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SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

「Into the Woods」 ~ 驚くべき学生演劇

2005年10月03日 | 音楽・演劇・美術・文学

 ミュージカル「Into the Woods」を見た。1988年初演のブロードウェイ作品を東大教養学部内の駒場小空間で学生劇団が演じていた。休憩をはさんで3時間の大作、見ごたえがあった。

 シンデレラ、赤ずきん、ジャックと豆の木などが渾然となった物語で、登場人物それぞれの「願い」がかなえられるハッピーエンドでAct1は幕となる。
 これだけで終わっても面白い作品だった、と言えるだろう。が、第2幕ではさらなる彼らの「願い」、すなわち際限のない人間の欲望と、悲劇、憎しみの連鎖、破壊、そして再生と希望という深くシリアスなテーマが展開していく。

 作詞・作曲:スティーブン・ソンドハイムの難しい曲を学生たちが良くこなしており感心すると同時に感動した。もちろん原作のよさがあるにしても・・・である。

 日本では2004年に宮本亜門のステージが公演されたが2006年の再演が決定しているそうである。アメリカ版はDVDがamazonでも入手可能(ただしリージョンコードに注意が必要)。

GOTH ~ 住みたくない町

2005年09月13日 | 音楽・演劇・美術・文学

 乙一の作品。

 男女の高校生が主人公だが、カップルというよりはコンビだろう。高校生の主人公に対して一般的に期待される「青春」像はまったくない、奇妙な味わいを残す。漫画で言えば「笑うセールスマン」とか「悪魔くん」など、素直に感情移入できないアンチヒーロー物に近いだろう。それが猟奇的、血なまぐさい、という用なキーワードで紡がれていく。

 全6作の構成で、彼らが主役だったり脇役だったり、全編を通しての狂言回し的な役割となる。したがって短編集であるが連作といったほうが良い。
 すべての物語が彼らの身近で起こっているわけだから「けして住みたくない町」の一つであることは間違いない。

 アッというトリックを楽しむ快感はたまらないが、絶対映画化はできないだろうなという、文字だからこそ可能なトリックもある。もっとも、ただ青い画面が最初から終わりまで続く「ブルー」という映画があるくらいだから、その手法を持ってくれば映画化もありうるか?

楽園

2005年08月06日 | 音楽・演劇・美術・文学
 銀座のデパートで写真展「楽園」を見た。

 写真家・三好和義のデビュー以来の軌跡を確認できる、とても見ごたえのある写真展だ。南の島やチベットの山、世界の楽園ホテルなどとても盛りだくさん。しかし中でも、もっとも意外性があり物量的にもたっぷりと堪能できたのは四国八十八箇所を捉えた作品群だった。写真家の目を通してこんな風に見えるのだと新たな美を発見できた。

 会場のBGMがまた美しい曲だった。出口付近で写真集やポストカードの販売コーナーにこのCDも出ていたので見たら、映画「星になった少年」のサウンド・トラックで坂本龍一の音楽だった。

ダ・ヴィンチ・コード

2005年05月18日 | 音楽・演劇・美術・文学
 ユーモアにあふれた語り口で謎に満ちた知識の扉が次々に開かれていく。それにしても致命傷を負って死の間際にあれだけの壮大な仕掛けを残せるものだろうか、というのが最大の謎である。単行本上下二冊の大作だが時間的にはわずか1日の物語である。こうなるとあの「24」シリーズが頭に浮かんでくる。番外編として、誰か「ダ・ヴィンチ・コード」を「24」スタイルのドラマシリーズにしてみないか。一方ですでに映画化は進んでいるようであるが、こちらは壮大なミステリー娯楽大作になりそうで、これも楽しみ。

幽霊船

2005年04月26日 | 音楽・演劇・美術・文学
 劇団サーカス劇場の「幽霊船」を見た。「火」と「灰」をキーワードにプロメテウス神話と第5福竜丸の帰還を重層的に描いた力作である。登場人物が謎に満ちており明快な説明があるわけではないが、大きな劇場でも通用する台詞回しが小空間で明瞭にむしろガンガンと響いてくる感じだった。作・演出の清末浩平はやや観念的な作風が好みを分けるが言葉の美しさを大切にしているようだ。ビジュアル、音楽は蜷川的と形容できるかも。

マオリ・ソングズ

2005年04月12日 | 音楽・演劇・美術・文学
 オペラ歌手のキリ・テ・カナワがマオリの音楽を歌ったアルバムを見かけた。ジャケットにはあえてKIRIとアーティスト名を記している。名前からも分かるように彼女はマオリの出身者としてはもっとも知名度の高い一人である。
 一時間足らずの時間の中でさまざまな曲想を歌い分けているが、マオリの声や音と彼女のクラシカルなやさしさに満ちた響きが混ざり合い、懐かしいような、心癒される優しさで空間を流れてくるのが良い。
 ニュージーランドでは新譜のような並び方をしていたが、1999年の録音である。日本でも「マオリを歌う」というアルバム名で発売されていたようであるが、すでに生産が中止されている。ニュージーランドのCD価格がどのように決まるのかは知らないが、いろいろなショップで見た限りでは28nz$から44nz$までの開きがあった。amazon.comでは17us$くらいで入手できる(+送料)。