奇跡のように 3か所の修理が済んだ

その代わりに 打ちそこなった小さな釘跡が 
数十か所できてしまったが
しかたなく 誰もいない家から黙って帰ることにした



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