”SUDENMORSIAM”by JOHANNA KURKELA
この人も初めて聴く人だが、フィンランドの人気ポップス歌手とのこと。北国の澄んだ大気の広がりに、いかにも似合いの澄んだ可憐な歌声を響かせる。音楽そのものも、またジャケ写真など見ているとその外見も妖精めいて、アイドル歌手かとも見えるのだが、既に彼女、歌手としてのキャリアは10年近いものがあるようだ。
在フィンランドの日本人によるネット上の文章に、「フィンランドの大衆音楽はヘビメタやラップなど、どうも好きになれないものが多く残念なのだが、彼女だけは別」といった表現があり、かなりかの国では独自のポジションを保つ歌い手のようだ。いわゆる、「こんな世の中で耳にするとホッとさせられる」という存在か。
彼女の歌声も、それを包むサウンドも、シンプルながら極北の森の国の幻想に聴く者の心を遊ばせてくれるのだが、その元ネタは汎ヨーロッパ的な中世的官能美演出や神秘なケルト趣味などでもなく、これもフィンランドの大地の上に伝承されてきた素朴なフォークロアにもとずくもののようだ。
などということを書いていると、ムーミンなどという絵物語などふと思い出してしまったのだが、あれはフィンランドのスエーデン語圏で書かれた物語だったか。
決して激することなくじっくり世界を見据え、内なる物語を静かに語り継いで行く。ある人のレポートにあったような北国の小さな教会における彼女のライブなど、いつか見ることができればと想う。