…先刻、一日中激しく降り続いた雨が、にわかにあがったばかり。いつのまにか、また夜になった。雨に光る石畳の路が続く街。石畳のストリート。放射状に拡がる大きな交差点を横切り、急ぎ足で細い通路へ入る。その通りを抜け線路の向こうへ帰りたいのだが、あいにく遮断機は、かれこれ半時も下りたまま。夜中の、貨物列車が通る時間なのだ。踏切警告機は夜間は音を消している、赤い点滅ランプは止まない。…
戻って戻って…
誰かが呼んでいる。
後ろを振り返る。
この声は、どこかで聴いたことがある。
暗がりに目をやるが、人らしき影は何も見えない。猫、案の定、黒猫が、曲がり角を横切っていく。ついて来い、とでもいうように、決まって現れる猫、ギータに違いない。夜ストーリートを徘徊する猫、たまに人間の言葉も喋るという猫。
ギータの後をついて行くでもなく、ついて行く。見失ったら、それはそれで引き返そう、そんな気持ちだったのだから。
だが、猫は、注意深く僕を誘導する。僕の歩く速度が遅くなり、離れそうになると振り向いて鳴いている。わかったよ、どこまでもついていくよ。
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誰かが呼んでいる。
後ろを振り返る。
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暗がりに目をやるが、人らしき影は何も見えない。猫、案の定、黒猫が、曲がり角を横切っていく。ついて来い、とでもいうように、決まって現れる猫、ギータに違いない。夜ストーリートを徘徊する猫、たまに人間の言葉も喋るという猫。
ギータの後をついて行くでもなく、ついて行く。見失ったら、それはそれで引き返そう、そんな気持ちだったのだから。
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