[4月5日10:13.天候:晴 東京都千代田区神田岩本町 都営地下鉄岩本町駅]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は助手の高橋がメイドの霧崎真珠さんとデートをするというので、尾行している。
これも探偵の仕事だ。
もちろん、変な意味ではない。
これも、ちゃんと依頼人からの依頼を受けて行っているものである。
で、助手が不在なので、リサが代行している。
もちろん、高橋には内緒である。
当たり前だ。
〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。いわもとちょう~、岩本町~〕
高橋と霧崎さんが電車を降りる。
もちろん、私達も後からついて行った。
幸いこの駅は比較的乗降客が多いので、それに紛れて降りることができる。
愛原:「秋葉原なら、確かに何でもありそうだな」
改札口を出て、更に地上に向かう。
昭和通り(国道4号線)の出口から地上に出た。
リサ:「特に、手を繋いでるとかいうわけじゃないね?」
愛原:「高橋としては是非ともそうしたいだろうに、霧崎さんの方が少し離れて歩いてる」
リサ:「遠慮してる?」
愛原:「遠慮してるように見えるのか?」
リサ:「サイトーならグイグイ来るのに」
愛原:「絵恋さんは特別さ」
性格だけなら、BOWもかくやといったところだもんな。
[同日10:30.天候:晴 東京都千代田区外神田 某ミリタリーショップ]
秋葉原で有名な電気街。
そこへ都営新宿線の岩本町駅から行こうとすると、少し歩くことになる上、道を知らないと迷いやすい。
どこへ行くのかと思いきや、高橋達はそこに入った。
なるほど。
やはりミリタリーショップみたいなマニアックな店は、こういうマニアックな場所にあるってか。
で、この電気街。
北に行けば行くほど、マニア度が増す。
東京メトロ銀座線に末広町という駅があるが、この駅は『電気街北口駅』と呼ばれるほど、電気街に行くのに便利な場所にある。
メイドカフェ店員A:「メイドカフェ『かりぶ』でーす」
メイドカフェ店員B:「お越しくださーい。よろしくお願い致しまーっす」
新型コロナウィルスの影響がこういう店にも出ているのか、店員達の呼び込み必死だ。
リサ:「おー!サイトーの家のメイドさん達みたいなのがいるー!」
愛原:「うん、そうだな」
だが、寄っているヒマは無い。
今は高橋達を追わねば。
てか絶対、斉藤家のメイド服、こういう店のを参考にしてるだろ。
一体、誰の趣味なのやら……?
まあ、1人しか思いつかないけど。
リサ:「兄ちゃん達、あそこに入って行った」
愛原:「なるほど」
私はすぐに店の名前をスマホで検索した。
すると、ちゃんと公式サイトがあった。
まずは霧崎さんのナイフを買いに行ったか。
リサ:「兄ちゃん達が出てくるまで待つの?」
愛原:「ああ。これが、『張り込み』だ。これは根気がいるぞー」
リサ:「なるほど」
結構ゆっくり探しているようだ。
店を出て来たのは30分もしてからだった。
しかも、高橋も店の袋を持っている。
まさか、お揃いで買ったのか?
一応、その模様を写真に収めておく。
探偵の必需品の1つはデジカメだ。
それからすぐ近くのミリタリーショップに入る。
どうやら、系列店のようだ。
外から見る限り、今度は銃火器が充実している店舗らしい。
もっとも、本物ではなく、電動ガンとかエアガンだろうがな。
しかし、高橋はそれを違法改造して殺傷能力を持たせるのが得意なのだ。
因みにマグナム44だけ本物で、それだけ許可されている。
私の言い付け通り、もっと軽いハンドガンを持つ気になったのだろうか。
それとも、新しいマグナムを手に入れるつもりか。
それにしても、霧崎さんはそういうのに興味があるのだろうか。
もしそうでないのなら、さぞかし霧崎さんも退屈ではないかと思うが……。
私がその疑問を口にすると、リサが言った。
リサ:「多分、興味あると思う」
愛原:「どうしてそう思うんだい?」
リサ:「前にサイトーから聞いた。あのメイドさんの私服、迷彩服が多いんだって」
愛原:「ガチか!」
今、霧崎さんはベージュのトレンチコートを着ているから、その下に何を着ているのかは分からない。
少なくとも、下半身はごく普通のジーンズであることは分かる。
リサ:「何か、パンツとかキャミソールとか、そういう柄のヤツ持ってるらしいよ」
愛原:「下着の柄としての迷彩か。でも、ガチかもな。女性用の下着で、なかなかそういうの売ってないだろ?それをわざわざチョイスするってことは、だ。……フムフム」
