詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

茂木健一郎さんのことばから

2009-12-21 | 気になる人、ことば
以前読んだ、脳科学者 茂木健一郎さんの『脳と仮想』は正直、
むずかしかった。
でも、仮想世界が、脳の中では、現実に起こったことを記憶
するのと変わらないということは、納得がいった。

昔から、心にひっかかっていた問題。
詩的現実は、「現実」ではないけれども、人間の心にとって
「真実」であることの、証明のような気がした。

ところで、ここ数日、茂木さんの新しい本『脳が変わる生き方』を
読んで、とてもおもしろかった。
脳科学ブームだそうで、本屋さんにはおもしろい本がたくさん
あるが、この本は、名著だと思う。

中でも、私は「思っていることを、言わないでほしい。」という
フレーズに、茂木健一郎さん流にいうと、「しびれた」。
仏教の「無記」という思想について触れられていて、それは、
この情報時代に、誰でも、誰に対しても、何でも口にしてしまう
現代において、私たちに、とても大事なことだと思った。

吉本隆明氏に「本当のことを口に出せば、世界を凍らせるだろう」
という有名なことばがあるが、
この恐ろしいまでの詩人のことばを、いつも心のどこかに忘れず
にきたが、その意味が少しわかったような気がした。

ことばは、どんなに費やしても、雄弁であっても、本当のことは
いいあてられない、本当に大事なことは、ことばとことばの間に
落ちていってしまう、という思いを私は持っている。
詩をかこうなんて思いながら、とても情けないことかなと感じて
いたけれど、茂木さんの本を読み、それでいいいのだと思った。

太陽をめぐる地球や火星や木星などのように、真実のまわりを
めぐる、ことばの惑星でいいのだ、という気がする。
ずばり「太陽」といっても、太陽を全て言い表せるものではない
のだ。もし、言い当てることができてしまったら、一瞬にして、
焼け焦げて、終わりだ。

生きるとは、詩とは、もっと、揺れ動く風のような、空気をはらんだ
やわらかなものでいいのだ、という気がしてくる。




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ことばのリレー3 しりとり力

2009-12-14 | 子供のこと、子供のことば
やっぱり、しりとり力はすごい。
寝付きの悪い娘の、夜寝る前の習慣となった「しりとり」。

6才の次女の語彙も、たくましくなってきた。
かなり、すらすらと、すごいことばがでてくる。
「ウーン、すごい!」と思わず、うならせてもらう。

子供よりも、母親に最初におそいくる睡魔に、ことばの
メモをとれず、忘れてしまった傑作も多々あるが、
おもしろかったことばを、少しあげてみる。

<しりとり語索引>(ランダム)

アーあこがれ 
イーいなか・いなかぐらし
ウーうたたね・うみべ
カーかんざし・海外旅行・かいそう
ギーぎんのダチョウ
クーくさむら 
ケー結婚式
コーこえだ・コミニュケーション(x)
サー作曲 
シーしわ・視力・シルエット
スーすなぼこり・水槽・スイトピー・スノーボード
ダーダンス
ツーつりびと・つりばり
トー都会
ネーねぶそく 
ベー別荘 
ぺーペット
マーまねきねこ・まき
メーメレンゲ
ヤーやすらぎ
ラーらくがき・ラムネ・らっかせい
リーリゾート
ローロマンチック

布団に寝かせて、目をつぶらせて、子守歌がわりの
しりとりなのに、時々「わっ」と、目がさめてしまう驚き
を味わう。
もう少し、ウトウト続けてみようと思う。




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2009-12-10 | My詩集から
水たまりに 雨のしずくがおちる
細くつらなり つぎつぎにおちる
雨は 着地点を中心に
円をえがく
自分よりもおおきな円をえがく
リズミカルな
雨の呼吸の音をきく
雨のうたをきく

土のうえに 石のうえに
わたしたちのきざむ足音も
こんなふうなひびきなのかもしれない
見知らぬ土地へたどりつき
なつかしい人々と
手をつないでは
心をほどいていく
わたしたちの笑う声が
空中にちらばり
天にとどくと
また雨が仲間に入れてと
やってくるのだ
地上にもっとたくさんの輪をつくりたくて

 
             詩集「ひかり」より



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黄金の大地 (連詩 2)

2009-12-03 | フリー Poem
暗やみの 時間に
光は 生まれる

新月
真っ暗な 地面に
たたずむ 異国の人の群れ

わたしには 見えないものが
はっきりと 見えている

彼女たちに ならって
見えない手の 指先のむこうに
目をこらす

つかまえることのできない
雲のように
ふくらんでいく 広がりの中で
私の一歩を どこへ 出せばいい?

巨人の国 闇の国に
踏みこんでいる

沈黙を 聞きとれ




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「こっちがダメなら、あっち」

2009-12-01 | 子供のこと、子供のことば
小さい子といると、子供が言い出す大抵のことは、
第一声、「ダメ」と言ってしまう。
忙しい中で、親が大変になる、面倒くさいという
理由から、条件反射のように「ダメ」を発声して
しまうことがある。

心では50%くらい「いいよ」であっても、とりあ
えず「ダメ」と言う。子供の出方をみる。
子供が願望を実現する為には、親を何とか説得し
なければならない。
1回であきらめられると、「え?そうか」と思う。
少し、かわいそうになり、心が痛む。
子供が泣き叫んで、思いをとげることがある。
この手を、頻繁に使われては、いけない。

先日、次女は、あっけらかんと
「こっちがダメなら、あっち!」と言って、笑って
さっさと、思いを実行していた。
そう、それでいいのだと思う。
あの手この手を使って、大人の「ダメ」を打破して
いかなければいけない。

私も、いろいろと親の反対を押し切って、生きてき
た。親の意見というのは、だいたい保守的だ。
子供を思えばこそ、事なき平穏を望む。
でも、それでは、人は生きていけない。
未来は、止まらない。
未知なるものへ向かって、日々、生きて行かなけれ
ばならないのだから、自分の想像力、判断力、行動
力を養う方がいい。

又、社会は、肯定されるよりも、否定されることの
方が多いことも、わかった方がいい。
だから「ダメ」を打破する力が必要なのだ。

とりあえず、親の「ダメ」を破って、自分というも
のが望む方向、そして、たくましく生きる方向へ、
進んでいける力をつけてネ、と思うのだ。




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