”Benet Ousoul”by Diana Haddad
レバノンのベテラン女性による、アラブ世界最新流行のハリージー・サウンドに挑戦盤!という感じなんでしょうか。なんて言ったら怒られるかもしれない、堂々の真打ち登場!みたいな貫禄の出来上がりです。
ところでですね、辛味というのは実は味ではない、なんて話を昔、聞きました。あれは甘味や苦味なんかと同じ舌の味蕾で感じる”味”ではなく、痛みの一種なんだそうで。そうすると、このようなサウンドの中でビシバシ鳴っているのも実はリズムではなく、別の何かなのかもなあ。
などと滅茶苦茶なことを言い出したくなってしまったのも、アラブ湾岸民俗リズムがグラグラと煮込まれ揺れ動く窯をドスドスと拍ごとに、もうそれこそドイツ民族の得意とするハンマービートの如き容赦のなさで置いて行くような身も蓋もなさに、うわ凄えな!と嬉しくなっちゃったから。
なんて、誰にも意味が取れないようなことを書いてみてもしょうがないんですが、頭に浮かんだことをそのまま書いたらこうなっちゃいました。まあ、ノリで読んじゃってください。
こんな訳の分からないことを言い出したくなったのも、この身も蓋もないリズム処理と、それに動ぜず、むしろノリノリでハスキーな声を張り上げコブシを廻し倒す歌手Dianaの姿に、遠世界未来世界のサド・マゾ・ショーを見る、みたいな気分になってきてしまったから。いかん、書けば書くほど意味不明になって行く。
それにしても、どの曲もさんざん盛り上がった末に、エンディングは「以上、時間となりましたので終了します」みたいな感じでパタッと終わるのが面白い。このあっけなさがまた、コンピューター支配のイスラム社会を幻視させてくれたりしてね。いやあ、刺激的だこと。
ところでこのCD、ジャケが左右逆になってますね。なんというか、プラケースを開けようとすると、ジャケ写真の歌手を逆立ちさせるようにしなければならない。左利きの人には、これでちょうどいいんだろうか?この処置、何か特別の意味があるとして、その真相をご存知の方、ご教示いただけたら幸いです。