報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵の帰京」

2020-04-19 15:55:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月15日16:44.天候:晴 千葉県市川市 京成八幡駅→都営地下鉄八幡駅]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 埼玉でまさかのBOWの襲撃に遭い、気が付いたら千葉県の東部にいたでござるという展開があった。
 で、今は電車に乗って事務所へ向かっているところ。
 さすがに高野君も驚いていたようだ。

〔「まもなく八幡、八幡です。お出口は、右側です。都営地下鉄新宿線は、お乗り換えです。八幡の次は、高砂に止まります。通過となります菅野、市川真間、国府台、江戸川、小岩をご利用のお客様は降りたホームでお待ちください。各駅停車、上野行き、47分に参ります」〕

 東京都営地下鉄でありながら、唯一千葉県にある駅。
 京成電鉄の本社もここにある。

〔「ご乗車ありがとうございました。京成八幡、京成八幡です。都営地下鉄新宿線は、お乗り換えです。快速特急、上野行きです。京成高砂、青砥、日暮里、終点京成上野の順に止まります」〕

 私達は電車を降りた。
 ここからJR総武線に乗り換えることもできるが、ライバル関係だからなのか、京成では一切案内しない。
 恐らくJR側も案内しないだろう。
 両社に挟まれ、一応の中立を保っている都営地下鉄だけが案内されるわけだ。

 リサ:「おー、あったあった」
 絵恋:「うん、あったね」

 何故かここでJC2人が騒ぐ。

 愛原:「何が?」
 リサ:「ここにも東京中央学園」

 リサが駅の看板を指さした。
 どうやらここに、東京中央学園市川中学校と高校があるらしい。
 埼玉の佐藤栄学園みたいに、あちこちにあるみたいだ。
 看板の写真を見る限り、こちらの方が校舎も新しくてきれいっぽい。
 リサ達が高等部に上がる時、上野キャンパス、池袋キャンパス(但し、こちらは工業科)と市川キャンパスがいいか選べるらしいが……。
 こちらが一番新しいそうだ。
 高等部の看板に写る見目麗しい男女生徒の制服は中等部と酷似しているが、ブレザーがシングルかダブルか、あとワッペンの装飾が若干異なる。

 愛原:「なるほど。通学はこっちの方が電車一本で済むから、楽かもなぁ……」

 上野キャンパスだと、どうしても岩本町駅から秋葉原駅へ徒歩連絡しなければならない。
 少女達を悪い意味で寄り道させる何かが、あそこにはあるからなぁ……。
 まあ、まだあと1年あるし。

 都営地下鉄本八幡駅に移動する。
 ここでちょっとトイレ休憩。

 愛原:「なあ、高橋」
 高橋:「何ですか?」
 愛原:「霧崎さん、お気に入りのアーミーナイフを手放したことを気にしてるみたいなんだ。オマエ、一緒に行って買ってやらないか?」
 高橋:「アーミーナイフっスか」
 愛原:「そう。多分ああいうのはミリタリーショップで手に入れるものだろう?サバイバル道具の1つとして」
 高橋:「まあ、そうっスね」
 愛原:「せっかくだから、ガンショップに行って新しいハンドガンでも見繕ってこいよ。マグナム44だけじゃ、重くて持ちにくいだろう」
 高橋:「俺はいいんですけどね。今さら弱っちぃハンドガンなんて」
 愛原:「まあそう言うなって。ここで漢を見せれば、霧崎さんも少しはオマエのことを見直してくれねかもよ?」
 高橋:「何ですと!?……あ、いえ……。せっかくの御指導ですが、あいにくとカネが無くて……」
 愛原:「心配要らん。埼玉のバイオテロ事件、活躍したのはオマエと霧崎さんだ。これは霧崎さんにも言ったんだが、こういう場合、BSAAから協力謝礼金が出る。その金で買えばいいだろう」
 高橋:「マジっスか!」

 カネの無い国連組織より、どこに活動費があるんだか、“青いアンブレラ”の方が実は賞金が高いんだけどな。

 愛原:「自粛要請が強まるか、報奨金が先に出るかだが、金の方が先に出たら、それでミリショに行けばいい。店は……まあ、オマエが自分で探せ」
 高橋:「はい!」

 トイレを出る。

 愛原:「しかし、アレかな?霧崎さんもなかなか立派なナイフを持っていただろう?もしかして、霧崎さんは霧崎さんで行きつけの店とかあるのかな?」
 高橋:「ちょっとそれは……聞いたこと無いっスね。まあ、俺が探してみます。都内でいい店っスね」
 愛原:「ああ。漢を見せるチャンスだぞ?」
 高橋:「はい!」

