[3月15日15:00.天候:晴 千葉県成田市 成田赤十字病院]
ここは……どこだ……?
私は……何を……?
高橋:「先生……先生……」
私の視界の中に高橋の顔が飛び込んで来る。
愛原:「高橋……?」
高橋:「先生、よくぞ御無事で!」
高橋が私にハグしてくる。
愛原:「な、何なんだ?ここはどこだ?」
高橋:「病院っス!」
愛原:「いや、見りゃ分かる。ここは警察病院か?それとも拘置所の病院か?」
高橋:「成田赤十字病院っスよ。BSAAのヘリで、特定感染……何とかってところの指定病院みたいで」
愛原:「成田ぁ!?」
高橋:「俺達は別にハンターにもゾンビにも噛まれちゃいねーよと言ったんスけど、善場のねーちゃんが聞く耳持ってくれなくて……」
愛原:「おい、一体何の話をしてるんだ?オマエ、トレーラーに飛び込んで大事故起こしただろ?あれはどうなったんだ?」
高橋:「善場のねーちゃん達やBSAAに協力したってことで、チャラっス」
愛原:「意味が分かんねーぞ?一体どういうことだ?」
善場:「それは退院の手続きを終えてからお話しします」
病室に善場主任が入って来た。
善場:「愛原所長はTウィルスは元より、新型コロナウィルスにも感染しておりませんので、このまま退院して頂きます。他の皆さんもです」
愛原:「はあ……」
取りあえず病室を出た私は、善場主任から私が気絶してからのことを聞いた。
愛原:「そんなことがあったのか……」
善場:「高橋さんの行動については、本来なら警察の仕事が1つ増える所でしたが、今回は免除致します。BSAAも驚いていましたからね」
実はBSAAも、ハンターβを密輸したテロ組織を追って日本に来たらしい。
ところが、途中で見失ってしまった。
テロ組織が件のBOWを輸送するのに海上コンテナを模して大型トレーラーに乗せ、それで日本国内のアジトへ向かうという所までは掴んでいたが、肝心のトレーラーを見失ってしまったらしい。
取りあえず目星の付いている埼玉県内を捜索していた所、高橋がたまたま飛び込んだトレーラーがそうだったらしく、情報を得たBSAAが急いで駆け付けたというわけである。
善場:「一応、高橋さん……引いては、愛原所長方の手柄にしておきましたから。上手く口裏を合わせてくださいね」
愛原:「いいんですか、それで?」
善場:「同意して頂けない場合、高橋助手を埼玉県警に引き渡すこととなりますが、よろしいでしょうか?引いては愛原所長の名声にも響くと思われますが?」
愛原:「わ、分かりましたよ」
善場:「ありがとうございます。それでは、こちらの同意書にサインを」
国家機関の庇護下に入るということは、国家機関には逆らえないということでもある。
私はすぐにサインせざるを得なかった。
BSAAは国際組織であり、国連加盟国はBSAAの国内活動に全て協力することとなっているのだが、やはり国連軍の一派と見做されているのか、そういうことを毛嫌いする国も多い。
日本国としても国連加盟国である以上は文句が言える立場に無いが、せめて彼らに対して物申せる権利は維持しておきたい。
それには『活動に協力してやったんだから、こっちの言う事も聞いてくれ』というものが欲しいのだろう。
愛原:「これでいいですか?」
善場:「ありがとうございます。そうそう。“青いアンブレラ”が愛原さん達に関心をお持ちのようですよ」
愛原:「あれは民間軍事会社でしょう?私らには無理ですよ」
兵役を終えた退役軍人がゴロゴロいるのが民間軍事会社だ。
旧アンブレラもUBCSなる民間軍事部門を持っていたからな(USSは旧アンブレラの警備事業部門)。
[同日16:00.天候:晴 同市内 京成成田駅]
病院内でリサ達とも合流する。
それから私達は車で京成成田駅まで送ってもらった。
新庄運転手ではなく、善場さん達の車で(新庄運転手はガソリンスタンドの爆発の際に火傷を負ったらしく、別の病院に搬送されている)。
善場:「申し訳ないですが、ここから電車で帰ってもらえますか?これから成田空港まで行かなくてはなりませんので」
愛原:「結構ですよ。ありがとうございます。やはり、テロ組織絡みですか?」
善場:「ええ。これ以上はちょっと捜査情報になりますので……」
愛原:「ああ、それならいいです。失礼致します」
私が挨拶すると、すぐに車が走り去って行った。
絵恋:「愛原先生。父が、私を守ってくれた御礼をしたいと言ってます。また、後日に連絡するそうです」
駅の中に入ろうとすると、絵恋さんが言った。
愛原:「えっ、俺は何もしてないよ?」
リサ:「高橋兄ちゃんの活躍は、先生の活躍……だっけ?」
絵恋:「確か……そう言ってたわ」
愛原:「高橋の手柄だな。よくハンターβを倒せたな?特殊部隊ですら戦死者を出すって話なのに……」
高橋:「真珠がナイフでヤツの首を掻っ切ってピヨらせてくれたおかげっスよ」
愛原:「そうか」
だが、霧崎さんは不機嫌そうだ。
もしかして、彼女は褒めてもらえなかったのだろうか?
