報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「2人いる……!」

2018-07-20 18:58:06 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月10日02:30.天候:晴 廃校地下の秘密研究施設]

 私の名前は愛原学。
 都内で私立探偵をやっている。
 ……のだが、またもやバイオテロのようなものに関わることとなってしまった。
 まるで大病院の病棟のような佇まいの地下研究施設。
 廊下には非常灯の明かりしか点いていない中で、1つだけ明かりの漏れている部屋があった。
 物音はしないが、中に誰かがいるかもしれない。
 私はエレベーターの中で手に入れた銃を構え、そーっとドアに近づいた。
 すると、どうだ。
 中から話し声が聞こえるではないか!
 よく耳を澄ましてみると、それは少女達の話し声のようだった。
 少女……達!?

 少女A:「……いつまでも夢見てんじゃないの!どうせこの先も……私達は化け物扱いされるだけなんだから!」
 少女B:「そんなことない!きっと……が迎えに来てくれる!」
 少女A:「そうやって、いつまでも夢見てればいいよ!」
 少女B:「どこ行くの!?」
 少女A:「取りあえず、あいつら殺してくる!」
 少女B:「ちょっと待って!……は殺さないで!」

 バンッ!(ドアが思いっ切り開けられる)

 愛原:Σ(゚Д゚)

 いきなりドアが開いたので、私は硬直した。
 ドアは外側に開くタイプであり、私はそのドアの陰に隠れた。
 少女は私が隠れた反対側の方に走って行った。
 薄暗くてよく見えないが、紺色のブレザーのようなものを着ていた。
 エレベーターの鏡で見たコかな。
 い、いや、それより……!

 少女B:「あのバカ……!」

 私が少女Aを追おうとすると、中から憤慨した様子の少女Bが出て来た。
 今度は隠れられず、私はついお地蔵さんのポーズを取って壁際に立った。

 少女B:「あいつが絶対間違ってるんだから……!」

 少女Bは私に気づかず、そのまま廊下の向こうに歩いて行……

 少女B:「おい!」

 ……くわけなかった!
 少女Bは白い仮面を着けていて、両目から鋭い眼光がギラリと光った。
 右手を振り上げると、その手がまるでタイラントの腕のように変形した。
 これで私を引き裂く気か!

 愛原:「くそっ!」

 私は銃を構えた。
 銃声が施設内に響く。

 愛原:「んっ!?」
 少女B:「!?」

 撃ったのは私ではない。
 もちろん、少女Bに当たったわけでもなかった。
 どこか、他の場所から銃声が響いたのだ。

 愛原:「誰だ!?どこから聞こえて来た!?」
 少女B:「その声は……!?」

 すると、少女の右腕が元の人間のそれと同じ形に戻った。
 鋭く光っていた眼光も消える。

 少女B:「愛原先生!愛原先生ですね!?」

 その声は紛れも無く、霧生市のバイオハザードでアンブレラの研究所から一緒に逃げた被験者の少女だった。

 愛原:「キミは霧生市の時の……!『トイレの花子さん』?それとも、『日本人版リサ・トレヴァー』と呼べばいいのかな?」
 少女B:「好きなように呼んでくれていいよ。どうせ私も、『2番』って呼ばれてただけだから」
 愛原:「2番!?」

 本当に実験体扱いだなぁ……と、それより!

 愛原:「さっきのコは何なんだ!?キミとは色違いの仮面を着けていたけども……!」
 少女B:「あのコは『4番』!だけど、私に成り済まして、先生達の船を沈めた悪いコだよ!」
 愛原:「何だって!?じゃあ、高橋君が追っていた『クソガキ』ってのは、キミとは違ったのか!?」
 少女B:「船のことは聞いたけど、あの時はまだ私は(政府関係の)研究所にいたんだから違うよ!」
 愛原:「マジか!」
 少女B:「もしかして、先生の知り合いもここにいるの?」
 愛原:「そうなんだ。上からエレベーターを動かそうとしたら、トラップに引っ掛かってね」
 少女B:「大変!あいつ、殺そうとしてるよ!」
 愛原:「な、なにっ!?」

 すると、また銃声が聞こえて来た。
 高橋君がどこかで銃を拾って、それで戦っているのだろうか。

 愛原:「助けに行かなきゃ!場所は分かるのかい!?」
 少女B:「こっちだよ!」

 私達は走った。
 そして、ある部屋の前に着く。
 ここはさっき鍵が掛かっていた部屋だ。
 やっぱり、ここにいたんだ!