 そうしているうちに女性陣もトイレから出て来て、私達はホームに向かった。
 この駅が始発駅なので、そんなに慌てて乗る必要は無い。
 急行電車は無いようで、各駅停車しかいなかった。
 もちろん、菊川駅は各駅停車しか止まらないので、それでいい。
 黄緑色の塗装と、同じ色のイチョウのマークの東京交通局の車両に乗り込んだ。

〔「ご案内致します。この電車は17時6分発、各駅停車の新宿行きです。途中駅での急行電車の通過待ちはございません。発車までご乗車になり、お待ちください」〕

 ブラウンと薄緑色が特徴の座席に腰かける。
 多少、椅子は硬め。

 霧崎:「あの、愛原様。ちょっとよろしいでしょうか?」

 向かい側に座っていた霧崎さんが私に話し掛けて来た。

 愛原:「あ、はい。何でしょうか?」

 だが、霧崎さんは高橋を気にした。

 愛原:「ああ、じゃちょっとこっちへ」

 私は席を立つと、1度ホームへ降りた。

 愛原:「何でしょうか?」
 霧崎:「先ほど、BSAAから報奨金が出ると仰いましたが……」
 愛原:「ええ。あのパターンだと出るはずですよ」
 霧崎:「それはどれくらいで、いつ頃出ますか?」
 愛原:「そうですねぇ……。BSAAへの貢献度によりますから、ピンキリですよ。で、国連組織だからちょっと遅いんですよね。今日が15日でしょう?早くて月末といったところでしょうねぇ……」
 霧崎:「そうですか……」
 愛原:「何か、気になることでも?」
 霧崎:「いえ、ありがとうございます」

 霧崎さんはそう言って車内に戻った。
 だが、私は見逃さなかった。
 彼女が私の質問に対し、チラッと自分の左足を見たのを。
 恐らく彼女としても、早くナイフを新調したいのだ。
 だが、アーミーナイフは結構高い。
 多分、いつものメイドの給料では買えないのだろう。
 それで、報奨金を当てにしているものと思われる。
 私から善場主任に口添えしておくか。
 善場主任は日本政府エージェントだが、私とBSAAとのパイプ役でもある。
 私はそう考えながら車内に戻った。

[同日17:06.天候:不明 千葉県市川市 都営地下鉄新宿線1723T電車最後尾]

 始発駅だからか、発車ベルがホームに鳴り響く。
 それと同時に社外スピーカーからも発車メロディが鳴る。

〔2番線から、各駅停車、新宿行きが発車致します。駆け込み乗車は、危ないですからおやめください〕
〔ドアが閉まります〕

 それからJR東日本の電車と同じドアチャイムが鳴ってドアが閉まった(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a6/Toei10-457_doochime.ogg)。
 微かに聞こえる発車合図のブザー。
 都営新宿線はワンマン運転はされておらず、車掌が乗務している為。

〔この電車は各駅停車、新宿行きです。次は篠崎、篠崎。お出口は、右側です〕
〔Thank you for using the Shinjyku line.This is the local train bound for Shinjyuku.The next station is Shinozaki(S20).〕

 愛原:「高橋、事務所に着いたら話がある。いいな?」
 高橋:「あ、はい。俺、何かミスしましたか?」
 愛原:「いや、そういう話じゃない」

 そうだな。
 あとはリサにも協力してもらおうか。
 私は若い2人を応援する為、探偵のスキルを活用することにした。
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“私立探偵 愛原学” 「ようやく主人公復活」

2020-04-16 19:42:55 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月15日15:00.天候:晴 千葉県成田市 成田赤十字病院]

 ここは……どこだ……?
 私は……何を……?

 高橋:「先生……先生……」

 私の視界の中に高橋の顔が飛び込んで来る。

 愛原:「高橋……?」
 高橋:「先生、よくぞ御無事で!」

 高橋が私にハグしてくる。

 愛原:「な、何なんだ?ここはどこだ?」
 高橋:「病院っス!」
 愛原:「いや、見りゃ分かる。ここは警察病院か?それとも拘置所の病院か?」
 高橋:「成田赤十字病院っスよ。BSAAのヘリで、特定感染……何とかってところの指定病院みたいで」
 愛原:「成田ぁ!?」
 高橋:「俺達は別にハンターにもゾンビにも噛まれちゃいねーよと言ったんスけど、善場のねーちゃんが聞く耳持ってくれなくて……」
 愛原:「おい、一体何の話をしてるんだ?オマエ、トレーラーに飛び込んで大事故起こしただろ?あれはどうなったんだ?」
 高橋:「善場のねーちゃん達やBSAAに協力したってことで、チャラっス」
 愛原:「意味が分かんねーぞ?一体どういうことだ?」
 善場:「それは退院の手続きを終えてからお話しします」