駅の中に入ると、ちょうど当駅始発の快速特急があることが分かった。
これに乗って京成八幡駅に行き、そこから都営新宿線に乗り換えれば帰れるぞ。
愛原:「この車両でいいか」
車内は結構空いていた。
比較的古い車両だが、快速特急に使われる以上、なかなか速く走れるのだろう。
〔「ご案内致します。この電車は16時3分発、快速特急、上野行きです。成田空港、芝山千代田方面へは参りませんので、ご注意ください。次の停車駅は佐倉です。公津の杜、宗吾参道、酒々井、大佐倉には止まりませんので、ご注意ください。まもなく発車致します」〕
愛原:「何か俺、また活躍できなかったなぁ……」
高橋:「俺のせいですね。本当、申し訳ありません」
愛原:「いいよ。次、気をつけてくれたら」
電車は定刻通りに発車した。
〔「お待たせ致しました。毎度、京成電車をご利用頂き、ありがとうございます。16時3分発、快速特急、上野行きです。停車駅は佐倉、勝田台、八千代台、津田沼、船橋、八幡、高砂、青砥、日暮里、終点上野の順に止まります。【中略】次は佐倉、佐倉です。次の佐倉では都営地下鉄浅草線直通、快速、西馬込行きにお乗り換えができます」〕
私は向かいの席に座っている霧崎さんに話しかけた。
愛原:「霧崎さん、ちょっといいかい?」
霧崎:「何でございましょうか、愛原様?」
愛原:「高橋と協力して戦ってくれたんだって?」
霧崎:「……私は1人で戦いました。その後、化け物を攻撃したのは確かにマーサーですが」
霧崎さんはあからさまに不機嫌な顔をした。
愛原:「あなたの活躍、ちゃんと斉藤社長は評価して下さるよ」
霧崎:「失礼ですが、何の話でございましょうか?」
愛原:「キミが不機嫌である理由を知りたいんだ」
霧崎:「……申し訳ございません。あの戦いで、お気に入りのナイフを没収されてしまいまして……」
愛原:「え?」
霧崎さんはメイド服のスカートを捲くって見せた。
左足の脛に括りつけられている鞘にはナイフが差さっていなかった。
霧崎:「私もマーサーと同様、法律違反で危うく逮捕されるところでしたが、あの事件で免除されました。その代わり、没収されてしまったわけです」
愛原:「ハンターβみたいなものを斬ったら、ウィルスが付着しているかもしれないからな。それに、絵恋さんを守る為に使ったんだから、それでいいじゃないか」
霧崎:「そうですね。あのナイフ……高かったのですが……」
愛原:「確かあの場合、BSAAから報奨金がもらえるはずだ。話を聞く限り、活躍したのはキミと高橋なんだから、キミ達で山分けすればいいさ。なあ、高橋?」
高橋:「は、はい!」
霧崎:「まあ、そういうことでしたら……」
愛原:「あと、何だったら俺から善場主任に頼んであげるよ。ナイフの携帯も特例でオッケーにしてくれるように」
霧崎:「それは……ありがとうございます」
高橋:「先生、コイツにナイフ持たせたらちょっとヤバいっスよ」
愛原:「オマエにマグナム持たせるのも危険だと思うがな?」
高橋:「先生、ヒドい!」
愛原:「大体な、今回はラッキーだったから良かったものの、もしあれが普通のトレーラーだったら……」
私が高橋に説教を始めると、霧崎さんはクスリと笑った。
絵恋:「あっ、パールが笑ったの、久しぶりに見た」
霧崎:「あっ、いえ!申し訳ありません」
電車は一路、東へ向かう。
ここは……どこだ……?
私は……何を……?
