ずっと観たかった映画「フローズン・リバー」をやっとやっとDVDで観られました。
2008年のアメリカ映画。
それも新鋭の女性監督コートニー・ハントの初長編作品。
低予算のインディーズ作品ながらサンダンス映画祭でグランプリ。
そして第81回アカデミー賞でもオリジナル脚本賞やその他ノミネートされた評判の高い作品と聞き、いつか劇場で観たいと思っていたのです。
日本ではなかなか公開が決まらず、それを憂いて「シネマライズ」さんが名乗りを上げた事も聞きました。
でも結局私は劇場では観られずDVD化を待っていたのですが。
物語の内容は・・・
ニューヨーク州とカナダの国境にあるセント・ローレンス川を舞台に、多額の報酬と引き換えに、不法入国者を手助けする白人女性とモホーク族女性の運命を描くドラマ。
違法な密輸ビジネスにかかわる女性たちの実話をベースに、子を守る二人の母親たちの姿を力強く映し出す。
97分の中にアメリカの抱える先住民の問題、貧困や不法移民の密入国問題、さらには人種差別もリアルに描かれ、それらの問題をさらに飛び越えた時に生まれた「人間愛」が見事に描かれていました。
特にギャンブル好きな夫に新居資金(と言ってもトレーラーハウス購入資金)を持ち逃げされ途方にくれる白人女性レイ(メリッサ・レオ)の最初のシーンから迫力がありました。
荒んだ肌、あちこちにタトゥーを入れ、その疲れ切った投げやりな表情で煙草を吸い、涙を流すシーンから始まります。
トレーラーハウスの残金もテレビのローンも払えず、さらに食べるものにも事欠く生活。
そんな場所で15歳の兄TJと5歳の弟リッキーを必死に育てようとするレイ。
一方、先住民「モホーク族」の女ライラも夫を亡くし1歳の息子を義母に奪われている状態。
ライラは違法な仕事をしつつお金を息子の暮らす家にそっと届けているのです。
そんな二人の母親が知り合った事で、凍った川を車を走らせて密入国者を運ぶ危険な仕事をする事になるのですが、その流れもすごく自然に淡々と描写されていました。
最初は銃を向け合うレイとライラがあるモノを運んだ事から「母」の表情になり、そしてお互いの子ども達のためにお金が必要なのでどんどん深みにはまっていく・・・
ギリギリに追い詰められた二人の女性の生き方がストレートに伝わってきます。
そして最後にとうとう危険な立場になった二人が選んだ決断の意味する「救い」が、あとからジンワリと心にしみてきました。
決してお涙ちょうだいではなく、感動の押し売りでもなく、最初から最後まで強さを貫いたレイとライラの表情が本当に感動です。
それ以外にも15歳の息子TJの気持ちの揺れや親を想う心、弟を支える優しさが何とも言えません。
う~ん、やっぱり予想通りの映画でした。
地味で色彩も暗い映画ですが、実話を元にしただけあって中身の濃いハードな映画でした。
最近シネコンに行っても観たい映画がない私。
こんな作品は力を入れて配給してほしいです。
とっても地味ですけどね。
今回の評価は・・・ 星4つ ☆☆☆☆ あのタラちゃんも絶賛とか。