 病室に善場主任が入って来た。

 善場:「愛原所長はTウィルスは元より、新型コロナウィルスにも感染しておりませんので、このまま退院して頂きます。他の皆さんもです」
 愛原:「はあ……」

 取りあえず病室を出た私は、善場主任から私が気絶してからのことを聞いた。

 愛原:「そんなことがあったのか……」
 善場:「高橋さんの行動については、本来なら警察の仕事が1つ増える所でしたが、今回は免除致します。BSAAも驚いていましたからね」

 実はBSAAも、ハンターβを密輸したテロ組織を追って日本に来たらしい。
 ところが、途中で見失ってしまった。
 テロ組織が件のBOWを輸送するのに海上コンテナを模して大型トレーラーに乗せ、それで日本国内のアジトへ向かうという所までは掴んでいたが、肝心のトレーラーを見失ってしまったらしい。
 取りあえず目星の付いている埼玉県内を捜索していた所、高橋がたまたま飛び込んだトレーラーがそうだったらしく、情報を得たBSAAが急いで駆け付けたというわけである。

 善場:「一応、高橋さん……引いては、愛原所長方の手柄にしておきましたから。上手く口裏を合わせてくださいね」
 愛原:「いいんですか、それで?」
 善場:「同意して頂けない場合、高橋助手を埼玉県警に引き渡すこととなりますが、よろしいでしょうか?引いては愛原所長の名声にも響くと思われますが?」
 愛原:「わ、分かりましたよ」
 善場:「ありがとうございます。それでは、こちらの同意書にサインを」

 国家機関の庇護下に入るということは、国家機関には逆らえないということでもある。
 私はすぐにサインせざるを得なかった。
 BSAAは国際組織であり、国連加盟国はBSAAの国内活動に全て協力することとなっているのだが、やはり国連軍の一派と見做されているのか、そういうことを毛嫌いする国も多い。
 日本国としても国連加盟国である以上は文句が言える立場に無いが、せめて彼らに対して物申せる権利は維持しておきたい。
 それには『活動に協力してやったんだから、こっちの言う事も聞いてくれ』というものが欲しいのだろう。

 愛原:「これでいいですか?」
 善場:「ありがとうございます。そうそう。“青いアンブレラ”が愛原さん達に関心をお持ちのようですよ」
 愛原:「あれは民間軍事会社でしょう?私らには無理ですよ」

 兵役を終えた退役軍人がゴロゴロいるのが民間軍事会社だ。
 旧アンブレラもUBCSなる民間軍事部門を持っていたからな(USSは旧アンブレラの警備事業部門)。

[同日16:00.天候:晴 同市内 京成成田駅]

 病院内でリサ達とも合流する。
 それから私達は車で京成成田駅まで送ってもらった。
 新庄運転手ではなく、善場さん達の車で(新庄運転手はガソリンスタンドの爆発の際に火傷を負ったらしく、別の病院に搬送されている)。

 善場:「申し訳ないですが、ここから電車で帰ってもらえますか?これから成田空港まで行かなくてはなりませんので」
 愛原:「結構ですよ。ありがとうございます。やはり、テロ組織絡みですか?」
 善場:「ええ。これ以上はちょっと捜査情報になりますので……」
 愛原:「ああ、それならいいです。失礼致します」

 私が挨拶すると、すぐに車が走り去って行った。

 絵恋:「愛原先生。父が、私を守ってくれた御礼をしたいと言ってます。また、後日に連絡するそうです」

 駅の中に入ろうとすると、絵恋さんが言った。

 愛原:「えっ、俺は何もしてないよ?」
 リサ:「高橋兄ちゃんの活躍は、先生の活躍……だっけ?」
 絵恋:「確か……そう言ってたわ」
 愛原:「高橋の手柄だな。よくハンターβを倒せたな?特殊部隊ですら戦死者を出すって話なのに……」
 高橋:「真珠がナイフでヤツの首を掻っ切ってピヨらせてくれたおかげっスよ」
 愛原:「そうか」

 だが、霧崎さんは不機嫌そうだ。
 もしかして、彼女は褒めてもらえなかったのだろうか?
 駅の中に入ると、ちょうど当駅始発の快速特急があることが分かった。
 これに乗って京成八幡駅に行き、そこから都営新宿線に乗り換えれば帰れるぞ。

 愛原:「この車両でいいか」

 車内は結構空いていた。
 比較的古い車両だが、快速特急に使われる以上、なかなか速く走れるのだろう。

〔「ご案内致します。この電車は16時3分発、快速特急、上野行きです。成田空港、芝山千代田方面へは参りませんので、ご注意ください。次の停車駅は佐倉です。公津の杜、宗吾参道、酒々井、大佐倉には止まりませんので、ご注意ください。まもなく発車致します」〕

