報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「入院中の迷探偵」

2018-07-22 20:11:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月10日07:30.天候:晴 宮城県仙台市内某所 とある大病院]

 私の名前は愛原学。
 都内で私立探偵を営んでいる。
 今、私は出張先の仙台市内で入院している。
 別に、昨夜のバイオハザードではどこもケガはしていない。
 ゾンビにも噛まれていないし、むしろ擦り傷を負った高橋君の方が心配だ。
 何でもこの病院は、BSAA極東支部日本地区本部の指定医療機関になっているらしい。
 もちろん、あくまで指定医療機関というだけであり、専門病院ではない。
 その為、私や高橋君の他にも一般の患者がいたりするのだが……。

 看護師:「愛原さん、高橋さん。朝食の時間です」
 愛原:「あ、はい」

 私と高橋君は2人用の病室に入院している。
 理由は検査入院とのことだ。
 要はゾンビに襲われたりしていたわけだから、私達も感染していないかどうかを検査する為のものらしい。
 だが私達は、今さら感染しても発症することはないだろう。
 何故なら霧生市のバイオハザードの時に、既にワクチンを接種していたからだ。
 それでなくても、元々抗体が私達にはあったらしい。

 愛原:「へえ、最近の給食は美味そうに作られてるんだねぇ……」
 高橋:「少年院の時の飯の方が多かったですよ」
 愛原:「そりゃお前、育ち盛りを収容しているんだから、普通の刑務所よりは多めに出るだろう」
 高橋:「いや、ガチで多かったですよ」
 愛原:「んん?何だ、牛丼特盛でも出たのか?」
 高橋:「いえいえ、もっとです。1食分を3食に分けてこの量ですよ」
 愛原:「おい、マジかそれ!?」

 ちょっと奥さん、聞きました?
 少年院で出る食事の量、1食分を3食に分けて病院の給食並みですって。

 高橋:「さすがのオレも太りました、あの時は」
 愛原:「だろうなぁ、それ!」
 高橋:「税金の無駄使いですよね」
 愛原:「お前が言うな!」

 私は呆れてズズズと味噌汁を啜った。

 高橋:「でもまあ、当時の少年院仲間の中には、半ば親から虐待されていた奴もいて、満足に飯も食わせてもらえなかったので、あそこの飯は美味かったと言ってました。そこが刑務所の『臭い飯』との大きな違いです」
 愛原:「飯目当てに再犯されても困るよ?」

 それでもまだ刑務所出所者より、少年院退院者の方が再犯率は低いらしいのだが……。

 愛原:「てか高橋、お前、料理は少年院で習ったって言ってたじゃないか!」
 高橋:「すいません。少年刑務所の間違いでした。あ、そうそう。俺が何やらかしてそこに入るきっかけになったか、まだ話してませんでしたね」
 愛原:「後で聞くよ。何だか飯がマズくなりそうな話っぽそうだ」
 高橋:「その方がいいかもです」

 私はテレビのチャンネルを替えた。
 スピーカーではなく、イヤホンで聞くタイプだ。
 まあ、病院ならそうだろう。
 私はイヤホンを持っていなかったので、仕方なく字幕表示にだけして音は消していた。
 それでも、画面だけでどんなニュースが流れているのか分かった。
 当たり前のことだが、廃校とその地下研究施設のことが大々的に報道されていた。
 BSAAが撮影したと思われる大型クリーチャーの映像、そこにBSAAの戦闘ヘリが上空から攻撃している映像が報道された。
 アナウンサーの、『これは映画のワンシーンではありません。我々日本人からしてみれば、まるで映画の世界の話に過ぎなかったBOWの脅威がついに日本にも上陸したのです。これは他人事ではありません』という字幕が印象的だった。
 因みにBOWとはBio Organic Weaponの略で、要はバイオテロに特化して製造されたクリーチャーのことを言う。
 私達が霧生市で戦ったハンターもそうだし、タイラントもそうだ。
 そして……リサもその1人なのだ。

 愛原:「リサはどこに行った?」
 高橋:「俺達と同じく検査入院しているはずですけどね、さすがに病棟は男女分かれてるってことです」
 愛原:「後で顔を見せに行くか。どうせヒマだし」
 高橋:「お供します。ってか、アネゴにも連絡しませんと」
 愛原:「それもそうだな。食べたら、すぐ電話しよう」

