映画「レスラー」をDVDにて鑑賞。
この映画は観ている時よりも時間が経つほどジワジワと心に染みる映画でした。
ミッキー・ロークと言ったら「ナイン・ハーフ」と猫パンチの記憶が強く残っています。
そして何度も整形をしたと言うほど以前の面影は感じられません。
もしかしたらミッキーと思わなくても、まったく別の俳優と思っても自然に感じられる・・・そのくらい別人でした。
でも、やっぱり彼が演じてこその映画だったのです。
(当初、ニコラス・ケイジ主演予定だったのが、監督がミッキー・ロークにやってもらいたいと思っていて、ニコラス自身があえて降りたと聞きました。)
80年代のプロレス全盛期のランディー(通称ラム)は勢いがあったものの、いつの間にか
当時の面影は薄れていった現実。
それでも髪を金髪に染め続けて、日焼けサロンに通いながらプロレスラーの意地で生きている毎日。
月日の中で、長年使ったステロイドの影響で心臓に爆弾を抱えている状態でした。
家族は離れ、生活もやっとの毎日、ランディーの気持ちが癒されるのがストリップで働くパム(マリサ・トメイ)でした。
なかなかうまくいかない人生の中で「自分の居場所はリンクしかない!」と思い、命がけの再戦をするという内容です。
いや~、落ちぶれっぷりが最高でした
レスラーの闘いのシーンは血まみれで痛々しい描写ばかり。
それでも舞台裏では試合の流れを敵味方同士で確認するのが当たり前。
そうです、プロレスは見せて楽しんでもらうショー!なのですよね。
カミソリやいろんな小道具を使うのも、ネタのようでした。
闘う相手さえお互いに尊敬しあっているかのようなレスラー達でした。
ラムが惣菜売り場で働くシーンとか、老眼の目を駆使して娘に電話をかけるのも何とも言えない場面です。
身体は相変わらずマッチョなのに今にも止まってしまいそうな心臓。
息遣いも荒く、それでもリンクに立つ姿は、ロッキーとか思い出しました。
そして私の大好きなマリサ・トメイはとても可愛い。
相変わらずの脱ぎっぷりで身体を張っての演技はいつもですね。
脱がなくても充分実力があるはずなのに・・・
(彼女の出た「忘れられない人」も大好きです)
格闘技はあまり好きではありません。
だからプロレスものと聞いてあまり興味がなかったのですが、ミッキー・ロークの頑張りにすごく心を打たれてしまいました。
観ている時は普通だったのに、あぁ、良い映画だったな・・・と記憶に残りました。
ブルース・スプリングスティーンが捧げた曲も良かった。
もう、あの猫パンチのミッキーとは言いません。
あれがあったから余計に際立つ「レスラー」なのでしょう。
彼の渾身の代表作となった作品です。
去年のアカデミー賞授賞式で多くの俳優に温かく迎えられていたシーンを思い出します。
「帰ってきたミッキー・ローク」と拍手が鳴り止まないくらいでした。
そんな訳で、ジワジワと染み入る感動で今回の評価は・・・ 星4つ ☆☆☆☆
「80年代最高! 90年代最悪!」