報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「マルチタイプ激突」 2

2018-07-07 21:45:10 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月24日12:30.天候:曇 東京都江東区豊洲 豊洲アルカディアビル上空]

 パイロット:「まもなく豊洲アルカディアビル上空です」
 鳥柴:「了解。ビルの管理センター(防災センター)には着陸の許可を申請しておいたから、このまま着陸してください」
 パイロット:「了解!」

 DCJのヘリコプターで乗り付けたDCJ成田営業所の鳥柴。
 パイロットは豊洲アルカディアビルの屋上のヘリポートにヘリを着陸させようとした。

 ???:「待ってください!」

 その時、後ろに座る者がそれを制止した。

 ???:「あれを!」
 鳥柴:「なっ!?」

 ビルの屋上には黒いロボットが10体ほど集結していて、上空に銃口を向けていた。

 ???:「あれも見てください!」
 鳥柴:「ビルが危ない!」

 黒いロボット達は、閉鎖された正面エントランスをこじ開けて侵入しようともしていた。

 ???:「お任せを!」

 鳥柴:「ちょ、ちょっと!」

 鳥柴の後ろに座っていた女は、ヘリからRデコイを放り投げた。
 10機ほど集まっていた黒いロボット達は、その特殊な光と信号に吸い寄せられてしまう。
 そして、そのデコイに群がった瞬間、それが爆発した。

 鳥柴:「あんまり使ったら、ビルがメチャクチャになるよ!?」
 ???:「分かってます!あとは……」

 更に女は地上に向けてもデコイを投下した。
 エントランスをこじ開けようとしていたロボット達も、それに吸い寄せられ、そして爆発に巻き込まれて大破した。

 ???:「あとの掃除は私にお任せください」
 鳥柴:「大丈夫なの?」
 ???:「大丈夫です。ハウスメイドの仕事をこなすのも、マルチタイプの使命です」
 鳥柴:「ロボットの掃除を?」
 ???:「はい、お任せください」
 鳥柴:「分かった。じゃあ、お願いするわ」
 ???:「かしこまりました」

 マルチタイプを自称する女は、先にビルの中へと入って行った。

 鳥柴:「私は後から行くわ。あなたはここで待ってて」
 パイロット:「了解しました。ただ、主任……」
 鳥柴:「なに?」
 パイロット:「いいんですか?まだ、敷島社長には彼女のことを紹介していないのに、先に行かせるというのは……」
 鳥柴:「そ、それもそうね!」

 鳥柴も急いで後を追った。

[同日同時刻 天候:雨 埼玉県さいたま市西区 DCJロボット未来科学館]

 シンディ:「でやぁーっ!」

 シンディはデイジーと組み付いた。

 デイジー:「はーっ!」

 ほぼ互角である。
 だが、それがおかしい。
 本来、デイジーはマルタイプの規格でありながら、用途はメイドロイドとして設計されたものだ。
 戦闘力は殆ど削ぎ落されているはずだが……。

 シンディ:「どこで改造されたの!?」
 デイジー:「アリス博士を出してくれたら、引き換えに教えてあげても構わないわ」
 シンディ:「……壊れてもお断わりだね」

 人間なら、『死んでもお断わり』なのだが、そこはロイドなので。

 デイジー:「じゃ壊れて」
 シンディ:「やだ」

 再び殴り合いのケンカ。

 アルエット:「ちょ……お姉ちゃ……?」

 せっかくバージョン400に乗って戦闘準備をしたアルエットだが、姉機達(デイジーは厳密に言えば従妹に当たる)のガチンコ勝負に参戦できないでいた。

 シンディ:「アル!ボサッとしてないで、職員さん達を避難させて!」
 アルエット:「は、はい!」
 マリオ:「避難ナラ!」
 ルイージ:「完了シマシタ!」
 アルエット:「おおっ!」

 バージョン5.0の兄弟機が敬礼しながらやってきた。
 と、そこへ黒いロボットが地面から現れる。

 アルエット:「うわっ、出た!」

 アルエットは400を使って、黒いロボットの群れにガトリング砲を発射した。
 確かに戦闘ロボットとしての用途で、科学館に展示されているものではあるが、まさか本当に実弾装備とは……。
 もちろん、ガトリング砲相手ではザコである黒いロボットは簡単に壊れてしまう。

 アルエット:「シンディお姉ちゃんが戦いに集中できるように、ザコは駆逐するよ!」
 マリオ:「アラホラサッサー!」
 ルイージ:「ホラサッサ!」

[同日12:45.天候:曇 東京都江東区豊洲 豊洲アルカディアビル18F 敷島エージェンシー]

 敷島:「いいか!?ここから絶対に出ちゃ行かんぞ!」
 初音ミク:「わ、分かりました!」
 巡音ルカ:「社長も避難なさってください。狙われてるのは社長なんでしょう?」
 鏡音リン:「そうだよ!リン達だけ置いて行っちゃ嫌!」
 敷島:「俺は大丈夫だ。俺は不死身の……」

 ガッシャーン!

 敷島:「!?」

 何と、黒いロボットは壁もよじ登ることができるようだ。
 それで登って来た黒いロボットが、窓ガラスを割って侵入してきた。

 リン:「きゃあああああっ!!」
 ルカ:「エミリーは!?エミリーはいないんですか!?」
 敷島:「エミリーは防災センターの防衛に行ってしまっている……!」
 黒いロボット:「ざびぃ……!」

 黒いロボットは敷島に焦点を合わせると、ギラリと双眼を光らせた。
 そして、右手のマシンガンを向ける。
 ガチャン!と、マシンガンがリロードされる音が響いた。

 敷島:「く、くそっ……!テロロボットが怖くて、『もう1つの仕事』できるかーっ!」

 敷島は意を決して、黒いロボットに向かおうとした。

 黒いロボット:「ざびびびびびびび!」

 しかしその直後、敷島達に銃口を向けていた黒いロボットが突然、断末魔を上げた。
 直後、機体から黒い煙がプスプスと出ている。
 それがガシャンと倒れた。

 敷島:「?」
 ???:「全く。何をトチ狂っておられるのかしら?」

 黒いロボットの後ろには、左手を突き出し、そこから火花を散らしている女がいた。
 停電して薄暗くなった事務所内。
 ようやく非常灯の明かりの下までやってきたその女の顔を見た敷島は、驚愕と絶望が入り混じったのだった。

 敷島:「お、お前は!……な、何でだ!?お前は壊れたはずだろうがーっ!?」

 敷島が驚くのも無理は無かった。
 そこにいたのは……次回に続く!
コメント
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