 私達は急いで朝食を取った。

 看護師:「愛原さん、高橋さん。9時から先生の診察がありますので……」
 愛原:「分かりました。ちょっと事務所に電話してきます」
 高橋:「お供します!」

 私が事務所に連絡を取れたのは、8時過ぎ。
 既に高野君が出勤していた。

 高野:「びっくりしましたよ。事務所には誰もいないですし、先生達が向かった仙台じゃ、BOWが暴れたというじゃないですか」
 愛原:「そのBOWから命からがら逃げて来たんだ。今はBSAAに保護されて、市内の病院に検査入院中だ。高橋君が軽いケガをしたもんだから、その治療もあるけどな」
 高野:「感染はしてないんでしょうね?」
 愛原:「大丈夫だろ。霧生市脱出後、俺達、抗体があったって判明してるし、何より念の為にワクチンも打ってたしな」
 高野:「確かに……」
 愛原:「予定じゃ明日退院するから、明日には帰るよ。……あ、そ。仕事の依頼はまだ無いのね。分かった分かった」

 私は電話を切った。

 愛原:「それじゃ行こうか」
 高橋:「はい」

 私は同じフロアにある、反対側の病棟まで向かった。
 そこは女性患者が主に収容されているエリアであった。

 愛原:「確か、この辺だけど……」
 高橋:「あー、ここですね。ってか、個室かよ!」

 だが、入口のドアは閉ざされ、『面会謝絶』の札が掛けられていた。
 しかも、ドアの前には黒いスーツ上下に黒いサングラスを掛けた男が1人立っていた。

 愛原:「さあて、病室に戻ろうか」
 高橋:「先生!」
 愛原:「これ、絶対入っちゃダメなパティーンだろ!?」
 高橋:「俺達はいいでしょうよ!?」
 愛原:「命あっての物種だぞ!?」

 すると、黒スーツの男がつかつかとやってきた。

 男:「ここは病院です。静かにしてください」
 愛原:「あ……すいません」
 高橋:「なあ。俺達、その病室に面会に来たんだけど……」
 愛原:「私立探偵の愛原学と、助手の高橋正義です」
 男:「あなた達なら面会は許可されています。どうぞ」

 あっさりOKだった。
 ガラガラと引き戸を開けると、中にいたのは……。
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“私立探偵 愛原学” 「脱出!そして……」

2018-07-21 20:13:08 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月10日03:00.天候:晴 宮城県仙台市太白区郊外 廃校舎]

 エレベーターで地上に出ると、そこは廃校裏手の山の中にある掘っ立て小屋の中だった。
 なるほど。掘っ立て小屋を装い、エレベーターホールを作ったというわけか。
 だが、エレベーターのドアが開くのと、掘っ立て小屋のドアが開くのは同時だった。
 そして、そこからなだれ込んで来たのは……特殊部隊の恰好をした男達だった。
 くすんだ緑色の軍服を着ており、頭にはフルフェイスのヘルメットを被っている為に顔は分からない。
 しかし、手には軍用のショットガンやマシンガンなどを手にしていた。

 隊員A:「BSAAだ!手を挙げろ!」
 隊員B:「抵抗すると撃つぞ!」
 隊員C:「銃を捨てて両手を頭の後ろに回せ!早くしろ!」

 BSAAだって!?
 既に国連組織が嗅ぎ付けていたのか!
 もちろん、私達は抵抗しなかった。
 さすがの高橋君も、軍人相手には叶わぬと見たか、ハンドガンを捨てて両手を挙げた。

 愛原:「やめろ、撃つな!俺達はBSAAの敵じゃない!一般人だ!」
 隊員A:「嘘を付くな!一般人が拳銃など持ってるわけが無いだろう!」

 う……そりゃそうだ。
 マズいな。何て言い訳しよう?
 不利な事に、ここにはヘタすりゃ本当にBSAAから100パー敵扱いされるリサまでいる。

 愛原:「話しても信じてもらえるかどうか分からないが……」
 隊員A:「話は向こうで聞かせてもらう。早くこっちへ……」

 と、隊員Aか言った時だった。
 突然、廃校の方から大きな爆発音が聞こえて来た。

〔「HQからαチームとβチームへ緊急連絡!廃校地下の研究施設より、大型クリーチャーが暴走したもよう!直ちに本部へ帰隊せよ!繰り返す!……」〕

 HQとは作戦司令部のことだったか。
 そこから入った緊急連絡って……。

 隊員A:「アルファチームよりHQへ。研究施設へ向かうと思われるエレベーターより、不審人物3名を確保した。一般人を主張しているが、尋問の必要あり。指示を持つ」
 HQ:「こちらHQ。大型クリーチャーにより、βチームが苦戦している。現在、応援部隊を派遣中である。1度本部へ帰隊し、不審人物の連行を優先とする」
 隊員A:「了解!……というわけだ。ここから化け物が出て来るかもしれない。早くこっちへ」
 愛原:「はいはい。銃をどうしましょう?」
 隊員B:「証拠品だから、こちらで預かろう」

 私と高橋のハンドガンはBSAA隊員に没収されてしまった。
 そして、私達は真っ暗な山道を下ることになった。
 山道と言っても、そこは学校の裏山。
 少し下るだけで、もう校舎が見えて来る。
 それにしても、だいぶ明るい。
 さすが国連軍の一組織がやってくるだけのことはある。
 こういう場合、自衛隊も動くのか?いや、それよりも在日米軍か?