私は手帳に記入した。
クライアントへの報告書に記載するネタになるかもしれない。
リサ:「お腹空いた」
愛原:「もうそろそろお昼か。だけどな、これが探偵の仕事ってもんだ。場合によっては一食くらい抜くこともある」
リサ:「大変だねー」
愛原:「リサはいいよ。どうせ高橋達、しばらく動かんだろ」
リサ:「じゃあ私、何かコンビニで買ってくる」
愛原:「ああ、よろしく」
リサ、ここで一時離脱。
その間に高橋達が出てこないかと緊張したが、そんなことはなかった。
リサ:「お待たせ」
愛原:「おっ、早かったな」
因みにリサもさすがに今は学校の制服ではなく、私服を着ている。
グレーのフード付きパーカーに、下はデニムのショートパンツである。
パーカーの上はピンク色のジャンパーを着ていた。
愛原:「……って、あんパンと牛乳……」
リサ:「テレビで、探偵さんが張り込みをしながらこれを食べてるの見たの」
愛原:「いつの時代の探偵だよ。まあ、いいや」
私はあんパンを頬張り、そして牛乳を流し込んだ。
軽い昼食が終わった直後、2人が店から出て来た。
どうやら、銃の選定が終わったらしい。
何を買ったのか、後で見せてもらうとしよう。
リサ:「もう帰るのかな?」
愛原:「いや、せっかくだから昼飯食ってから帰るんじゃないかな」
私の推理は当たり、2人は飲食店に入った。
しかし、ラーメン屋であった。
2人とも、金が無いのか。
悪いな高橋、安月給で。
リサ:「先生、私もラーメン食べたい」
愛原:「あー……いや、ちょっとあの店、狭いな。一緒に入ったらバレる。悪いが、あいつらが出てくるまで我慢だ」
リサ:「えーっ!」
愛原:「探偵たる者、忍耐力が必要。今度、上手いラーメン屋連れて行ってやるから」
リサ:「……コンビニでまた買ってくる」
愛原:「ああ、そうしてこい」
それにしても、あれではカップルというよりは、ただの友達だな。
ま、無難な付き合いから始まれたようで何より。
そう思っていた私だったが、その後、あの2人は予想外の行動に出る!
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は助手の高橋がメイドの霧崎真珠さんとデートをするというので、尾行している。
これも探偵の仕事だ。
もちろん、変な意味ではない。
これも、ちゃんと依頼人からの依頼を受けて行っているものである。
で、助手が不在なので、リサが代行している。
もちろん、高橋には内緒である。
当たり前だ。
〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。いわもとちょう~、岩本町~〕
高橋と霧崎さんが電車を降りる。
もちろん、私達も後からついて行った。
幸いこの駅は比較的乗降客が多いので、それに紛れて降りることができる。
愛原:「秋葉原なら、確かに何でもありそうだな」
改札口を出て、更に地上に向かう。
昭和通り(国道4号線)の出口から地上に出た。
リサ:「特に、手を繋いでるとかいうわけじゃないね?」
愛原:「高橋としては是非ともそうしたいだろうに、霧崎さんの方が少し離れて歩いてる」
リサ:「遠慮してる?」
愛原:「遠慮してるように見えるのか?」
リサ:「サイトーならグイグイ来るのに」
愛原:「絵恋さんは特別さ」
性格だけなら、BOWもかくやといったところだもんな。
[同日10:30.天候:晴 東京都千代田区外神田 某ミリタリーショップ]
秋葉原で有名な電気街。
そこへ都営新宿線の岩本町駅から行こうとすると、少し歩くことになる上、道を知らないと迷いやすい。
どこへ行くのかと思いきや、高橋達はそこに入った。
なるほど。
やはりミリタリーショップみたいなマニアックな店は、こういうマニアックな場所にあるってか。
で、この電気街。
北に行けば行くほど、マニア度が増す。
東京メトロ銀座線に末広町という駅があるが、この駅は『電気街北口駅』と呼ばれるほど、電気街に行くのに便利な場所にある。
メイドカフェ店員A:「メイドカフェ『かりぶ』でーす」
メイドカフェ店員B:「お越しくださーい。よろしくお願い致しまーっす」
新型コロナウィルスの影響がこういう店にも出ているのか、店員達の呼び込み必死だ。
リサ:「おー!サイトーの家のメイドさん達みたいなのがいるー!」
愛原:「うん、そうだな」
だが、寄っているヒマは無い。
今は高橋達を追わねば。
てか絶対、斉藤家のメイド服、こういう店のを参考にしてるだろ。
一体、誰の趣味なのやら……?
