[3月14日20:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 某コンビニ→斉藤家]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は斉藤社長に招かれて夕食会に参加した。
そしてこの後、リサだけが泊まるはずだったのだが、何故か斉藤社長のお誘いで私や高橋も一泊させて頂くことになった。
何の準備もしていなかったので、私と高橋は近所のコンビニに行き、そこでお泊りセットを調達した。
歩いて行ける距離なのだが、わざわざ車を用意してくれた。
新庄:「買い物は済まされましたか?」
愛原:「ありがとうございます。新庄さん」
私と高橋は、迎えの時に乗せてもらったアルファードに再び乗り込んだ。
愛原:「車だと却って遠回りなんじゃないですかね?」
新庄:「実は仰る通りです。ですが、旦那様の御命令ですので……」
愛原:「ああ、それじゃしょうがないですね」
斉藤家の前の道は高級住宅街にしては狭く、一方通行になっている。
だから、車で行くと却って遠回りになってしまうわけだ。
コンビニの前の県道に出て、最初の道を曲がればすぐなのだが。
その交差点、本当なら青信号で行けるはずだった。
ところが……。
〔「緊急車両、通過します。緊急車両、通過します。道を開けてください」〕
横の道からパトカーがサイレンを鳴らして進入してきた。
そこで道を譲っていたら、信号が赤に変わってしまった。
高橋:「ちっ、先生の道を阻むとはっ!最近のサツは調子に乗ってますね!」
愛原:「いや、そんなことないだろ。オマエが何かやったんじゃないのか?w」
高橋:「んなワケないじゃないスか!」
新庄:「仲がよろしいんですね?」
新庄運転手がルームミラー越しに微笑みかけた。
愛原:「はは、まあこんな感じでね、いつもやらせてもらってます」
信号が青に変わり、交差点に進入しようとすると、今度は後ろから救急車がやってきた。
新庄:「恐らく、この先で事故でもあったのでしょう」
愛原:「……かもしれませんね」
その救急車を交わして、車は路地に入った。
あとは信号は無いので、すぐに斉藤家に到着する。
新庄:「到着しました。お疲れさまでした」
愛原:「ありがとうございます」
私が車から降りようとすると、高橋が余計なことを言った。
高橋:「なあ、運転手のオッサン」
新庄:「何でしょうか?」
高橋:「社長から聞いたんだけど、ここのメイドは皆、ワケありなんだって?オッサンもか?」
愛原:「高橋!そういうこと聞いたら失礼だよ!すいません、新庄さん」
新庄:「いえ、構いませんよ。私も昔はタクシードライバーでしたが、多少警察の御厄介になる機会がありまして、それでその職を失って路頭に迷っていた所を、社長に拾って頂いたものなので……」
愛原:「そうでしたか」
タクシーの運転手が警察の世話になることといったら、やっぱり交通関係だろう。
事故でも起こしてしまったのだろうか?
高橋:「真珠……霧崎のこと知ってるか?」
新庄:「霧崎さんですか。私も警察の御厄介になった身ですから、あまり他人の事は言えないのですが、それにしても彼女の前科は凄いですよね」
どうやら新庄運転手も、『切り裂きパール』のことは知っているみたいだ。
新庄:「言っては何ですが、私は交通事犯で御厄介にはなりましたが、彼女達は全員刑事犯ですから、私は違うという自覚はありますよ」
ん?あえて新庄運転手、メイド達と対比している?
私は彼は免停か免取になるようなことをして、タクシー会社をクビになったものだと思っていたが、もしかしてこの人、それ以上のことをしてたのか?