 愛原:「あっ!?」

 明るい理由が分かった。
 木造校舎が燃え上がっているのだ。

 隊長:「お前達、早く戻って来い!」
 隊員A:「隊長!」

 どうやらαチームという分隊は、更に分散して山狩りでもしていたらしい。

 隊長:「あなた達がアンブレラの研究施設から来たという人達か?」
 愛原:「そうです。でも私達は、アンブレラの人間じゃありません」
 隊長:「そりゃあそうだろう。もう製薬会社としてのアンブレラはとっくに潰れているのだから。とにかく、話は司令部で聞こう。ヘリに乗りなさい」
 愛原:「は、はい!」
 高橋:「先生、あれを!」

 燃え盛る校舎を更に崩して暴れ回る化け物がいた。

 リサ:「4番!あんなになっちゃって……」
 高橋:「何だよ!?死んでなかったのかよ!?」
 愛原:「ガスボンベ爆発させても尚あれか……」
 隊長:「何だって!?ガスボンベを爆発させた!?」
 高橋:「そうだよ!そうでもしなきゃ、俺達は殺されるところだったんだ!何か文句あっか!」
 愛原:「まあまあ、高橋君……」
 隊長:「研究施設が火災を起こしたのは、ガス爆発が原因なんだそうだが……」
 愛原:「高橋君!キミ、放火の現行犯で逮捕されるぞ!?」
 高橋:「こう見えても少年鑑別所、少年院、少年刑務所を経験してますのでね、今度は普通の刑務所に入ってコンプリートしてやりますよ」

 実際いるのか?
 日本の監獄施設全部コンプリートしたヤツって?

 隊長:「まあまあ。キミの言う通り、クリーチャーに襲われたが為、仕方なくそうしたというのなら正当防衛になるよ」

 私達がBSAAと書かれたヘリコプターに乗り込むと同時に、他のヘリが何機もやってきた。

 高橋:「上空から攻撃する気か!?」

 高橋君が、その応援部隊のヘリに機銃が付いているのを目ざとく見つけた。

 隊長:「その通り。何しろあんな大型のクリーチャー、地上から銃をバンバン撃っても不利なだけだからな」
 愛原:「なるほど……」

 私達を乗せたヘリが離陸した。
 その時、リサが何か言った。
 ヘリの中は暗いが、リサの目が玉虫色に光った。

 リサ:「さようなら。おバカさん」

 リサはかつて仲間だった大型クリーチャーに、侮蔑の眼差しを向けた。
 リサもヘタすりゃ、あんな姿になるのだろうか?
 ……なるんだろうなァ。
 玉虫色に光った目が、また元の茶色の目に戻る。

 隊長:「その子は何者だ?」

 隊長さんが後ろを振り向いた。

 愛原:「これも長くなるので、後で説明します。あえて説明するならば、霧生市で私達が保護したコです」
 隊長:「霧生市だって!?」
 隊員A:「日本初のバイオハザード発生地帯ですね。BSAA極東支部設立後、日本地区本部が作られるきっかけとなった事件です」
 高橋:「支部なのか?本部なのか?どっちだ」
 愛原:「高橋君、地区本部ってのはブロックみたいなものだよ」

 それにしても、私達は無力だ。
 横にいるリサが本気を出せば、先ほどのハンドガンだけでは太刀打ちできない。
 ましてや、彼女の仲間だった者がああやって大型のクリーチャーに変化したとあれば……。

 愛原:「どうせ調べるでしょうから、今から白状しておきますが、彼女は霧生市のアンブレラ研究所で研究されていた『リサ・トレヴァー』です。その後、日本政府に保護されていました」
 隊長:「そうなのか!?……分かった。すぐに確認しよう」
 愛原:「リサ、大丈夫だよね?」
 リサ:「ええ。私はちゃんと正式に研究所を出たんだから」

 そうか、良かった。
 脱走じゃなくて……。
 ヘリコプターは東京方面ではなく、何故か市街地に向かって飛んだ。
 一体、どこへ連れて行かれるのだろう?
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“私立探偵 愛原学” 「2人いる……!」