まあ、1人しか思いつかないけど。
リサ:「兄ちゃん達、あそこに入って行った」
愛原:「なるほど」
私はすぐに店の名前をスマホで検索した。
すると、ちゃんと公式サイトがあった。
まずは霧崎さんのナイフを買いに行ったか。
リサ:「兄ちゃん達が出てくるまで待つの?」
愛原:「ああ。これが、『張り込み』だ。これは根気がいるぞー」
リサ:「なるほど」
結構ゆっくり探しているようだ。
店を出て来たのは30分もしてからだった。
しかも、高橋も店の袋を持っている。
まさか、お揃いで買ったのか?
一応、その模様を写真に収めておく。
探偵の必需品の1つはデジカメだ。
それからすぐ近くのミリタリーショップに入る。
どうやら、系列店のようだ。
外から見る限り、今度は銃火器が充実している店舗らしい。
もっとも、本物ではなく、電動ガンとかエアガンだろうがな。
しかし、高橋はそれを違法改造して殺傷能力を持たせるのが得意なのだ。
因みにマグナム44だけ本物で、それだけ許可されている。
私の言い付け通り、もっと軽いハンドガンを持つ気になったのだろうか。
それとも、新しいマグナムを手に入れるつもりか。
それにしても、霧崎さんはそういうのに興味があるのだろうか。
もしそうでないのなら、さぞかし霧崎さんも退屈ではないかと思うが……。
私がその疑問を口にすると、リサが言った。
リサ:「多分、興味あると思う」
愛原:「どうしてそう思うんだい?」
リサ:「前にサイトーから聞いた。あのメイドさんの私服、迷彩服が多いんだって」
愛原:「ガチか!」
今、霧崎さんはベージュのトレンチコートを着ているから、その下に何を着ているのかは分からない。
少なくとも、下半身はごく普通のジーンズであることは分かる。
リサ:「何か、パンツとかキャミソールとか、そういう柄のヤツ持ってるらしいよ」
愛原:「下着の柄としての迷彩か。でも、ガチかもな。女性用の下着で、なかなかそういうの売ってないだろ?それをわざわざチョイスするってことは、だ。……フムフム」
私は手帳に記入した。
クライアントへの報告書に記載するネタになるかもしれない。
リサ:「お腹空いた」
愛原:「もうそろそろお昼か。だけどな、これが探偵の仕事ってもんだ。場合によっては一食くらい抜くこともある」
リサ:「大変だねー」
愛原:「リサはいいよ。どうせ高橋達、しばらく動かんだろ」
リサ:「じゃあ私、何かコンビニで買ってくる」
愛原:「ああ、よろしく」
リサ、ここで一時離脱。
その間に高橋達が出てこないかと緊張したが、そんなことはなかった。
リサ:「お待たせ」
愛原:「おっ、早かったな」
因みにリサもさすがに今は学校の制服ではなく、私服を着ている。
グレーのフード付きパーカーに、下はデニムのショートパンツである。
パーカーの上はピンク色のジャンパーを着ていた。
愛原:「……って、あんパンと牛乳……」
リサ:「テレビで、探偵さんが張り込みをしながらこれを食べてるの見たの」
愛原:「いつの時代の探偵だよ。まあ、いいや」
私はあんパンを頬張り、そして牛乳を流し込んだ。
軽い昼食が終わった直後、2人が店から出て来た。
どうやら、銃の選定が終わったらしい。
何を買ったのか、後で見せてもらうとしよう。
リサ:「もう帰るのかな?」
愛原:「いや、せっかくだから昼飯食ってから帰るんじゃないかな」
私の推理は当たり、2人は飲食店に入った。
しかし、ラーメン屋であった。
2人とも、金が無いのか。
悪いな高橋、安月給で。
リサ:「先生、私もラーメン食べたい」
愛原:「あー……いや、ちょっとあの店、狭いな。一緒に入ったらバレる。悪いが、あいつらが出てくるまで我慢だ」
リサ:「えーっ!」
愛原:「探偵たる者、忍耐力が必要。今度、上手いラーメン屋連れて行ってやるから」
リサ:「……コンビニでまた買ってくる」
愛原:「ああ、そうしてこい」
それにしても、あれではカップルというよりは、ただの友達だな。
ま、無難な付き合いから始まれたようで何より。
そう思っていた私だったが、その後、あの2人は予想外の行動に出る!