愛原:「分かりました。それじゃ、また明日……」
新庄:「おやすみなさいませ」
私達は地下のガレージから、1階へ上がる階段を上った。
地下室の奥から微かにリサや絵恋さんの声がしているところを見ると、もうプールで泳いでいるらしい。
この後はシャワーで流すだろうから、案外風呂には入らなくていいかもしれない。
斉藤秀樹:「お、愛原さん、お帰りなさい」
愛原:「社長、只今戻りました」
秀樹:「先にお風呂入らせて頂きましたよ。愛原さんも高橋さんもどうぞ」
愛原:「ありがとうございます。取りあえず、買った物で今は要らない物だけ部屋に置いて来ます」
秀樹:「ああ、その方がいいでしょう」
愛原:「リサ達、早速プールで泳いでるんですね」
秀樹:「うちの娘のわがままに付き合わせてしまって、彼女には申し訳ない」
愛原:「いえ、大丈夫でしょう。リサもああ見えて、体を動かすのが好きなコですから」
秀樹:「ありがたいことですね。あ、そうそう。お風呂にはゆっくり入って頂いて結構ですが、もし良かったら、この後一杯やりながら、今後についてのお話よろしいですか?」
愛原:「あ、はい。是非お願いします」
秀樹:「では、また後程……」
私と高橋は一旦、斉藤社長と別れた。
客室に向かう時、地下室へ向かう階段から霧崎さんが出て来た。
霧崎:「どうぞ、ごゆっくり」
霧崎さんはメイド服のスカートを両手で少し持ち上げながら恭しく御辞儀をしてきた。
愛原:「ああ、どうも」
私が答えると、霧崎さんはまた今度は会釈して立ち去ろうとした。
高橋:「真珠!」
それを高橋が呼び止める。
高橋:「お、俺……」
霧崎:「…………」
しかし、高橋が言い始めるのを無視して霧崎さんはプイッとそのまま行ってしまった。
愛原:「諦めるな。まだチャンスはある」
私は高橋の肩を叩いた。
高橋:「い、いや、そんなんじゃないスよ!」
いや、絶対『そんなん』だろ!
本当に高橋は分かりやすいヤツだな。
あれ絶対、霧崎さんも気づいてると思うぞ。
どうしたもんか……。
もう少し、高橋1人に頑張ってもらうかな。
愛原:「ま、とにかく風呂に行こう」
高橋:「はあ……」
確かに霧崎さんは髪形はベリーショート、体形だってお世辞にも巨乳とは言えず、どちらかというと男性的な感じがする。
それが高橋のゲイ心をくすぐったのは事実だろう。
このまま高橋の希望通りに行けば、少しはゲイも治ってくれるかなと思うのだが……。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は斉藤社長に招かれて夕食会に参加した。
そしてこの後、リサだけが泊まるはずだったのだが、何故か斉藤社長のお誘いで私や高橋も一泊させて頂くことになった。
何の準備もしていなかったので、私と高橋は近所のコンビニに行き、そこでお泊りセットを調達した。
歩いて行ける距離なのだが、わざわざ車を用意してくれた。
新庄:「買い物は済まされましたか?」
愛原:「ありがとうございます。新庄さん」
私と高橋は、迎えの時に乗せてもらったアルファードに再び乗り込んだ。
愛原:「車だと却って遠回りなんじゃないですかね?」
新庄:「実は仰る通りです。ですが、旦那様の御命令ですので……」
愛原:「ああ、それじゃしょうがないですね」
斉藤家の前の道は高級住宅街にしては狭く、一方通行になっている。
だから、車で行くと却って遠回りになってしまうわけだ。
コンビニの前の県道に出て、最初の道を曲がればすぐなのだが。
その交差点、本当なら青信号で行けるはずだった。
ところが……。
〔「緊急車両、通過します。緊急車両、通過します。道を開けてください」〕
横の道からパトカーがサイレンを鳴らして進入してきた。
そこで道を譲っていたら、信号が赤に変わってしまった。
高橋:「ちっ、先生の道を阻むとはっ!最近のサツは調子に乗ってますね!」
愛原:「いや、そんなことないだろ。オマエが何かやったんじゃないのか?w」
高橋:「んなワケないじゃないスか!」
新庄:「仲がよろしいんですね?」
新庄運転手がルームミラー越しに微笑みかけた。
愛原:「はは、まあこんな感じでね、いつもやらせてもらってます」
信号が青に変わり、交差点に進入しようとすると、今度は後ろから救急車がやってきた。
新庄:「恐らく、この先で事故でもあったのでしょう」
愛原:「……かもしれませんね」
その救急車を交わして、車は路地に入った。
あとは信号は無いので、すぐに斉藤家に到着する。
新庄:「到着しました。お疲れさまでした」
愛原:「ありがとうございます」
私が車から降りようとすると、高橋が余計なことを言った。
高橋:「なあ、運転手のオッサン」
新庄:「何でしょうか?」
高橋:「社長から聞いたんだけど、ここのメイドは皆、ワケありなんだって?オッサンもか?」
愛原:「高橋!そういうこと聞いたら失礼だよ!すいません、新庄さん」
新庄:「いえ、構いませんよ。私も昔はタクシードライバーでしたが、多少警察の御厄介になる機会がありまして、それでその職を失って路頭に迷っていた所を、社長に拾って頂いたものなので……」
愛原:「そうでしたか」
タクシーの運転手が警察の世話になることといったら、やっぱり交通関係だろう。
事故でも起こしてしまったのだろうか?