2018-07-20 18:58:06 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月10日02:30.天候:晴 廃校地下の秘密研究施設]

 私の名前は愛原学。
 都内で私立探偵をやっている。
 ……のだが、またもやバイオテロのようなものに関わることとなってしまった。
 まるで大病院の病棟のような佇まいの地下研究施設。
 廊下には非常灯の明かりしか点いていない中で、1つだけ明かりの漏れている部屋があった。
 物音はしないが、中に誰かがいるかもしれない。
 私はエレベーターの中で手に入れた銃を構え、そーっとドアに近づいた。
 すると、どうだ。
 中から話し声が聞こえるではないか!
 よく耳を澄ましてみると、それは少女達の話し声のようだった。
 少女……達!?

 少女A:「……いつまでも夢見てんじゃないの!どうせこの先も……私達は化け物扱いされるだけなんだから!」
 少女B:「そんなことない!きっと……が迎えに来てくれる!」
 少女A:「そうやって、いつまでも夢見てればいいよ!」
 少女B:「どこ行くの!?」
 少女A:「取りあえず、あいつら殺してくる!」
 少女B:「ちょっと待って!……は殺さないで!」

 バンッ!(ドアが思いっ切り開けられる)

 愛原:Σ(゚Д゚)

 いきなりドアが開いたので、私は硬直した。
 ドアは外側に開くタイプであり、私はそのドアの陰に隠れた。
 少女は私が隠れた反対側の方に走って行った。
 薄暗くてよく見えないが、紺色のブレザーのようなものを着ていた。
 エレベーターの鏡で見たコかな。
 い、いや、それより……!

 少女B:「あのバカ……!」

 私が少女Aを追おうとすると、中から憤慨した様子の少女Bが出て来た。
 今度は隠れられず、私はついお地蔵さんのポーズを取って壁際に立った。

 少女B:「あいつが絶対間違ってるんだから……!」

 少女Bは私に気づかず、そのまま廊下の向こうに歩いて行……

 少女B:「おい!」

 ……くわけなかった!
 少女Bは白い仮面を着けていて、両目から鋭い眼光がギラリと光った。
 右手を振り上げると、その手がまるでタイラントの腕のように変形した。
 これで私を引き裂く気か!

 愛原:「くそっ!」

 私は銃を構えた。
 銃声が施設内に響く。

 愛原:「んっ!?」
 少女B:「!?」

 撃ったのは私ではない。
 もちろん、少女Bに当たったわけでもなかった。
 どこか、他の場所から銃声が響いたのだ。

 愛原:「誰だ!?どこから聞こえて来た!?」
 少女B:「その声は……!?」

 すると、少女の右腕が元の人間のそれと同じ形に戻った。
 鋭く光っていた眼光も消える。

 少女B:「愛原先生!愛原先生ですね!?」

 その声は紛れも無く、霧生市のバイオハザードでアンブレラの研究所から一緒に逃げた被験者の少女だった。

 愛原:「キミは霧生市の時の……!『トイレの花子さん』?それとも、『日本人版リサ・トレヴァー』と呼べばいいのかな?」
 少女B:「好きなように呼んでくれていいよ。どうせ私も、『2番』って呼ばれてただけだから」
 愛原:「2番!?」

 本当に実験体扱いだなぁ……と、それより!

 愛原:「さっきのコは何なんだ!?キミとは色違いの仮面を着けていたけども……!」
 少女B:「あのコは『4番』!だけど、私に成り済まして、先生達の船を沈めた悪いコだよ!」
 愛原:「何だって!?じゃあ、高橋君が追っていた『クソガキ』ってのは、キミとは違ったのか!?」
 少女B:「船のことは聞いたけど、あの時はまだ私は(政府関係の)研究所にいたんだから違うよ!」
 愛原:「マジか!」
 少女B:「もしかして、先生の知り合いもここにいるの?」
 愛原:「そうなんだ。上からエレベーターを動かそうとしたら、トラップに引っ掛かってね」
 少女B:「大変!あいつ、殺そうとしてるよ!」
 愛原:「な、なにっ!?」

 すると、また銃声が聞こえて来た。
 高橋君がどこかで銃を拾って、それで戦っているのだろうか。

 愛原:「助けに行かなきゃ!場所は分かるのかい!?」
 少女B:「こっちだよ!」

 私達は走った。
 そして、ある部屋の前に着く。
 ここはさっき鍵が掛かっていた部屋だ。
 やっぱり、ここにいたんだ!

