[3月13日11:22.天候:曇 東京都千代田区丸の内 都営バス東京駅丸の内北口停留所→都営バス東20系統]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
大日本製薬本社ビルで、斉藤社長と会談した私は事務所に戻るべく、再び東京駅に向かった。
といっても、その前から出ているバスに乗れば乗り換え無しで帰れる。
高橋:「先生。1つ思ったんですけど……」
愛原:「何だ?」
バスに乗り込み、後ろの席に座って高橋が言った。
高橋:「あれだけの大企業のトップに会いに行くのに、都営バスってのもどうかと……」
愛原:「別に、堂々とエントランスから入って受付することに変わりは無いんだからいいだろうが」
私はそう言ったのだが、確かに恐らく都営バスで社長に会いに行くVIP客もいるまい。
そりゃ新幹線で上京してきて、そこから徒歩であのビルに向かうというのはあるだろう。
本社ビルは東京駅から歩いて行ける距離にあるからだ。
あとはハイヤーか、安くしてもタクシーといったところか。
ハイヤーならそのまま地下駐車場に入って行き、VIP用車寄せからビル内に入って行くことができるからだ。
愛原:「経費削減の折、公共交通機関に拘ってしまったが、今度はタクシーくらいチャーターするか」
高橋:「レンタカーを手配してくれれば、俺が運転しますよ?」
愛原:「……いや、それは遠慮しておく」
私は肩を竦めた。
と、時間になったのか、バスにエンジンが掛かる。
〔発車致します。お掴まりください〕
バスが走り出す。
それにしても、最近のバスは前扉が再び折り戸になり、折り戸のすぐ後ろの展望席も無くなったものだ。
で、オートマが増えつつある。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。このバスは日本橋、門前仲町、東京都現代美術館前経由、錦糸町駅行きでございます。次は呉服橋、呉服橋。朝日生命大手町ビル、日本ビルヂング、丸の内中央ビル、東京駅日本橋口へおいでの方は、こちらが便利です。次は、呉服橋でございます〕
愛原:「このバスで行くと、ちょうどお昼くらいに事務所に着けるな。ついでに昼飯を買って行こう」
高橋:「そうっスね」
愛原:「高野君と……どうせリサもいるだろうから、何がいいか聞いてみよう」
私はスマホを取り出した。
因みに都営バスでは、一般路線バスにしては珍しくWi-Fiが導入されている。
一部には運転席の後ろにモニターも付いているし、さすが予算が潤沢にある公営バスは違う。
愛原:「高野君は照り焼きマックバーガーのセット、リサがビッグマックのセットだって」
高橋:「結局、マックに走るわけですか」
愛原:「まあ、いいや。たまにはハンバーガーもいいだろう。吉牛はこの前食べたし」
高橋:「先生が仰るなら、吝かではないですが……」
愛原:「俺のdポイントカード使ってくれ」
高橋:「分かりました」
[同日11:55.天候:曇 東京都墨田区菊川 都営バス菊川駅前バス停→マクドナルド菊川駅前店→愛原学探偵事務所]
〔ピンポーン♪ 次は菊川駅前、菊川駅前でございます。都営地下鉄新宿線、都営バス、東京すかいつりー駅方面と築地駅方面はお乗り換えでございます。次は、菊川駅前でございます〕
愛原:「そういえば、絵恋さんのマンションもこの近くだったよなぁ?」
高橋:「な、何スか?奴らのマンションは、新大橋通り沿いっスよ?ぶっちゃけ、次の次のバス停の辺りっス」
愛原:「俺は絵恋さんのマンションだと言ったのに、高橋君は『切り裂きパール』も思い浮かべたわけだね」
高橋:「せんせぇ……」
愛原:「ああ、悪かった悪かった」
〔「ご乗車ありがとうございました。菊川駅前です。菊川駅の入口は、バスの進行方向に進んだ先の交差点にございます」〕
私達はバスを降りた。
愛原:「明日は迎えの車が来るって話だからな。絵恋さんも一緒に乗って行くんだとしたら、もしかしたら霧崎さんも一緒かもしれんぞ?」