 愛原:「何か俺、また活躍できなかったなぁ……」
 高橋:「俺のせいですね。本当、申し訳ありません」
 愛原:「いいよ。次、気をつけてくれたら」

 電車は定刻通りに発車した。

〔「お待たせ致しました。毎度、京成電車をご利用頂き、ありがとうございます。16時3分発、快速特急、上野行きです。停車駅は佐倉、勝田台、八千代台、津田沼、船橋、八幡、高砂、青砥、日暮里、終点上野の順に止まります。【中略】次は佐倉、佐倉です。次の佐倉では都営地下鉄浅草線直通、快速、西馬込行きにお乗り換えができます」〕

 私は向かいの席に座っている霧崎さんに話しかけた。

 愛原:「霧崎さん、ちょっといいかい?」
 霧崎:「何でございましょうか、愛原様?」
 愛原:「高橋と協力して戦ってくれたんだって?」
 霧崎:「……私は1人で戦いました。その後、化け物を攻撃したのは確かにマーサーですが」

 霧崎さんはあからさまに不機嫌な顔をした。

 愛原:「あなたの活躍、ちゃんと斉藤社長は評価して下さるよ」
 霧崎:「失礼ですが、何の話でございましょうか?」
 愛原:「キミが不機嫌である理由を知りたいんだ」
 霧崎:「……申し訳ございません。あの戦いで、お気に入りのナイフを没収されてしまいまして……」
 愛原:「え?」

 霧崎さんはメイド服のスカートを捲くって見せた。
 左足の脛に括りつけられている鞘にはナイフが差さっていなかった。

 霧崎:「私もマーサーと同様、法律違反で危うく逮捕されるところでしたが、あの事件で免除されました。その代わり、没収されてしまったわけです」
 愛原:「ハンターβみたいなものを斬ったら、ウィルスが付着しているかもしれないからな。それに、絵恋さんを守る為に使ったんだから、それでいいじゃないか」
 霧崎:「そうですね。あのナイフ……高かったのですが……」
 愛原:「確かあの場合、BSAAから報奨金がもらえるはずだ。話を聞く限り、活躍したのはキミと高橋なんだから、キミ達で山分けすればいいさ。なあ、高橋?」
 高橋:「は、はい!」
 霧崎:「まあ、そういうことでしたら……」
 愛原:「あと、何だったら俺から善場主任に頼んであげるよ。ナイフの携帯も特例でオッケーにしてくれるように」
 霧崎:「それは……ありがとうございます」
 高橋:「先生、コイツにナイフ持たせたらちょっとヤバいっスよ」
 愛原:「オマエにマグナム持たせるのも危険だと思うがな?」
 高橋:「先生、ヒドい!」
 愛原:「大体な、今回はラッキーだったから良かったものの、もしあれが普通のトレーラーだったら……」

 私が高橋に説教を始めると、霧崎さんはクスリと笑った。

 絵恋:「あっ、パールが笑ったの、久しぶりに見た」
 霧崎:「あっ、いえ!申し訳ありません」

 電車は一路、東へ向かう。
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“愛原リサの日常” 「バイオハザードは突然に」

2020-04-16 11:34:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月15日10:00.天候:曇 埼玉県さいたま市中央区 某ガソリンスタンド前]

 愛原:「オーマイガッ!おーまいがっ♪オーマイガッ♪おーまいがっ!あー、そーれ!それそれそれ!さーの、よいよい!」
 リサ:「一体、何が起きた?」
 愛原:「うーん……」

 バタッと倒れる愛原。
 高橋が引き起こした大事故に対する責任の怖さから錯乱し、そしてついに泡を吹いて倒れた愛原に代わり、リサ視点での物語に急きょ切り替える。

 リサ:「先生、しっかりして……!」
 霧崎:「御嬢様、大丈夫ですか!?」
 新庄:「御嬢様!」

 ジャックナイフ現象を引き起こしたトレーラーは、コンテナ部分が歩道に乗り上げて来た。
 幸い巻き込まれた歩行者等はおらず、コンテナも絵恋の手前で止まった。
 ガソリンスタンドで給油を終え、今度は洗車場で洗車していた新庄が慌てて走って来る。

 霧崎:「マーサー、貴様ぁっ!!」

 霧崎がメイド服のスカートの中、具体的には左足に装着した鞘の中からアーミーナイフを取り出して高橋に向ける。

 高橋:「真珠、俺は無事だったぞ!?だから俺と付き合え!」
 霧崎:「バカッ!!」

 と、その時だった。
 トレーラーのコンテナから、何か音がした。
 内側に何かがいて、そこから外へと出ようとしている感じ。
 そして、コンテナの後ろの観音扉がこじ開けられた。
 その中から出て来たのは……。

