とても久しぶりにポール・オースターの本を読みました。
なぜ、この本を選んだのか、もう理由は忘れてしまいましたが、
きっと題名に惹かれたのでしょう。
『ブルックリン・フォリーズ』
ブルックリンは、アメリカニューヨークのブルックリンで、フォリーズは
Folly 「愚行」「愚かさ」という意味のことばです。
主人公のネイサン・グラスは、60歳を前にして保険外交の仕事を
早期引退して、「静かに死ねる場所」を求めて、3歳まで暮らした
ブルックリンに戻ってきます。
久しぶりのオースターの小説、しかもそんなはじまりで、返却期限内に
読み切れるかなと今週の初めは心配でしたが、それは杞憂であったことが
すぐにわかり、加速度的にページをめくる手は早くなり、そのおもしろさに、
数日で読み終わってしまいました。
あとがきで訳者の柴田元幸さんも書いているように、この小説は、オースターの
作品の中では、かなりユルく、もしかしたら、もっとも読みやすい小説では
ないかと思います。
オースター自身がシナリオを書いた、映画『スモーク』の、
書店版のような感じさえします。(「ブルックリン~」の方が楽天的というか
喜劇的要素多しですけど)
ポール・オースターって、むかし読み始めたけど挫折した、という方や、なんか難しそうと
今まで敬遠してきた方も、ぜひこの本を読んでみてもらいたいなあと思います。
そうして、最後のページにきたならば、私がこのログのタイトルにつけた
「ひかりかがやく9月の朝、ブルックリン」に、ああそういうことだったんだ、と
頷いてくだされば、すごくうれしいです。
余談ですが。
この本の日本語版の表紙と挿絵は、大野八生さんのイラストなんですよ。
ブルックリンの空気感や、そこで生活している人の営みが伝わってくるような
ステキな絵です。
よーく、じっくり見ていくと、「工房からの風Tシャツ」の、後ろに描かれている
お馴染みのネコが、どこかに隠れています♪