 愛原:「でも、ここは鍵が掛かってるよ!」
 少女B:「大丈夫大丈夫!」

 少女が手をかざすと、ガチャと鍵が開いた。
 何だ、生体認証になっていたのか。

 愛原:「高橋君、大丈夫か!?」

 私が中に飛び込むと、そこには……。

 少女B:「あー……!」

 先ほど私に見せたように、少女Bも元は人間だった者が改造されたクリーチャーである。
 その彼女が驚く事態になっていた。

 少女A:「くっ……くはっ……!」

 高橋君も手足に擦り傷は追っているものの、軽傷の部類に入る。
 重傷なのは、少女Aの方。
 銃弾が当たったのか、仮面が破損していた。

 少女B:「だから言ったのに!このバカ!」
 少女A:「バカ……!?くっ……!皆そうだわ……!私のこと……寄ったかってイジめて……!だから、死のうとしたのに……!」

 少女は仮面を取った。
 その下はごく普通のかわいらしい中学生くらいのコであったが、見る見るうちに体全体が変化していった。

 高橋:「先生!御無事だったんですね!?」
 愛原:「高橋君こそ!それより早く逃げよう!何だかヤバそうだ!」
 高橋:「でもコイツ……!」
 愛原:「いいから!」

 見ると部屋の片隅には、無残な死体となっている佐藤君がいた。

 少女B:「こっちです!こっちから逃げられます!」
 高橋:「うわっ!もう一人いた!」
 愛原:「高橋君、こっちは潔白だ!船を沈めたのは、あいつだ!」
 高橋:「何ですって!?」

 私達は部屋を飛び出した。
 大きな化け物と変化した少女Aは……。

 少女A:「逃がさなぁぁぁぁぁい……!!」

 まるでタイラントのような姿になって、私達を追って来た。

 ゾンビA:「アァア……!」
 ゾンビB:「ウゥウ……!」

 どこに隠れていたのか、研究施設の研究員や被験者と思しき者達のゾンビが現れたが、そんなのに構っている場合ではない。

 少女A:「邪魔だァァァァァッ!!」

 長くて太い腕、そして鋭く伸びた爪で徘徊しているゾンビを引き裂く……というよりは薙ぎ払う少女A。

 愛原:「リサ!まだなのか!?」
 少女B:「もうすぐです!」

 私はついリサと呼んでしまった。
 こっちの方が呼びやすい。

 少女A:「裏切り者の2番!オマエも殺す!!」

 少女B改め、日本人版リサ・トレヴァーは別のエレベーターの所へ私達を連れて来た。

 リサ:「これで上に戻れます!」
 愛原:「よし!」

 私はボタンを押した。

 愛原:「てか、エレベーターが来る前に追いつかれるぞ!」
 高橋:「くそっ!……あっ!」

 その時、高橋が何かに気づいた。
 廊下に落ちているガスボンベだ。

 高橋:「先生、これで時間が稼げそうですよ!」
 愛原:「ま、まさか……!」
 高橋:「そのまさかです!」
 少女A:「殺すぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

 高橋はガスボンベを転がした。
 と、同時にエレベーターのドアが開く。

 高橋:「テメェが死にやがれーっ!」

 高橋はガスボンベに向かって、3発ほど発砲した。
 そして、大きな爆発音が響き渡る。

 少女A:「ぎゃああああああああ!!!」

 化け物と化した少女Aは、ガスボンベの爆発をもろに受けた。

 高橋:「これでOKです!」
 愛原:「早く行こう!」

 私は高橋をエレベーターに乗せると、すぐにドアを閉めた。
 エレベーターが上に向かって動きだす。
 これで本当に終わったのだろうか?
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“私立探偵 愛原学” 「地下研究施設へ」

2018-07-20 10:12:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月10日02:00.天候:晴 宮城県仙台市太白区郊外 廃校舎]

 私が警察官達と押し問答をしている最中、若い巡査が後ろから何者かに襲われた。

 ゾンビA:「アァァ……!」
 ゾンビB:「ウゥウ……!」
 ゾンビC:「ガァァァァッ!!」

 それはあの校門の外にいたゾンビ達だった。
 一人増えているのはアレだ。
 確か千葉君と言って、ゾンビ化したケン君とやらに噛み殺されたコだ。
 彼もゾンビ化してしまったか……。

 巡査部長:「止まれ!止まらんと撃つぞ!!」
 愛原:「いいから撃て!!」

 私は叫んだが、やはり日本の警察官じゃダメだ。
 バイオハザードの本国、アメリカの警察官だって、ただの巡査じゃやっぱりゾンビに叶わなかったのだから。

 巡査部長:「ぎゃあああああっ!!」

 巡査部長は飛び掛かって来たゾンビに向かって一発発砲した。
 それはゾンビに当たったことは当たったのだが、もちろん一発だけで怯むゾンビではない。
 巡査はもちろんのこと、その先輩である巡査部長もゾンビの餌となった。
 冷たいようだが、今のうちだ。
 霧生市のバイオハザードの時、ゾンビに食い殺された者は見捨てないと自分も食い殺されるというのが大きな教訓だ。
 武器でも無い限りは……。