 リサ:「は、ハンター!?」

 旧アンブレラが開発・製造したハンターが3匹現れた。
 赤いコブが頭に付いていることから、それはハンターβだと思われる。

 高橋:「は、ハンターだと!?」

 高橋は急いでマグナムを取り出した。
 ハンターβの一匹は事故発生で集まった野次馬達を襲う!
 もう一匹は愛原の所にやってきた。

 ハンターβA:「ガァーッ!」

 大きな爪が特徴の腕を振り上げて、リサ諸共首狩りをしようとする。
 が、リサが目と口だけ第一形態になった。
 赤く鈍く光る眼でハンターβAを睨み付け、ハンターに負けずとも劣らない鋭い牙を剥ける。

 リサ:「喰われたいのか?」
 ハンターβA:Σ(゚Д゚)
 ハンターβB:(リサ・トレヴァー様!?)
 霧崎:「!」

 霧崎がリサに怯んだハンターβの隙をついて、Bにアーミーナイフで切りつける。
 さすが元殺人犯、的確にハンターβBの首を掻き切った。

 ハンターβB:「!」

 そこからどす黒い血が噴水のように噴き出す。
 が、すぐにまるで水道の蛇口を閉めるかのように、見る見るうちに止血していった。
 と、すかさず高橋が手持ちのマグナムをBに撃ち込む。
 大型拳銃のドゴン!という発砲音が響いた。

 高橋:「ハンターはナイフくらいじゃ倒せねーよ!俺に任せろ!」

 ハンターβは初期のハンターαと同じ、爬虫類を改造したBOWであるが、その改良版である。
 具体的には俊敏性を強化され、銃で撃たれてもそれを交わすくらいに素早さがアップした。
 但し、引き換えに攻撃力はややダウンしたらしく、得意技の即死攻撃(敵の首を一気に刎ね飛ばす、通称『首狩り』)が出にくくなっている(αが本当に首を跳ね飛ばすのに対し、βは首を掻き切るのが精一杯。もちろん、それとて命に関わるので即死攻撃ではある)。
 また、片手が弱体化した為、αと違って両手で攻撃はしてこない。
 あくまでも俊敏性でもって敵を翻弄させつつ、しかし戦力も削ぐ為に開発されたものだと分かる。

 霧崎:「さっきから当たって無いじゃんよ!?」
 高橋:「ピヨらせねーとダメみてーだ!さっきのは真珠がピヨらせてくれたから良かったんだよっ!」

 これがゲームだと、閃光手榴弾で怯ませ、または高圧電流で感電させて動きを封じてから銃で攻撃して倒すのがセオリーのようだ。

 霧崎:「新庄さん、まずは御嬢様の避難を!車を出して!」
 新庄:「いや、無理だ!事故ったトレーラーがスタンドの出入口を塞いでいる!」
 リサ:「サイトー、あの中に隠れよう!」
 絵恋:「う、うん!」

 リサはガソリンスタンドの店内を指さした。
 あくまでも暴れているのはハンターβが3匹だけであり、別にゾンビの大群が押し寄せているわけではない。

 リサ:「運転手さん、愛原先生を!」
 新庄:「分かりました!」

 新庄は気絶した愛原を担いだ。
 それからガソリンスタンドの店内に向かって走り出す。
 が!

 ハンターβA:「ガァァァァッ!」

 怯みが回復したハンターβAが走って来て、回り込んできた。
 しかも、周りにある車を薙ぎ払って。
 中には給油中の車もあった。
 そこからガソリンが漏れ出して……。

 新庄:「ば、爆発します!早く道路に!」

 今度は道路側に逃げる。

 新庄:「トレーラーの影に隠れましょう!」
 ゾンビA:「アァア……」
 ゾンビB:「ウウ……!」
 ゾンビC:「アウゥッ!」

 しかし、道路側からはゾンビがやってきた。
 どうやらハンターβに攻撃されたことでゾンビウィルスに感染し、ゾンビ化した野次馬の成れの果てだろう。

 高橋:「邪魔だ、テメーラ!」

 高橋は銃を構えた。

 霧崎:「バカッ!こんな所で撃ったら爆発するよ!」
 高橋:「くっ……!」
 ゾンビA:「アァーッ!」

 ゾンビAが霧崎に飛び掛かって来る。
 しかし、霧崎は迷わずアーミーナイフでゾンビの首を掻き切った。
 ゾンビの首から血が噴き出す。
 今度はハンターβのように、血が止まることはなく、ゾンビAはその場に倒れた。
 だが、完全に死んだわけではないようで、血だまりを作りながらも、這ってでも追おうとする。