高橋:「先生……先生……」
私の視界の中に高橋の顔が飛び込んで来る。
愛原:「高橋……?」
高橋:「先生、よくぞ御無事で!」
高橋が私にハグしてくる。
愛原:「な、何なんだ?ここはどこだ?」
高橋:「病院っス!」
愛原:「いや、見りゃ分かる。ここは警察病院か?それとも拘置所の病院か?」
高橋:「成田赤十字病院っスよ。BSAAのヘリで、特定感染……何とかってところの指定病院みたいで」
愛原:「成田ぁ!?」
高橋:「俺達は別にハンターにもゾンビにも噛まれちゃいねーよと言ったんスけど、善場のねーちゃんが聞く耳持ってくれなくて……」
愛原:「おい、一体何の話をしてるんだ?オマエ、トレーラーに飛び込んで大事故起こしただろ?あれはどうなったんだ?」
高橋:「善場のねーちゃん達やBSAAに協力したってことで、チャラっス」
愛原:「意味が分かんねーぞ?一体どういうことだ?」
善場:「それは退院の手続きを終えてからお話しします」
病室に善場主任が入って来た。
善場:「愛原所長はTウィルスは元より、新型コロナウィルスにも感染しておりませんので、このまま退院して頂きます。他の皆さんもです」
愛原:「はあ……」
取りあえず病室を出た私は、善場主任から私が気絶してからのことを聞いた。
愛原:「そんなことがあったのか……」
善場:「高橋さんの行動については、本来なら警察の仕事が1つ増える所でしたが、今回は免除致します。BSAAも驚いていましたからね」
実はBSAAも、ハンターβを密輸したテロ組織を追って日本に来たらしい。
ところが、途中で見失ってしまった。
テロ組織が件のBOWを輸送するのに海上コンテナを模して大型トレーラーに乗せ、それで日本国内のアジトへ向かうという所までは掴んでいたが、肝心のトレーラーを見失ってしまったらしい。
取りあえず目星の付いている埼玉県内を捜索していた所、高橋がたまたま飛び込んだトレーラーがそうだったらしく、情報を得たBSAAが急いで駆け付けたというわけである。
善場:「一応、高橋さん……引いては、愛原所長方の手柄にしておきましたから。上手く口裏を合わせてくださいね」
愛原:「いいんですか、それで?」
善場:「同意して頂けない場合、高橋助手を埼玉県警に引き渡すこととなりますが、よろしいでしょうか?引いては愛原所長の名声にも響くと思われますが?」
愛原:「わ、分かりましたよ」
善場:「ありがとうございます。それでは、こちらの同意書にサインを」
国家機関の庇護下に入るということは、国家機関には逆らえないということでもある。
私はすぐにサインせざるを得なかった。
BSAAは国際組織であり、国連加盟国はBSAAの国内活動に全て協力することとなっているのだが、やはり国連軍の一派と見做されているのか、そういうことを毛嫌いする国も多い。
日本国としても国連加盟国である以上は文句が言える立場に無いが、せめて彼らに対して物申せる権利は維持しておきたい。
それには『活動に協力してやったんだから、こっちの言う事も聞いてくれ』というものが欲しいのだろう。
愛原:「これでいいですか?」
善場:「ありがとうございます。そうそう。“青いアンブレラ”が愛原さん達に関心をお持ちのようですよ」
愛原:「あれは民間軍事会社でしょう?私らには無理ですよ」
兵役を終えた退役軍人がゴロゴロいるのが民間軍事会社だ。
旧アンブレラもUBCSなる民間軍事部門を持っていたからな(USSは旧アンブレラの警備事業部門)。
[同日16:00.天候:晴 同市内 京成成田駅]
病院内でリサ達とも合流する。
それから私達は車で京成成田駅まで送ってもらった。
新庄運転手ではなく、善場さん達の車で(新庄運転手はガソリンスタンドの爆発の際に火傷を負ったらしく、別の病院に搬送されている)。
善場:「申し訳ないですが、ここから電車で帰ってもらえますか?これから成田空港まで行かなくてはなりませんので」
愛原:「結構ですよ。ありがとうございます。やはり、テロ組織絡みですか?」
善場:「ええ。これ以上はちょっと捜査情報になりますので……」
愛原:「ああ、それならいいです。失礼致します」
私が挨拶すると、すぐに車が走り去って行った。
絵恋:「愛原先生。父が、私を守ってくれた御礼をしたいと言ってます。また、後日に連絡するそうです」
駅の中に入ろうとすると、絵恋さんが言った。
愛原:「えっ、俺は何もしてないよ?」
リサ:「高橋兄ちゃんの活躍は、先生の活躍……だっけ?」
絵恋:「確か……そう言ってたわ」
愛原:「高橋の手柄だな。よくハンターβを倒せたな?特殊部隊ですら戦死者を出すって話なのに……」
高橋:「真珠がナイフでヤツの首を掻っ切ってピヨらせてくれたおかげっスよ」
愛原:「そうか」
だが、霧崎さんは不機嫌そうだ。
もしかして、彼女は褒めてもらえなかったのだろうか?