 愛原:「でも、ここは鍵が掛かってるよ!」
 少女B:「大丈夫大丈夫!」

 少女が手をかざすと、ガチャと鍵が開いた。
 何だ、生体認証になっていたのか。

 愛原:「高橋君、大丈夫か!?」

 私が中に飛び込むと、そこには……。

 少女B:「あー……!」

 先ほど私に見せたように、少女Bも元は人間だった者が改造されたクリーチャーである。
 その彼女が驚く事態になっていた。

 少女A:「くっ……くはっ……!」

 高橋君も手足に擦り傷は追っているものの、軽傷の部類に入る。
 重傷なのは、少女Aの方。
 銃弾が当たったのか、仮面が破損していた。

 少女B:「だから言ったのに!このバカ!」
 少女A:「バカ……!?くっ……!皆そうだわ……!私のこと……寄ったかってイジめて……!だから、死のうとしたのに……!」

 少女は仮面を取った。
 その下はごく普通のかわいらしい中学生くらいのコであったが、見る見るうちに体全体が変化していった。

 高橋:「先生!御無事だったんですね!?」
 愛原:「高橋君こそ!それより早く逃げよう!何だかヤバそうだ!」
 高橋:「でもコイツ……!」
 愛原:「いいから!」

 見ると部屋の片隅には、無残な死体となっている佐藤君がいた。

 少女B:「こっちです!こっちから逃げられます!」
 高橋:「うわっ!もう一人いた!」
 愛原:「高橋君、こっちは潔白だ!船を沈めたのは、あいつだ!」
 高橋:「何ですって!?」

 私達は部屋を飛び出した。
 大きな化け物と変化した少女Aは……。

 少女A:「逃がさなぁぁぁぁぁい……!!」

 まるでタイラントのような姿になって、私達を追って来た。

 ゾンビA:「アァア……!」
 ゾンビB:「ウゥウ……!」

 どこに隠れていたのか、研究施設の研究員や被験者と思しき者達のゾンビが現れたが、そんなのに構っている場合ではない。

 少女A:「邪魔だァァァァァッ!!」

 長くて太い腕、そして鋭く伸びた爪で徘徊しているゾンビを引き裂く……というよりは薙ぎ払う少女A。

 愛原:「リサ!まだなのか!?」
 少女B:「もうすぐです!」

 私はついリサと呼んでしまった。
 こっちの方が呼びやすい。

 少女A:「裏切り者の2番!オマエも殺す!!」

 少女B改め、日本人版リサ・トレヴァーは別のエレベーターの所へ私達を連れて来た。

 リサ:「これで上に戻れます!」
 愛原:「よし!」

 私はボタンを押した。

 愛原:「てか、エレベーターが来る前に追いつかれるぞ!」
 高橋:「くそっ!……あっ!」

 その時、高橋が何かに気づいた。
 廊下に落ちているガスボンベだ。

 高橋:「先生、これで時間が稼げそうですよ!」
 愛原:「ま、まさか……!」
 高橋:「そのまさかです!」
 少女A:「殺すぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

 高橋はガスボンベを転がした。
 と、同時にエレベーターのドアが開く。

 高橋:「テメェが死にやがれーっ!」

 高橋はガスボンベに向かって、3発ほど発砲した。
 そして、大きな爆発音が響き渡る。

 少女A:「ぎゃああああああああ!!!」

 化け物と化した少女Aは、ガスボンベの爆発をもろに受けた。

 高橋:「これでOKです!」
 愛原:「早く行こう!」

 私は高橋をエレベーターに乗せると、すぐにドアを閉めた。
 エレベーターが上に向かって動きだす。
 これで本当に終わったのだろうか?
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“私立探偵 愛原学” 「地下研究施設へ」

2018-07-20 10:12:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月10日02:00.天候:晴 宮城県仙台市太白区郊外 廃校舎]

 私が警察官達と押し問答をしている最中、若い巡査が後ろから何者かに襲われた。

 ゾンビA:「アァァ……!」
 ゾンビB:「ウゥウ……!」
 ゾンビC:「ガァァァァッ!!」

 それはあの校門の外にいたゾンビ達だった。
 一人増えているのはアレだ。
 確か千葉君と言って、ゾンビ化したケン君とやらに噛み殺されたコだ。
 彼もゾンビ化してしまったか……。