 高橋:「でやぁーっ!」

 高橋は近くに落ちていた鉄パイプを拾うと、それで残りのゾンビを攻撃した。
 そして、トレーラーの向こう側に行くと、大きな爆発音がした。
 これでガソリンスタンドにいたハンターβ2匹は死んだだろうが、こちら側は……。

 ハンターβC:「!」

 リサ達に気づいたハンターβCが血糊の付いた大きな腕を振り上げて、こちらに向かってきた。
 だが、そのハンターはリサ達に攻撃することはできなかった。
 何故ならBSAAのヘリコプターがやってきて、そこから集中砲火を浴びたからである。
 同時にその装甲車やトラックもやってきて、そこからBSAAの隊員達が降りて来た。

 隊員:「αチームからHQ、スペードエリアに現着!これより生存者の救出並びにBOWの掃討を開始する!」
 HQ:「HQよりαチーム、現場には上級BOW『リサ・トレヴァー』もいるとの情報あり。ヤツの暴走も考えられる。十分に警戒せよ」
 隊員:「αチーム、了解!」
 リサ:「はーい、リサ・トレヴァーでーす」
 隊員:「ファッ!?」
 高橋:「生存者ならここにいる。早いとこ救出してくれ」
 絵恋:「ちょっと!リサさんは暴走なんてしてないからね!」
 隊員:「あ、αチームからHQ!生存者数名とリサ・トレヴァーを同時発見。リサ・トレヴァーは暴走していないと主張!」
 HQ:「……了解。暴走していないのであれば、直ちに確保せよ。生存者も救出せよ」
 隊員:「りょ、了解!……では、こちらへ」

 リサ達はBSAAのトラックに誘導された。
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“私立探偵 愛原学” 「101回目のプロポーズからの……」

2020-04-15 20:20:52 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月15日09:30.天候:曇 埼玉県さいたま市中央区 某ガソリンスタンド]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 昨日は斉藤社長の御宅に一泊させて頂き、今から帰るところである。
 私達は斉藤家をあとにすると、新庄運転手が車のガソリンを入れに行っているスタンドへ向かった。
 それは国道沿いにあり、ここからなら首都高の入口は近い。

 愛原:「おい、高橋」
 高橋:「何ですか、先生?」
 愛原:「実は……言うべきか言うまいか迷っていたことがあってだな。やはり、言っておこうと思う。実は昨夜、オマエが霧崎さんの部屋に向かったことは知っている」
 高橋:「先生……!」
 愛原:「すまない。これも探偵のサガってヤツだ。だから、オマエがフラれてしまったことも知っている」
 高橋:「御心配をお掛けして、サーセン……いえ、申し訳ありません」
 愛原:「いや、いいんだ。それより、まだ諦めるのは早いと思う。もし良かったら、俺が手伝ってやるぞ?自分の恋愛もままならないからといって、別に他人の恋愛の手伝いができないわけじゃないからな。俺に1つ考えがあるんだが、どうだ?乗ってみないか?」
 高橋:「それは申し訳ないです」
 愛原:「いいんだ。こうなったら、乗りかかったバスだ。やるしかねぇ」

 乗り掛かった舟、な。

 高橋:「せっかくのお申し出ですが、俺には俺で考えがあります」
 愛原:「まさか、『デキ婚狙いのパワープレイ(※)』とか言うんじゃないだろうな?」

 ※正式名称?は『中○しレ○プ』である。

 高橋:「ダメっスか?」
 愛原:「オマエなぁ!」

 てか、そんなパワープレイができるんだったら、やっぱり根っからのゲイじゃないじゃん。
 そういった意味では良かった。

 高橋:「先生の御力添えって、それでは?」
 愛原:「なワケねーだろ!てか、そんなパワープレイできるパワーがあるんだったら、『101回目のプロポーズ』みたいなこともできるってことだよな?」
 高橋:「え、何スか、それ?」

 そ、そうか。
 私が子供の頃に流行ったドラマだ。
 ということは、高橋はまだ生まれてないってことか。
 この辺、世代のギャップを感じるなぁ。
 私はザッとあらすじを高橋に説明した。
 もう、そろそろガソリンスタンドが見えてくる。
 給油所にはいない所を見ると、もう既に移動しているのだろうか?