高橋:「真珠……霧崎のこと知ってるか?」
新庄:「霧崎さんですか。私も警察の御厄介になった身ですから、あまり他人の事は言えないのですが、それにしても彼女の前科は凄いですよね」
どうやら新庄運転手も、『切り裂きパール』のことは知っているみたいだ。
新庄:「言っては何ですが、私は交通事犯で御厄介にはなりましたが、彼女達は全員刑事犯ですから、私は違うという自覚はありますよ」
ん?あえて新庄運転手、メイド達と対比している?
私は彼は免停か免取になるようなことをして、タクシー会社をクビになったものだと思っていたが、もしかしてこの人、それ以上のことをしてたのか?
愛原:「分かりました。それじゃ、また明日……」
新庄:「おやすみなさいませ」
私達は地下のガレージから、1階へ上がる階段を上った。
地下室の奥から微かにリサや絵恋さんの声がしているところを見ると、もうプールで泳いでいるらしい。
この後はシャワーで流すだろうから、案外風呂には入らなくていいかもしれない。
斉藤秀樹:「お、愛原さん、お帰りなさい」
愛原:「社長、只今戻りました」
秀樹:「先にお風呂入らせて頂きましたよ。愛原さんも高橋さんもどうぞ」
愛原:「ありがとうございます。取りあえず、買った物で今は要らない物だけ部屋に置いて来ます」
秀樹:「ああ、その方がいいでしょう」
愛原:「リサ達、早速プールで泳いでるんですね」
秀樹:「うちの娘のわがままに付き合わせてしまって、彼女には申し訳ない」
愛原:「いえ、大丈夫でしょう。リサもああ見えて、体を動かすのが好きなコですから」
秀樹:「ありがたいことですね。あ、そうそう。お風呂にはゆっくり入って頂いて結構ですが、もし良かったら、この後一杯やりながら、今後についてのお話よろしいですか?」
愛原:「あ、はい。是非お願いします」
秀樹:「では、また後程……」
私と高橋は一旦、斉藤社長と別れた。
客室に向かう時、地下室へ向かう階段から霧崎さんが出て来た。
霧崎:「どうぞ、ごゆっくり」
霧崎さんはメイド服のスカートを両手で少し持ち上げながら恭しく御辞儀をしてきた。
愛原:「ああ、どうも」
私が答えると、霧崎さんはまた今度は会釈して立ち去ろうとした。
高橋:「真珠!」
それを高橋が呼び止める。
高橋:「お、俺……」
霧崎:「…………」
しかし、高橋が言い始めるのを無視して霧崎さんはプイッとそのまま行ってしまった。
愛原:「諦めるな。まだチャンスはある」
私は高橋の肩を叩いた。
高橋:「い、いや、そんなんじゃないスよ!」
いや、絶対『そんなん』だろ!
本当に高橋は分かりやすいヤツだな。
あれ絶対、霧崎さんも気づいてると思うぞ。
どうしたもんか……。
もう少し、高橋1人に頑張ってもらうかな。
愛原:「ま、とにかく風呂に行こう」
高橋:「はあ……」
確かに霧崎さんは髪形はベリーショート、体形だってお世辞にも巨乳とは言えず、どちらかというと男性的な感じがする。
それが高橋のゲイ心をくすぐったのは事実だろう。
このまま高橋の希望通りに行けば、少しはゲイも治ってくれるかなと思うのだが……。