高橋:「!」
やれやれ。
これでゲイぶりが治ってくれればいいんだが。
愛原:「ただいまー」
マックに寄って頼まれた物を買い、両手にビニール袋を提げて私達は意気揚々と引き揚げた。
高野:「お疲れ様です、先生」
リサ:「お帰りなさい、先生」
愛原:「うーっス。お昼にしよう。早速買って来たぞー」
リサ:「わー♪」
リサは喜びの余り、第1形態に戻ってしまった。
これだけなら、まだ体が赤銅色に変わり、額に一本角が生え、両耳が長く尖り、両手の爪も尖る程度で済むのだが……。
いや、確かにこれだけでも相当の変化だとは思う。
だけど、まあ、まだ御愛嬌な方か。
因みに犬歯も尖るので、ますます鬼のようだ。
愛原:「リサ、明日、絵恋さんの家に行くぞ。埼玉の方だ」
リサ:「ほーなの?」
リサ、口いっぱいにハンバーガーを頬張りながら答えた。
愛原:「斉藤社長が夕食会を開くって言うから、お前も一緒に来い。多分、絵恋さんも一緒だ」
リサ:「りょーかい」
高橋:「おい、コラ!先生に何だその口の利き方は!?『かしこまりました。先生』だろ!?」
高橋はリサに向けてマグナムの銃口を向けた。
高野:「マサ、そういうのは先生が注意するものよ。いいからあんたも食べな」
愛原:「そうだよ。別に俺は気にしてないから。それに、リサにマグナムは効かないって何度言ったら分かるんだ」
マグナム弾を頭に受けても、『痛っ!』で済むようなレベルだぞ?
普通なら、頭が潰れたトマトになって即死するところを。
それをリサも知ってか、はたまた高橋が本当に撃つわけないと思っているのか、リサは全く気にせずハンバーガーを食べている。
リサ:「一個じゃ足りないかな……」
愛原:「ほら、こんなこともあろうかと、予備を買っておいた」
私は単品で購入したチーズバーガーをリサに渡した。
リサ:「さすが先生!」
愛原:「セットのポテトもあるから、それも食っていいから」
食欲旺盛な所は育ち盛りだからというのも去ることながら、やっぱりそういうことには貪欲なBOWなんだからだろうな。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
大日本製薬本社ビルで、斉藤社長と会談した私は事務所に戻るべく、再び東京駅に向かった。
といっても、その前から出ているバスに乗れば乗り換え無しで帰れる。
高橋:「先生。1つ思ったんですけど……」
愛原:「何だ?」
バスに乗り込み、後ろの席に座って高橋が言った。
高橋:「あれだけの大企業のトップに会いに行くのに、都営バスってのもどうかと……」
愛原:「別に、堂々とエントランスから入って受付することに変わりは無いんだからいいだろうが」
私はそう言ったのだが、確かに恐らく都営バスで社長に会いに行くVIP客もいるまい。
そりゃ新幹線で上京してきて、そこから徒歩であのビルに向かうというのはあるだろう。
本社ビルは東京駅から歩いて行ける距離にあるからだ。
あとはハイヤーか、安くしてもタクシーといったところか。
ハイヤーならそのまま地下駐車場に入って行き、VIP用車寄せからビル内に入って行くことができるからだ。
愛原:「経費削減の折、公共交通機関に拘ってしまったが、今度はタクシーくらいチャーターするか」
高橋:「レンタカーを手配してくれれば、俺が運転しますよ?」
愛原:「……いや、それは遠慮しておく」
私は肩を竦めた。
と、時間になったのか、バスにエンジンが掛かる。
〔発車致します。お掴まりください〕
バスが走り出す。
それにしても、最近のバスは前扉が再び折り戸になり、折り戸のすぐ後ろの展望席も無くなったものだ。
で、オートマが増えつつある。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。このバスは日本橋、門前仲町、東京都現代美術館前経由、錦糸町駅行きでございます。次は呉服橋、呉服橋。朝日生命大手町ビル、日本ビルヂング、丸の内中央ビル、東京駅日本橋口へおいでの方は、こちらが便利です。次は、呉服橋でございます〕