 高橋:「……なるほど。つまり、『漢を見せろ』と先生は仰るのですね?」
 愛原:「『漢を見せる』っていうか……まあ、そうとも言えるのかな」
 高橋:「分かりました。せっかくの先生のアドバイスです。早速実行致します!」
 高橋:「え?え?え?実行するって……おい!」

 だが高橋、ツカツカと先頭を歩くメイド服姿の霧崎さんの所へ歩いていった。
 そして、後ろからガッと霧崎さんの右肩を掴む。

 霧崎:「触るな、ヘンタイ!!」
 高橋:「うるせぇっ!これから漢を見せてやっから、それで俺と付き合え!!」
 霧崎:「はあ!?」
 高橋:「『僕は死にましぇん!!』」
 愛原:「おい、バカ、やめろ!!」

 高橋は何と、道路に飛び出した。
 高橋の目の前に走ってくる大型車!
 武田鉄矢の場合はダンプカーだったが、こちらは海上コンテナを積んだ大型トレーラーである。
 どちらも轢かれたら命が危ない!

 愛原:「わぁぁぁぁぁぁっ!!」

 私は思わず叫び声を上げた。
 大型トレーラーはクラクションを鳴らす暇も無く、急ブレーキを踏んだ。
 そして急ハンドルを切って中央分離帯に乗り上げた後、バランスを崩して横転!
 後ろのコンテナもジャックナイフ現象を起こし、歩道に乗り上げて来て、街灯をなぎ倒した。

 高橋:「…………」

 で、高橋は無事だった。
 しかし……。
 じ、人的被害は……?
 物的被害は……?

 『埼玉県の国道で大型トレーラー横転!』『探偵の助手、突然道路に飛び出す!』『問われる上司の責任!』『探偵と助手を逮捕!』

 上記のような新聞記事の見出しが私の頭の中によぎり……おー、オーマイガッ!オーマイガッ!おー、まいがっ♪オーマイガッ!おーまいがっ♪
 さあ、皆さんもご一緒に!踊ろう!歌おう!

 オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪

 愛原:「オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪オーイエー!オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪どうしたどうした!オーマイガッ♪おーまいがっ♪オーマイガッ!オーマイガッ♪……」
 リサ:「一体……何が起きた……?」

 ※主人公、愛原学の錯乱により、字数不足ですが、強制終了致します(一人称物語のデメリットの1つ、主人公が行動不能になると強制終了される)。
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“私立探偵 愛原学” 「さいたま市でバイオハザード発生!?」

2020-04-13 21:02:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月15日08:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 斉藤家]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 昨夜は斉藤社長のお誘いで、一泊させて頂いた。
 そして今、朝食まで御馳走になっている。
 朝食を食べ始めて間もない頃、社長のお抱え運転手、新庄氏がダイニングにやってきて、社長に何か言っていた。

 斉藤秀樹:「それは本当なのかね?」
 新庄:「はい。いかがなさいましょうか?」

 新庄氏は私を見た。
 どうやら、私達に何か関係のある話なのだろうか。

 秀樹:「分かった。……ちょっと皆さん、よろしいでしょうか?」
 愛原:「何でしょうか?」
 秀樹:「こちらの新庄が重大な情報を手に入れたようです。食べながらでいいので、聞いてやってください」
 新庄:「お食事中、申し訳ありません……」

 新庄氏はハンカチで顔を拭いながら、深刻な顔をして話し始めた。

 新庄:「愛原様や高橋様は御存知だと思いますが、昨夜、この近所の国道で事故が発生しました。パトカーや救急車がサイレンを鳴らして、現場に向かった所をご覧になったかと思います」
 愛原:「それは知っています」
 新庄:「実は事故を起こしたのは、私がかつて所属していたタクシー会社の車でして、それも、ただの事故ではなかったようです」
 愛原:「と、仰いますと?」
 新庄:「走行中、客を装った強盗に襲われて、それでハンドルを取られて対向車線に飛び出してしまい、そこで大型トラックと正面衝突したそうです。その時の運転手も強盗も死亡しました」
 愛原:「今、ニュースでやってる?」

 私はスマホを取り出した。
 だが、2人死亡の事故なら地域ニュースにくらいなっていると思うが、何故か出ていなかった。

 愛原:「……無いな」
 新庄:「実はあの事故現場のすぐ近くには、同じ会社の別の車がいまして、その運転手が私と今でも懇意なのです。これは、その運転手から聞いた話です」

 新庄氏と懇意のタクシー運転手が事故現場に向かうと、事故を起こしたタクシーは見るも無残な状態になっていたという。
 彼がその事故タクシーの車内を覗くと、そこには異様な光景が広がっていたとのことだ。
 もちろん、大衝突事故だ。
 車内の乗員乗客が無事な状態ではないことは想像に難くない。
 しかし、明らかに異様であったという。
 それは……。

 新庄:「後ろに座っていたのは男性客が1人だけだったんですが、その体が異様に腐敗しており、しかもそれが運転手の首に食らいついた状態だったとのことです」
 愛原:「はあ!?」
 高橋:「先生、それって!?」

