詩の現場

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白いレプリカ

2010-02-11 | My詩集から
夜ふけに
歩きまわるくせが
なおらない
人間の夜明けに
たちながら
長い長い夜ふけ
長い長い夜明け
縄文人が
めざめた朝
あれから 地球は
かたむいたのかどうか
私たちの垂直歩行は
地平線にぶつかっては
きえていく
下弦の月が 北の天高く
かけたままなのはなぜか
緯度をななめにさかのぼる
月がまるみをおびる地点まで
歩いていくのだ
日がのぼる国を
いくつもいくつも
とおりすぎて
いまは 聖徳太子にも
卑弥呼にもあわず
白いレプリカを
手にいれるために
彫刻家の工房へ
たちよる
ホップを植えると
いいね
人類のために
ミューズが
酒屋の主人を
ゆりおこしてくれた
畑は ひげののびた
とうもろこしが
漆黒の風に
たなびく時間


        詩集「月がまるみをおびる地点まで」より


               

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