駅の中に入ると、ちょうど当駅始発の快速特急があることが分かった。
これに乗って京成八幡駅に行き、そこから都営新宿線に乗り換えれば帰れるぞ。
愛原:「この車両でいいか」
車内は結構空いていた。
比較的古い車両だが、快速特急に使われる以上、なかなか速く走れるのだろう。
〔「ご案内致します。この電車は16時3分発、快速特急、上野行きです。成田空港、芝山千代田方面へは参りませんので、ご注意ください。次の停車駅は佐倉です。公津の杜、宗吾参道、酒々井、大佐倉には止まりませんので、ご注意ください。まもなく発車致します」〕
愛原:「何か俺、また活躍できなかったなぁ……」
高橋:「俺のせいですね。本当、申し訳ありません」
愛原:「いいよ。次、気をつけてくれたら」
電車は定刻通りに発車した。
〔「お待たせ致しました。毎度、京成電車をご利用頂き、ありがとうございます。16時3分発、快速特急、上野行きです。停車駅は佐倉、勝田台、八千代台、津田沼、船橋、八幡、高砂、青砥、日暮里、終点上野の順に止まります。【中略】次は佐倉、佐倉です。次の佐倉では都営地下鉄浅草線直通、快速、西馬込行きにお乗り換えができます」〕
私は向かいの席に座っている霧崎さんに話しかけた。
愛原:「霧崎さん、ちょっといいかい?」
霧崎:「何でございましょうか、愛原様?」
愛原:「高橋と協力して戦ってくれたんだって?」
霧崎:「……私は1人で戦いました。その後、化け物を攻撃したのは確かにマーサーですが」
霧崎さんはあからさまに不機嫌な顔をした。
愛原:「あなたの活躍、ちゃんと斉藤社長は評価して下さるよ」
霧崎:「失礼ですが、何の話でございましょうか?」
愛原:「キミが不機嫌である理由を知りたいんだ」
霧崎:「……申し訳ございません。あの戦いで、お気に入りのナイフを没収されてしまいまして……」
愛原:「え?」
霧崎さんはメイド服のスカートを捲くって見せた。
左足の脛に括りつけられている鞘にはナイフが差さっていなかった。
霧崎:「私もマーサーと同様、法律違反で危うく逮捕されるところでしたが、あの事件で免除されました。その代わり、没収されてしまったわけです」
愛原:「ハンターβみたいなものを斬ったら、ウィルスが付着しているかもしれないからな。それに、絵恋さんを守る為に使ったんだから、それでいいじゃないか」
霧崎:「そうですね。あのナイフ……高かったのですが……」
愛原:「確かあの場合、BSAAから報奨金がもらえるはずだ。話を聞く限り、活躍したのはキミと高橋なんだから、キミ達で山分けすればいいさ。なあ、高橋?」
高橋:「は、はい!」
霧崎:「まあ、そういうことでしたら……」
愛原:「あと、何だったら俺から善場主任に頼んであげるよ。ナイフの携帯も特例でオッケーにしてくれるように」
霧崎:「それは……ありがとうございます」
高橋:「先生、コイツにナイフ持たせたらちょっとヤバいっスよ」
愛原:「オマエにマグナム持たせるのも危険だと思うがな?」
高橋:「先生、ヒドい!」
愛原:「大体な、今回はラッキーだったから良かったものの、もしあれが普通のトレーラーだったら……」
私が高橋に説教を始めると、霧崎さんはクスリと笑った。
絵恋:「あっ、パールが笑ったの、久しぶりに見た」
霧崎:「あっ、いえ!申し訳ありません」
電車は一路、東へ向かう。
多分この女優のメイドコスプレイは無く、「ベリショのJKモノ」が多いイメージだったが、何故か思い浮かんだので。
実はこの女優、韓国人とのハーフである(国籍は最初から日本。その為、恐らく朝鮮人名は無いと思われる)。
当初、霧崎真珠は在日朝鮮人でそれを愛原が暴いてしまうという初期設定があったが(名前も霧崎真珠ではなく、もっと在日朝鮮人の通名っぽい名前であった)、没になった。
京成電鉄は今でこそ成田空港アクセス鉄道としての顔が大きいが、本来は成田山新勝寺への参拝客輸送の為に敷設された鉄道であった。
つまり、京成電鉄の『成』は成田空港の『成』ではなく、成田山の『成』だったのである。
大きな寺社への参拝客輸送が目的の為に敷設された鉄道というのは、日本では割かし多い。
首都圏では他に京浜急行が挙げられる。
京急川崎から川崎大師へのアクセスである大師線。
これが元祖・京浜急行である。
今ではJR身延線となっているが、あれも本来は富士宮の浅間大社や身延山久遠寺への参拝客輸送の為に敷設されたもの。
当時は富士身延鉄道という私鉄だったが、中央本線と東海道本線を結んでいたことから日本政府に目を付けられ、戦時買収されて国鉄となり、JR東海の路線となって今に至る。
仮に私鉄のままだったら、創価学会が買い取っていたか?