 愛原:「これであの警察官達もゾンビ化するわけか……」

 頭も食い潰されていれば、そうはならずに済むのだがな……。
 ゾンビ達は私に気づいたらしく、呻き声を上げて向かって来た。
 だが、足も腐っている為か、走る私には追い付けない。
 私は再び地下への階段に下りる鉄扉を開け、そして内側から鍵を掛けた。
 これで奴らは追って来れない。
 そして階段を下りて、起動したエレベーターのボタンを押した。

 愛原:「ん?」

 その時、私は何かに気づいた。
 高橋が罠にはまって落ちた場所に、何かが落ちていた。
 ライトで照らしてみると、それは折り畳みナイフ。
 高橋の物ではなさそうなので、これは一緒に落ちた佐藤君の物か。
 よし、取りあえず刃物は持って行った方が良さそうだ。
 私は早速それを借りることにした。
 そして、エレベーターに乗り込む。
 籠の中も古めかしい造りになっていたが、これはやはりアンブレラが、ここに元からあったかのように見せる為に、わざと古いデザインで造ったのかもしれない。
 私は地下3階のボタンを押してドアを閉めた。
 ドアが閉まろうとした際、上から鉄扉をドンドン叩く音がしたが、当然あいつらは私を餌にはできなかったというわけだ。

 愛原:「いざ、地獄の底へ……」

 エレベーターはゆっくりと下降していく。
 背後の壁には姿見ほどではないが、比較的大きめの鏡が設置されている。

 愛原:「う……!」

 そこには、あの仮面の少女が映っていた。
 だが、少し様子が違う。
 昇降口で見たのは、霧生市から一緒に脱出したコのように見えたが、この鏡に映るのは……。
 あ、そうか。
 仮面は同じだか、着ている服が違う。
 そう思った時、チーンとベルが鳴った。
 地下3階に到着したのだ。
 それと同時に、鏡に映っていた少女も消えた。
 私はナイフを構えた。
 ドアが開くと同時に、ゾンビがなだれ込んで来たら……ナイフと鉄パイプじゃ叶うわけないじゃん!
 だが、いつまで経ってもドアが開かない。
 もしかして、故障か!?

〔パスコードを入力してください〕

 そういうアナウンスが流れて、パカッと操作盤のパネルが開いた。
 中にはテンキーが入っている。

 愛原:「ぱ、パスコードだって!?」

 そんなもの分かるわけないじゃないか!

 愛原:「え、えーと……」

 私は適当に押してみることにした。

 愛原:「2424188『西に良いパパ』とか?」

 ガコンと、向かって左側のパネルが開いた。

〔認証できました。それではまず武器をお取りください〕

 そこから出て来たのはハンドガン。

 愛原:「何で!?」

 霧生市のバイオハザードで使っていたものとタイプは似ている。
 どうやら弾もちゃんと入っている。

〔第二認証コードを入力してください〕

 まだあんの!?
 えーと、それじゃ今度は……。

 愛原:「0222422222『仙台022〜♪242の♪2222〜♪日本文化センター♪』かな?」

〔認証できました。開くドアにご注意ください〕

 何でやねん!?
 てか、これ『東京03〜♪3200♪2222〜♪日本文化センター♪』でも開いたんじゃねーの!?

 愛原:「ま、まあいいや」

 私は咳払いをして銃を構えた。
 ドアが開く。
 だが、ゾンビなどがなだれ込んでくることは無かった。

 愛原:「なるほど。確かに研究施設っぽいな」

 研究施設というよりは、病院のような感じだ。
 真っ暗な夜の病院。
 所々、非常灯の明かりなどが点いているだけ。
 あー、これはアレだ。
 今のエレベーターといい、非常灯だけとはいえ照明が点いているということは、まだある程度の電力は生きているということ。
 つまり、だ。

 この研究施設はまだ生きている!

 愛原:「とにかく、高橋君達を捜そう」

 私はライトを点灯させると、通路を進んだ。
 エレベーターがそこにあるということは、高橋君達が落ちた罠の位置からして、彼らが落ちたのは……あの部屋が怪しいな。
 佇まい的には、病院の外来診察室の入口っぽいんだが……。
 だが、当然ながら引き戸のドアには鍵が掛かっていた。

 愛原:「やっぱりか。どこかで鍵を探さないとな……」

 それにしても静かだ。
 人の気配など全く無いし、機械の音がするわけでもない。
 まるで、昨日廃止された病院の中を探索するかのようだ。

 愛原:「鍵のある場所と言ったら……それこそ、警備室みたいな部屋がありそうだが……」

 私は廊下を曲がった。

 愛原:「!?」

 すると、電気の点いている部屋があった。
 あそこに誰かいるのか?
 何か物音だとか、人の話し声だとか、そういうのは聞こえないが……。
 私は行ってみることにした。
 また、さっきみたいにトイレがあったりしてな。
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