愛原:「このバスで行くと、ちょうどお昼くらいに事務所に着けるな。ついでに昼飯を買って行こう」
高橋:「そうっスね」
愛原:「高野君と……どうせリサもいるだろうから、何がいいか聞いてみよう」
私はスマホを取り出した。
因みに都営バスでは、一般路線バスにしては珍しくWi-Fiが導入されている。
一部には運転席の後ろにモニターも付いているし、さすが予算が潤沢にある公営バスは違う。
愛原:「高野君は照り焼きマックバーガーのセット、リサがビッグマックのセットだって」
高橋:「結局、マックに走るわけですか」
愛原:「まあ、いいや。たまにはハンバーガーもいいだろう。吉牛はこの前食べたし」
高橋:「先生が仰るなら、吝かではないですが……」
愛原:「俺のdポイントカード使ってくれ」
高橋:「分かりました」
[同日11:55.天候:曇 東京都墨田区菊川 都営バス菊川駅前バス停→マクドナルド菊川駅前店→愛原学探偵事務所]
〔ピンポーン♪ 次は菊川駅前、菊川駅前でございます。都営地下鉄新宿線、都営バス、東京すかいつりー駅方面と築地駅方面はお乗り換えでございます。次は、菊川駅前でございます〕
愛原:「そういえば、絵恋さんのマンションもこの近くだったよなぁ?」
高橋:「な、何スか?奴らのマンションは、新大橋通り沿いっスよ?ぶっちゃけ、次の次のバス停の辺りっス」
愛原:「俺は絵恋さんのマンションだと言ったのに、高橋君は『切り裂きパール』も思い浮かべたわけだね」
高橋:「せんせぇ……」
愛原:「ああ、悪かった悪かった」
〔「ご乗車ありがとうございました。菊川駅前です。菊川駅の入口は、バスの進行方向に進んだ先の交差点にございます」〕
私達はバスを降りた。
愛原:「明日は迎えの車が来るって話だからな。絵恋さんも一緒に乗って行くんだとしたら、もしかしたら霧崎さんも一緒かもしれんぞ?」
高橋:「!」
やれやれ。
これでゲイぶりが治ってくれればいいんだが。
愛原:「ただいまー」
マックに寄って頼まれた物を買い、両手にビニール袋を提げて私達は意気揚々と引き揚げた。
高野:「お疲れ様です、先生」
リサ:「お帰りなさい、先生」
愛原:「うーっス。お昼にしよう。早速買って来たぞー」
リサ:「わー♪」
リサは喜びの余り、第1形態に戻ってしまった。
これだけなら、まだ体が赤銅色に変わり、額に一本角が生え、両耳が長く尖り、両手の爪も尖る程度で済むのだが……。
いや、確かにこれだけでも相当の変化だとは思う。
だけど、まあ、まだ御愛嬌な方か。
因みに犬歯も尖るので、ますます鬼のようだ。
愛原:「リサ、明日、絵恋さんの家に行くぞ。埼玉の方だ」
リサ:「ほーなの?」
リサ、口いっぱいにハンバーガーを頬張りながら答えた。
愛原:「斉藤社長が夕食会を開くって言うから、お前も一緒に来い。多分、絵恋さんも一緒だ」
リサ:「りょーかい」
高橋:「おい、コラ!先生に何だその口の利き方は!?『かしこまりました。先生』だろ!?」
高橋はリサに向けてマグナムの銃口を向けた。
高野:「マサ、そういうのは先生が注意するものよ。いいからあんたも食べな」
愛原:「そうだよ。別に俺は気にしてないから。それに、リサにマグナムは効かないって何度言ったら分かるんだ」
マグナム弾を頭に受けても、『痛っ!』で済むようなレベルだぞ?
普通なら、頭が潰れたトマトになって即死するところを。
それをリサも知ってか、はたまた高橋が本当に撃つわけないと思っているのか、リサは全く気にせずハンバーガーを食べている。
リサ:「一個じゃ足りないかな……」
愛原:「ほら、こんなこともあろうかと、予備を買っておいた」
私は単品で購入したチーズバーガーをリサに渡した。
リサ:「さすが先生!」
愛原:「セットのポテトもあるから、それも食っていいから」
食欲旺盛な所は育ち盛りだからというのも去ることながら、やっぱりそういうことには貪欲なBOWなんだからだろうな。