 私が回答を出すより、先にリサが言った。

 リサ:「ゾンビに襲われた……」

 その後、事故タクシーは炎上し、2つの遺体は焼死体として警察に回収されたそうである。

 愛原:「その事故タクシーはどこからどこへ向かっていたのか分かりますか?」
 新庄:「大宮区内の住宅地から、さいたま赤十字病院に向かっていたそうです。自宅で具合が悪くなったので、掛かりつけの医者がいるさいたま赤十字病院に急患として向かう途中だったそうで……」
 愛原:「これは、善場主任に連絡した方がいいかもしれないな」

 大宮区のどこの住宅街なのか知りたいが、新庄氏はそこまでは知らないという。
 タクシーを配車するオペレーターなら知っているのかもしれないが、顧客の個人情報に関わるので、教えてくれないそうだ。

 愛原:「分かりました。後で政府エージェントに連絡してみます」

 もしかしたら、もう知っているかもしれないがな。

[同日09:00.天候:晴 斉藤家]

 朝食を終えた私は、早速善場主任に連絡してみた。
 今日は日曜日だから休みかなと思ったが、意外とすぐに電話に出てくれた。
 そして……。

 善場:「確かに何も無ければ公休だったのですが、愛原所長の仰る通り、さいたま市で何かあったようです。私も向かいます」

 とのことだった。
 私は何か手伝った方がいいのかなと思ったが……。

 善場:「今のところは結構です。強いて言うなら、できるだけ速やかに帰京してください」

 とのことだった。
 ま、そりゃそうか。
 向こうは国家公務員、こちらは民間の探偵だ。

 霧崎:「御嬢様、リサ様、制服が仕上がりました」
 絵恋:「ありがとう」
 リサ:「おー、ピカピカ」

 まるで本当にクリーニング店に出した後のように、ピシッと畳まれた制服が2着あった。

 高橋:「なるほど。女子刑務所でも、洗濯やアイロン掛けは教わるんだな」

 高橋の言葉を霧崎さんは無視した。
 本当に嫌われてるんだろうか?

 高橋:「料理や裁縫も教わるみてーだし、メイドには打ってつけかもな」

 そういうことか?
 しかし、斉藤社長の狙いは別にあるような気がする。
 出所後、職住が無くて再犯する受刑者も少なからずいる。
 それを防ぐ為に斉藤社長は使用人として拾ったとのことだが、それにしてもなぁ……。

 リサ:「このまま着るのが勿体ない」
 絵恋:「そうねぇ……。学校が始まるまで取っておきましょうか。パール、この制服包んでくれる?リサさんのも」
 霧崎:「かしこまりました、御嬢様」

 学校、本当に始まれるんだろうか。
 斉藤社長の見立てでは、始業式を行うのは難しいだろうとのことだが……。
 霧崎さんが制服を持って奥に行くと、高橋も後を追った。
 ようやっと愛の告白をするつもりか?
 しかし、霧崎さんの態度を見る限り、物凄く不利な感じだぞ?

 リサ:「先生、これからどうする?」
 愛原:「そうだな……。もうやることもないし、善場主任からは帰るように言われた。そろそろ帰るとするか」

 私は斉藤社長にその旨、伝えた。

 秀樹:「おお、今お帰りですか」
 愛原:「何かあるんですか?」
 秀樹:「実はたった今、新庄が車のガソリンを入れに行った所なんです。戻るまで、しばしお待ち頂けますか?」
 愛原:「何だ、そんなことですか。この近所のガソリンスタンドでしょう?だったら、そこまで私達の方から行きますよ。その方が効率的でしょ」
 秀樹:「ですが……」
 絵恋:「それ、いいですね。ずっと家にいて、体が鈍っちゃうわ。少しは運動しないと」
 秀樹:「絵恋、昨夜あんなにプールで遊んだじゃないか」
 リサ:「でも、まだ少し物足りないような気はする」
 愛原:「このコ達、まだまだ育ち盛りですからね。外で体を動かしたいんですよ。ま、ちょっと歩くだけですけど。天気もいいし、私達の方から行きますよ」
 秀樹:「はあ、分かりました。では、新庄にスタンドで待っているように伝えておきますので」
 愛原:「ありがとうございます」

 私は社長からガソリンスタンドの場所を聞いた。
 そして、荷物を持って斉藤家を後にしたのだった。
 尚、もちろん高橋も一緒だが、霧崎さんも一緒だった。
 高橋がガックリと肩を落とし、霧崎さんは相変わらず無表情で絵恋さんの荷物を持っていた。
 これは……フラれたか。
 かわいそうに……。
コメント (1)
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