 巡査部長:「止まれ!止まらんと撃つぞ!!」
 愛原:「いいから撃て!!」

 私は叫んだが、やはり日本の警察官じゃダメだ。
 バイオハザードの本国、アメリカの警察官だって、ただの巡査じゃやっぱりゾンビに叶わなかったのだから。

 巡査部長:「ぎゃあああああっ!!」

 巡査部長は飛び掛かって来たゾンビに向かって一発発砲した。
 それはゾンビに当たったことは当たったのだが、もちろん一発だけで怯むゾンビではない。
 巡査はもちろんのこと、その先輩である巡査部長もゾンビの餌となった。
 冷たいようだが、今のうちだ。
 霧生市のバイオハザードの時、ゾンビに食い殺された者は見捨てないと自分も食い殺されるというのが大きな教訓だ。
 武器でも無い限りは……。

 愛原:「これであの警察官達もゾンビ化するわけか……」

 頭も食い潰されていれば、そうはならずに済むのだがな……。
 ゾンビ達は私に気づいたらしく、呻き声を上げて向かって来た。
 だが、足も腐っている為か、走る私には追い付けない。
 私は再び地下への階段に下りる鉄扉を開け、そして内側から鍵を掛けた。
 これで奴らは追って来れない。
 そして階段を下りて、起動したエレベーターのボタンを押した。

 愛原:「ん?」

 その時、私は何かに気づいた。
 高橋が罠にはまって落ちた場所に、何かが落ちていた。
 ライトで照らしてみると、それは折り畳みナイフ。
 高橋の物ではなさそうなので、これは一緒に落ちた佐藤君の物か。
 よし、取りあえず刃物は持って行った方が良さそうだ。
 私は早速それを借りることにした。
 そして、エレベーターに乗り込む。
 籠の中も古めかしい造りになっていたが、これはやはりアンブレラが、ここに元からあったかのように見せる為に、わざと古いデザインで造ったのかもしれない。
 私は地下3階のボタンを押してドアを閉めた。
 ドアが閉まろうとした際、上から鉄扉をドンドン叩く音がしたが、当然あいつらは私を餌にはできなかったというわけだ。

 愛原:「いざ、地獄の底へ……」

 エレベーターはゆっくりと下降していく。
 背後の壁には姿見ほどではないが、比較的大きめの鏡が設置されている。

 愛原:「う……!」

 そこには、あの仮面の少女が映っていた。
 だが、少し様子が違う。
 昇降口で見たのは、霧生市から一緒に脱出したコのように見えたが、この鏡に映るのは……。
 あ、そうか。
 仮面は同じだか、着ている服が違う。
 そう思った時、チーンとベルが鳴った。
 地下3階に到着したのだ。
 それと同時に、鏡に映っていた少女も消えた。
 私はナイフを構えた。
 ドアが開くと同時に、ゾンビがなだれ込んで来たら……ナイフと鉄パイプじゃ叶うわけないじゃん!
 だが、いつまで経ってもドアが開かない。
 もしかして、故障か!?

〔パスコードを入力してください〕

 そういうアナウンスが流れて、パカッと操作盤のパネルが開いた。
 中にはテンキーが入っている。

 愛原:「ぱ、パスコードだって!?」

 そんなもの分かるわけないじゃないか!

 愛原:「え、えーと……」

 私は適当に押してみることにした。

 愛原:「2424188『西に良いパパ』とか?」

 ガコンと、向かって左側のパネルが開いた。

〔認証できました。それではまず武器をお取りください〕

 そこから出て来たのはハンドガン。

 愛原:「何で!?」

 霧生市のバイオハザードで使っていたものとタイプは似ている。
 どうやら弾もちゃんと入っている。

〔第二認証コードを入力してください〕

 まだあんの!?
 えーと、それじゃ今度は……。

 愛原:「0222422222『仙台022〜♪242の♪2222〜♪日本文化センター♪』かな?」

〔認証できました。開くドアにご注意ください〕

 何でやねん!?
 てか、これ『東京03〜♪3200♪2222〜♪日本文化センター♪』でも開いたんじゃねーの!?

 愛原:「ま、まあいいや」

 私は咳払いをして銃を構えた。
 ドアが開く。
 だが、ゾンビなどがなだれ込んでくることは無かった。

 愛原:「なるほど。確かに研究施設っぽいな」

 研究施設というよりは、病院のような感じだ。
 真っ暗な夜の病院。
 所々、非常灯の明かりなどが点いているだけ。
 あー、これはアレだ。
 今のエレベーターといい、非常灯だけとはいえ照明が点いているということは、まだある程度の電力は生きているということ。
 つまり、だ。

 この研究施設はまだ生きている!

