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塔 和子(とう かずこ)さんの詩

2013-10-01 | 気になる人、ことば
塔 和子(とう かずこ)さんが亡くなって一か月が過ぎた。
数日、陶さんの詩を、読んでいた。

1929年に愛媛県で生まれた塔和子さんは
14歳の時、ハンセン病を発症し、
1943年に国立療養所大島青松園に入所。
病気は治るが、後遺症の為、療養所にとどまる生涯だった。

ハンセン病は感染力も弱く、現代では完治する病気だ。
しかし、愚かな人間の浅はかな偏見と、病気への恐怖心から、
脆弱で卑劣な人間の心が社会の多勢を占め、
ハンセン病患者を隔離し、この病気の差別史は続いてきた。

陶さんの詩を、静かに読んでみる。
心に、深い傷を持ち、いのちの深淵をのぞきながら
歩いていった人の言葉の前に、かなうものはなく、
頭を垂れて、その言葉に聞き入るのみだ。

詩とは、何だろう。
陶さんのいのちのまなざしは、言葉へと変貌し、
病苦と闘う絶望の淵で、そこに光を見つけ、
美しい花を咲かせる。
言葉というものが、人間が生きていくために、
どんなに必要なものなのか、ということを
思い知らされる。

陶さんは、<透明な祈り>という。
深い傷を心に持ちながら、見たもの、触れたものを
希望の光に変えてしまう詩人の言葉。
彼女の生涯を通じての祈りは、美しい光で世界を
包んでいくような、清らかな覚悟のように感じられる。



  



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