詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

永遠のポンプ

2011-11-26 | お気に入り My Poem
神さまは
永遠を計る 時計を
みんなに 持たせてくれた

永遠って 長いから
どこがスタートか終わりか
わからないんだ

神さまのそばでは
別の神さまが
ポンプを押しつづけている

別の神さまは
きれいな ピンク色の水を
バケツに たくさん入れてきて
流している

大きなうちわを作っている神さま
すもうをとる神さま
くしゃみをしている神さま

小鳥たちは 今朝
澄みきった空気をふるわせて
伝えあっていた

最速の鳥の王が
遠い雲のむこうへ
今日の 美しい写真を
届けに 飛びたった



詩集『永遠のポンプ』から




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晩秋

2011-11-22 | 詩を歩く
今年も、セイタカアワダチソウの季節が、
終わっていく。
黄色い花をつけ、姿勢よく長い肢体をのばし、
秋空を切りとるように、咲ききそっていた。

永遠を思わせるような、長い時間が、
セイタカアワダチソウの群生に流れていた。
だが、
日に日に、見まちがいと思う位、
美しい色は褪せ、
重い体は地面に倒れかかり、
大地に吸収されようとしている。

なぜ、あれ程、力強く咲くことができたのか。
今は、根っこに全てを託し、土の中に帰り、
眠りにつこうとしている。




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青い鳥

2011-11-17 | おすすめPoem 記事
小さい頃に読んだ本というのは、
心の奥に、低いかすかな旋律となって、
いつまでも残っている。
何本も何本も、音色の異なる細い川となって、
流れている。

「青い鳥」、特別気にして読んだ本では
なかったと思うのだが、時々、心によみがえる。
フと、<青い鳥>って笑顔のことかなと思う。

東日本大震災で、家族や家や町を失くし、
辛い思いをしている人がたくさんいる。
世界中に、貧困や病気や悲しみにくれる人が、
たくさんいる。

身の回りを振り返っても、毎日争いや憎しみなど、
人間の負の感情はおさまらない。

でも、人間ってどんなに辛い時でも、笑顔を作る
ことができる。
被災地の人たちが、信じがたい状況の中で、
笑顔をみせる場面を見ると、
人の力って、すごいと思う。

生きていく術を絶たれて、
不安でいっぱいでも、笑顔が作れれば
なんとかできるような気がしてくる。

誰かと、笑顔で一緒にいる時間を持つことが、
「<青い鳥>つかまえた」なのかな。
<笑顔>なら、誰でも、何十羽もつかまえられる。
きっと。



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不思議な話

2011-11-09 | 子供のこと、子供のことば
少し前から、水谷ゆうさんの「いっぱい大好き」という歌が
時々TVなどで流れている。
水谷さんは、まだ小学生のシンガーソングライター。

<ねぇママ、私生まれる前、ママを空からずっと見てたよ>
<優しそうだなって、ずっと見てたよ>
<だから私はママをえらんだよ>
‥そして神様にお願いして、しゃぼん玉にいれてもらい、ママの
おなかに入って、赤ちゃんになって生まれたよ‥
という歌で、自分の記憶から書いたものだと、
水谷さんがTVで言っていた。

「へぇー」と私が驚いて聞いていたら、私の子供達も言い出した。
まず次女が、「おかさんのおなかの中に、TVあったんだよ」
「TVはずっとつけっぱなしだったよ」
「TVで見ていたんだよ」
「それから、ベッドもあったよ」と言った。
すると、長女まで「そうそう、TVあったよねぇ」と妹に言ったので、
少なからずショックを受けた。

以前から次女は時々、「ママのおなかの中で、TV見ていたよ」と
言うことがあったが、冗談かと思っていた。

姉妹が私をそっちのけで、「ベッドあったよね」「うん」
「わたしの二段ベッドだった。上は誰もいなっかったけど」
「TVずっとついていたよね」「うん、明るかった」・・・
と話が盛り上がっている。

待って待って。私のおなかの中のことでしょう?
私はびっくりして、いろいろ聞くことにした。
おなかの中は暗い筈。入口や出口や窓なんてないでしょう?

「ねぇ、TV本当についていたの?」
「うん。何も映っていなかったけど、ガーって明るいの」
「うん。TV明るかったよね」と、二人は声をそろえて言った。

「その光って、どこから入ってきたんだろうね。」
「お母さんが、2人を大事に大事に、おなかの中で育ってね。
って、毎日思っていた灯りなのかなあ」と言うと、
2人は、にこにこして聞いていた。

3才位までは、おなかの中での記憶があると聞いたことがある。
その頃は、大きな布をかぶせた暗いせまい空間が落ち着いて、
好きだったこともあったっけ。

赤ん坊の記憶の不思議については、よくわからないけれど、
人の心の中って、明るい光が入っているのかなと想像してみた。



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雨宮清さんの講演を聴いて

2011-11-02 | 気になる人、ことば
「この国を助けてください。」
地雷を踏み、足を無くした子供達が大勢いるカンボジアで、
16年前に出逢った、やはり膝から下を無くした老婆の言葉が、
雨宮清さんに対人地雷除去機の開発のきっかけをつくった
という。

先日、山梨日立建機の雨宮清さんの講演を聴いた。
山梨市が雨宮さんの出身地ということで、
特別に、中学校のグランドに地雷を4つ埋めて、
地雷除去機で爆破させ、地雷を除去する実演をして下さった。
平和な日常とは打って変わり、恐ろしい光景だった。

雨宮さんは、「モノづくり」として、地雷除去機を開発し、
命をかけて地雷除去に挑み、地雷埋没国の土地を、
安全で肥沃な緑の大地に蘇らせている。

地雷除去機(FH式)の後ろには鋤(すき)が装着されていて、
地雷が除去されると同時に、大地を耕していく。
そこに、現地の人々と作物の種をまいていく。
雨宮さんのモノづくりの心が、多くの人々の苦しみを
取り除いていく。

「子供たちの笑顔が永遠につづくように」、
「世界の地雷原が、豊かで平和な大地に変わっていくように」、
あくまで技術者として、国際貢献を行っている雨宮さんの姿に、
心から感動する。

地雷が埋まる大地に生きる日々など、
日本人には想像もつかない現実を生きている人々がいる。
同じ命を頂いている人間同士なのに、戦争や利害の対立が、
人類の宝物である筈の子供達や、未来の命を傷つけている。

地雷を埋めた恐ろしい人間の手とは逆に、雨宮さんのモノづくり
の心と手は、暖かい大きな人間の手として、たくさんの命を救い、
地雷に汚染された土地を、実りの大地に変えていく。

子供と一緒に、雨宮さんの講演を2回聴く機会に恵まれたが、
「自分のできる能力を、誰かのために役立てる。」
「人のためになる生き方をする。」
シンプルだけど、これこそ生きていく意味だと思った。

日本は、3月に東日本大震災を経験したが、自分の子供に、
平和で過ごせることのありがたさをよく知らせ、
天災はどうすることもできないが、
人災を防ぎ、人類が平和でいられるためには、人々の努力が
必要であることを教えていきたいと思った。

いつも頭のどこかに、雨宮清さんの仕事を思い出し、
人生の目的を間違わずにいたいと思った。

「何をやるべきか、何をしたいか、わかっている人たちは強い。」
「使命感と目標が、人間の能力を、最大限に高める」
という、村上龍氏との対談TV「カンブリア宮殿」での氏の言葉を、
雨宮さんは、熱いメッセージとして、
会場の皆に置いて行かれた。



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