詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

あなたの言葉がわからなくて

2014-02-24 | フリー Poem
剥がれていくように
雪が 土の上から
形を消していく
あんなにも 私たちの進む道を
急激に 遮断してみせた雪

一昼夜で
120年前の記録を破るほどの
大雪となって
私たちに たくさんのことを
語ったのだ

でも あなたの言葉がわからなくて
右往左往致しました
そして 私たちの
大切な命も 失われました

そうまでしても
あなたは降りつづけ
白い絹布で 地上を覆い隠した

今地面には あなたの声を聞きとった
草の種たちが目を覚ました

陽の光で 今にも雪片が消えゆく場所に
鮮やかな 小さなオオイヌノフグリが
青い花をのぞかせている




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オリオン座を探している

2014-02-21 | ショートPoem
小さい時に オリオン座を見た
今も 時々見上げている

明日も 今日のように
ふっと 空を探している

そのうち いつか 
私がいなくなっても
空には
オリオン座が輝いていて
今はまだ 私の小さな娘が
自分の幼子の手をつなぎ
ーあれはね
と教えているのだろうか

そんな時間が
地球上に
あたり前のように
つづいていくといいのに



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蟻の夢

2014-02-15 | フリー Poem
ある日 蟻の大群が押し寄せてきた
大地が 揺らいでいるようにみえる

何しろ 蟻の大群だから
私の両眼の 視覚いっぱいの地面に
うごめき歩いている

何のために?
私を倒して 何になるのか?

先頭の 大群を率いる蟻の隊長は
一方的に 少しだけ 
人間の言葉を話した

おまえを倒すためではない
ここには 人間よりも長い間
われわれの国があることを
知らせに来たのだ 

昨夕のおまえのように 鈍感な足裏で
蟻を踏みつぶしたと思ったなら
大間違いだ
地上と地底をつなぐ蟻の王国は
そんなことでは 滅びはしない 

これから一日おきに
地上へ 城をつくりにあがってくる
おまえには それが見えるかな

そう言い放ち またたく間に
隊長は 大群を率いて
土の中に飲みこまれていった
地球のふところに抱かれている蟻だ

これは 夢ではなかったと思う朝




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未来は 誰にも わからないが

2014-02-13 | ショートPoem
未来は 誰にも わからないが

ああしたい こうしたいと思い描いていても
まるで ちがう今日がくる

だが 絶望はしない
途方に暮れながら 
繰り返し
眠れない夜を 過ごしていれば
美しい鳥たちが 新しい朝を連れてくる

死に往くもののかたわらに
悲しみに沈む世界に
これから 生れ出ようとする幾万の
いのちの産声が
空にひびく未来が 
足元に 打ち寄せている



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二人はカマクラを作りだした

2014-02-11 | 子供のこと、子供のことば
子供たちにとっては、ラッキーな休日。
大雪が降ったため、部活や大会が中止になり、
遊びたいだけ、遊べる日となった。

外は、ゲレンデと見間違えるほどの雪。
家が小高い場所にあるので、積雪も多い。
何年ぶりだろう。
子供たちは、降り積もった雪の山を見るや、
カマクラを作りだした。
以前は、妹が小さかったので、姉の言うなりだった。
しかし、今回は、派手な大げんかをしながら、
二人で作った。
横暴な姉の言動に、キレる妹。
見かねて、私が妹に、「作るの止めれば」と
言ってはみたが、後は放っておいたら、
夕方、「カマクラ完成した」と呼びに来た。
「あんなに大げんかしながら、よくできたね」
驚きの方が大きかった。

「写真に撮って」と言うので、カメラをむけると、
二人とも、何事もなかったかのような笑顔。
女は恐ろしいな、と思ったけれど、
カマクラの上に置いた、二人で作ったミニ雪だるまに
フと目をやると、雪の化身のような雪だるまが、
やさしい顔で、笑っていた。

子供のやりとりを、楽しそうに見ていてくれたのだ。
二人が、雪の世界に遊ばせてもらった時間が
暖かみを増して、ふくらんだ。


  




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あした、という言葉はきれいだな、と思う

2014-02-08 | ひとひらのPoetry
あした、という言葉はきれいだな、と思う

あまりにも疲れてしまった夜に
「また、あした」

あしたやればいいこと
あしたになれば、変われること

あしたがくるということは
あしたも生きていられる
ということ
だから
「また、あした」


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光の氷片

2014-02-06 | Photo-ry (写真)
   


   今にも溶けていく氷片
   まもなく 跡かたもなく消えていくのだろうが
   たしかに 
   きよらかな水滴を閉じこめ
   ふりそそぐ光を包みこんでいた

   あの日の光を凍らせて
   輝きを 足元に届けてくれていた
   遠い天体の
   火星に残った氷みたいに
   美しい光の時間が記憶されていた



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生きる風景

2014-02-03 | 詩を歩く
このブログに、以前にも書いたことがあるが、
旧山梨日立建機㈱(現㈱日建)の雨宮清さんのこと。
雨宮さんの開発された対人地雷除去機の映像が、
いつも心の奥深いところにあり、甦る。

埋まっている地雷を除去した後に、
地雷除去機の後ろに装備された「リッパー」(鍬)が
荒地を耕し、生まれ変わった大地に、
人々が食物の種を蒔いていく光景‥。
地雷原を、豊かな実りある大地に変えていく様子。

又単に対人地雷除去機を輸出するだけでなく、
実際に地雷を除去し、機械の操作方法や
メンテナンスを教え、トレーニングを繰り返し、
現地の人達の仕事として手渡していく姿。

日本と地雷被害国を往復し、地雷が埋まった土地を、
豊かな緑の大地に変えていく雨宮清さんの仕事を、
心から、尊敬して止まない。

人間の戦いの後。そして、尽きない戦争への道。

本当に大事にしなければいけないものは、
生きるもの皆に共通するいのち、だと教えられる。

人間には、苦しいことがたくさんあり、
生きるとは、本当に大変なことだと思う。
でも、どんな時も、大地に種を蒔くように、
花や実を育てるように歩かなければ、と思う。

   雨宮清さん 地雷原が豊かな大地に復興されるために 



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