 愛原:「とにかく、高橋君達を捜そう」

 私はライトを点灯させると、通路を進んだ。
 エレベーターがそこにあるということは、高橋君達が落ちた罠の位置からして、彼らが落ちたのは……あの部屋が怪しいな。
 佇まい的には、病院の外来診察室の入口っぽいんだが……。
 だが、当然ながら引き戸のドアには鍵が掛かっていた。

 愛原:「やっぱりか。どこかで鍵を探さないとな……」

 それにしても静かだ。
 人の気配など全く無いし、機械の音がするわけでもない。
 まるで、昨日廃止された病院の中を探索するかのようだ。

 愛原:「鍵のある場所と言ったら……それこそ、警備室みたいな部屋がありそうだが……」

 私は廊下を曲がった。

 愛原:「!?」

 すると、電気の点いている部屋があった。
 あそこに誰かいるのか?
 何か物音だとか、人の話し声だとか、そういうのは聞こえないが……。
 私は行ってみることにした。
 また、さっきみたいにトイレがあったりしてな。
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“私立探偵 愛原学” 「廃校舎に仕掛けられた罠」

2018-07-18 19:36:23 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月10日01:00.天候:晴 宮城県仙台市太白区郊外 廃校舎]

 私達は3Fの女子トイレで手に入れたグレモン鍵を手に、階段を下りた。
 相変わらず静かな校舎内だ。
 もっとも、飛び道具も無い状態でゾンビ無双はやりたくないが。

 愛原:「うっ……」

 1階に下りてトイレの方を見たら、トイレの照明は消えていた。
 私達の誰も消灯していないはずなのに……。
 佐藤君が一瞬見たという少女らしき影のせいだろうか。

 愛原:「うん、ピッタリ合う」

 グレモン鍵を差し込むと、ちょうど取っ手が取り付けられたみたいになる。
 ガチャンと下に押し込むと、ドアが開いた。

 高橋:「先生。この先こそが本番です。油断してはいけません」
 愛原:「そうだな」

 階段の先は真っ暗で、ライト無しではとても進めそうにない。
 私達はライトを点灯させて、階段を下りた。
 意外なことに、地下へと下りる階段はコンクリート製になっていた。
 それも、鉄扉を囲んでいたそれと違い、だいぶ古い。
 元々地下へ下りる階段だけは、コンクリート製だったのか。
 そして、階段を下り切った。

 佐藤:「あれっス。俺らが見たのは」

 佐藤君は自分のハンディライトをエレベーターに向けた。
 そう、そこにはエレベーターがあった。

 愛原:「なるほど……」

 見た目は普通のエレベーターだが、これがどうも……。

 愛原:「何か古くね?」
 高橋:「そうですね」

 まるでこの学校が建った頃からあるかのように、そのエレベーターの見た目が古かった。
 ドアが木目調になっていて、触ってみると、どうもそういう化粧板を貼っているようではあったが、本当に木製のような手触りだった。
 そして、階数表示がアナログの針式だ。
 どうやら、地下3階まで下りるらしい。
 ボタンも金属製の出っ張りであった。
 押すとカチカチ鳴ることから、これが本当に呼び出しボタンらしい。
 それにしても……。

 愛原:「何か、元からあったようにも見えるなぁ……?」

 私はライトでエレベーターの周りを照らしてみた。
 すると、ここにも暴走族の落書きみたいなものがあった。

 佐藤:「あ、これ、俺らっス」
 愛原:「『参上』とか『夜露死苦』とか、随分とレトロな落書きだね」
 高橋:「古いギャグやってんじゃねぇぞ、コラ」
 佐藤:「ち、違うんスよ、高橋さん!白鳥のヤツが、『原点回帰だ!ヒャッハー!』しながら書いたんス!」
 愛原:「その『ヒャッハー!』は、お巡りさんがすっ飛んで来るモノを使っていたからじゃないことを祈るよ」

 私は呆れながらボタンを押したが、やっぱりうんともすんとも言わない。
 トイレの照明を点けたかもしれない『仮面の少女』、このエレベーターも動かしてくれないかなぁ……。
 そう思っていると、高橋君が何かを見つけた。

 高橋:「先生、これを見てください」

 高橋がライトで照らした場所は、エレベーターとは反対側。
 そこにレバーが2つあった。
 しかもその横には黄色いペンキで、『EV SW→』と書かれていた。
 EVはエレベーター、SWはスイッチのことだろう。

 愛原:「このエレベーターが起動スイッチだったのか。それにしても動くかなぁ?」
 高橋:「やってみましょう。きっと、このレバー2つを同時に下げるのですね」
 愛原:「あー、何かアクション映画辺りでそういうの出て来るかなぁ……?」

 高橋と佐藤君はそれぞれのレバーの前に立った。

 高橋:「俺と佐藤で動かしますので、先生はエレベーターのボタンを押してください」
 愛原:「ああ。分かった」

 私はエレベーターの前に立った。

 高橋:「よし、行くぞ」
 佐藤:「うっス!」

 2人は同時にガチャンとレバーを下げた。
 すると!

