SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「潜水服は蝶の夢を見る」

2008年06月17日 | 映画(サ行)
 一人称の映画だ。主人公は突然の病に倒れ、全身が麻痺する。唯一自分の意志で動かせるのは左眼だけだ。その瞼の瞬きで綴られた物語。

 ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)という身動き不能状態を潜水服に例えている。脳の働きには以上が無いので、「記憶」と「想像力」がいかに人間の生命を支えるか、その記録となっている。

 病室で意識が戻るところから主人公の見たままの光景が映像となって映し出される。眩しかったり、ボケたり、目をつぶったりがそのまま映画の画面となる。
 右目も見えるが瞬きは出来ない。したがってそのままでは目が開きっぱなしとなるため縫い閉じようということになる。冒頭で、その針と糸による外科的処置が一人称により、すなわち瞼の内側から右目に見える光景として描かれる。

 コミュニケーションの唯一の手段が左眼の瞬きだ。医師が読み上げるアルファベット26文字の該当文字が発声された時に目を閉じて合図する。26文字の終わりの方だったらその間ずっと目を開けていないといけない。ただし読み方は頻出順なのでabc・・・の順ではない。

 それ以外ならモールス信号を瞬きで送ることも可能だろう。「ジョニーは戦場へ行った」では主人公が頭の動きによるモールス信号を思いつき、これが唯一のコミュニケーション手段となった。脳が正常であることは共通だが、ジョニーの場合は顔面がなかったのだから・・・。