 高橋:「うっ!?」
 佐藤:「わあっ!?」

 ガコンと2人が立っている床が突然開いた。
 それこそ、東京拘置所の死刑台の床のように!

 愛原:「高橋!佐藤君!?」

 私は穴の中を覗き込んだ。
 穴の中は暗闇の奈落の底。
 そして、私も飛び込もうとした時、穴が塞がってしまった。

 愛原:「も、もしかして、これって……!?」

 私はエレベーターを見た。
 すると、エレベーターの針が動いているのが分かった。
 そ、そうか、そういうことか。
 このレバー、1つは本当にエレベーターの起動用で、もう1つは罠だったのか。
 エレベーターのドアが開く。
 照明は電球が1個だけ。
 私は乗る前に、もうちょっとちゃんとした武器が無いか探しに行こうと思った。
 高橋達のことは、もちろん心配だ。
 だが助けに行くのなら、もうちょっと……せめて刃物くらいは持って行った方が良いのではと思ったのだ。
 私は今一度階段を上がった。
 教室には古い机や椅子なんかも置いてあったから、もしかしたら何かあるかもしれない。

 愛原:「うっ!?」

 1階の廊下を歩いていた私を、外から強い光で照らされた。

 警察官A:「やっぱり人がいる!」
 警察官B:「本当か!?」

 それは警察官2人だった。

 警察官B:「ちょっとそこの人!」

 助かった!
 私は急いで警察官の所に走った。
 警察官達とは、割れた窓ガラス越しに話すことになる。
 1人は20代の若い警察官で、階級章を見ると巡査になっていた。
 もう1人は30代の警察官で、そちらは巡査部長であるようだ。

 愛原:「助けてください!大変なことになってるんです!」
 巡査:「ええっ!?」
 巡査部長:「まあ、ちょっと落ち着いて。私達は若者達が騒いでいるという通報があって駆け付けたものです。見たところ……あなたはこの辺りの若者ではなさそうですが……」
 愛原:「そりゃそうでしょ!私は東京から来たんだから!そんなことより、私の助手と仲間が罠にはまって大変なことになったんです!早く助けてください!」
 巡査部長:「いや、あのね!ここがどこだか分かってんの?廃校になった学校で、立入禁止なんだよ!罠だか何だか知らないが、あなたを建造物侵入の現行犯で逮捕することになるよ?」
 愛原:「外にはゾンビ達がいたはずだぞ!?そいつらはどうした!?」
 巡査:「先輩……」
 巡査部長:「うーむ……」

 どうやら警察官2人は、私を頭のおかしい人間と見たようだ。
 何だ、この2人は?
 ゾンビ達を倒して、助けに来てくれたんじゃないのか?
 とうも、校門の外にいたゾンビ達とは会っていない感じだ。

 巡査部長:「とにかく、詳しい話を聞くから学校の外に出て来てくれ」
 愛原:「分かったよ」

 こんなことしてる場合じゃないというのに……。
 私は渋々昇降口へ向かった。
 もしも外にいたはずのゾンビ達がいないというのなら、脱出するのは今だな……。
 いや、待て。
 そのゾンビ達は一体、どこに行ったんだ?
 私がそんなことを考えていると、フッと昇降口の姿見に何かが映った。
 それは、『仮面の少女』。
 私の背後にいた。
 だが、振り向くと誰もいない。
 もう1度鏡を見ると、もうその姿は消えていた。

 巡査:「早く開けてください!」
 巡査部長:「おい、何をしてる!?」

 昇降口のドアをあの警察官達がどんどん叩いている。
 あれ?鍵なんか掛けたっけか?
 あー、そうか。
 もしかしたら、ゾンビの侵入を阻止する為に掛けたかもしれないなぁ……。
 いや、よく覚えてないけど。
 私は内鍵を開けた。
 と、同時に開けて入って来る警察官達。

 愛原:「早くここから逃げましょう!」
 巡査部長:「その前にこんな時間に何をしていたのか説明しろ!」
 愛原:「言ったって信じるわけないでしょ、どうせ……」
 巡査部長:「いいから正直に話すんだ!」

 私と巡査部長が押し問答をしている時だった。

 巡査:「先輩!」

 若い巡査が叫び声を上げた。
 何が起きたと思う?

 1:ゾンビの集団が襲って来た。
 2:仮面の少女が襲って来た。
 3:全く別のクリーチャーが襲って来た。
 4:BSAAが現れた。
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