報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「マルチタイプ激突」

2018-07-06 19:14:30 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月24日12:00.天候:曇 東京都江東区豊洲]

 大惨事となっている豊洲地区の上空に1機のヘリが飛来した。
 それはマスコミのヘリではなく、機体にはDCJと書かれている。

 鳥柴:「な、何てこと……!敷島社長は大丈夫なの?」

 すると鳥柴の後ろに座っている、ある者は頷いた。

 ???:「大丈夫でしょう。あれを御覧ください。エミリーが夢中で戦っておりますでしょう?御無事であるからに、他なりませんわ」
 鳥柴:「だといいんだけど……」

 鳥柴は横に乗っているパイロットに言った。

 鳥柴:「取りあえず、エミリーをピックアップして敷島エージェンシーさんに向かいましょう。あのビルなら、ヘリポートがあるはずです」
 パイロット:「了解しました」
 ???:「いや、今着陸するのは危険ですよ」

 後ろに座っている者の言う通りだった。
 まだ倒しきれていない黒いロボットが、DCJのヘリを見て発砲してきたのだ。

 パイロット:「うわっ!」
 鳥柴:「きゃっ!」

 幸い、ヘリが操縦不能になるほどの大きなダメージは受けなかったが、確かに危険であることを知った。

 ???:「いくら鬼のように強いお姉様でも、多勢に無勢でしょう。幸い避難が完了したか、あるいは死屍累々の死体だけとなっているようですので、私も援護しましょう」
 鳥柴:「接触はダメよ。まずは敷島社長に、あなたを会わせることから始める計画なんだから」
 ???:「大丈夫です。ここからでも十分ですわ」

 口調からもうお分かりのように、それは女である。
 女はヘリのドアを開けると、そこからRデコイをいくつも投下した。
 エミリーに群がろうとした黒いロボット達は、何個も投下されたデコイに引き寄せられ、爆発に巻き込まれて次々とバラバラになっていく。

 ???:「じゃあね、お姉様?後でお会いしましょうね」

 ヘリがららぽーとから離脱して行く。

 エミリー:「あ、あれは……!?あれは、あの時の未確認……!」

 エミリーはDCJのヘリだと認識できたが、そこにDCJ成田営業所から発せられた未確認のロイドも搭載されていた。

 エミリー:「成田営業所とは未だに連絡が取れないというし、もしかして……!?」

 エミリーは未確認IDのロイドが悪いヤツで、DCJ成田営業所の人間を人質にヘリで飛んでいると予想した。

 ヘリが向かっている先は豊洲アルカディアビル。
 敷島エージェンシーの入居しているビルだ。

 エミリー:「急がなきゃ!」

 エミリーはブースターを使い、急いで事務所に向かった。

[同日同時刻 天候:雨 埼玉県さいたま市西区 DCJロボット未来科学館]

 ここも爆弾テロの被害を受けた以上は、臨時に休館するしか無かった。
 日曜日と言えども、警察が規制線を張って関係者以外の出入りを制限している。

 シンディ:「マスター、大変です!姉さんが黒いロボット達と交戦中です!」

 アリスが研究室にいたところ、シンディが血相を変えて飛び込んで来た。

 アリス:「何ですって!?場所は!?」
 シンディ:「敷島エージェンシーの近くです!姉さんの『目』とリンクします」

 シンディが近くの白い壁に、エミリーの目線を投影する。
 ちょうどエミリーは、敷島エージェンシーのビルに入って行くところだった。

 アリス:「どうやら無事のようね」
 シンディ:「姉さんは頑丈ですから」
 アリス:「あなたもね。タカオの会社の近くで、エミリーが黒いロボット達と交戦したということは……」
 シンディ:「テロリスト達は、今度は社長に狙いを定めたということになります」
 アリス:「タカオの立場なら、しょうがないことだとは思うわ。でもね……」
 シンディ:「もし御命令頂ければ、すぐに私も向かいます」
 アリス:「そうね。今更もうここは狙わないだろうし……」

 チュドーン!

 アリス:「What!?」

 爆発音がしたと同時に、館内にアラームが鳴り響く。

 アリス:「な、何事!?」

 シンディはすぐに館内の監視カメラとリンクを繋いだ。

 シンディ:「ああっ!?」

 シンディの目に映ったのは……。

 アリス:「なに、どうしたの!?」
 シンディ:「デイジーです!デイジーがここに来ました!」
 アリス:「何ですって!?」
 シンディ:「マスターはシェルターに避難してください!ここは私が……」
 アリス:「分かったわ。シンディ、よろしく頼むわ」
 シンディ:「お任せください!」

 シンディは急いで研究室を飛び出し、デイジーがやってきた方向へ向かった。

 アルエット:「博士はお忙しいんです!今、お会いできません!」

 行ってみると、何とアルエットが対応していた。

 デイジー:「あら、そう?でも、こっちも忙しいのよね。何とか呼んで来てもらえないかしら?さもないと……」

 デイジーは右手をライフルに変形させると、あさっての方向に発砲した。

 職員:「ぎゃああああっ!」

 あさっての方向にいたのは、立ちすくんでいた職員。
 胸をライフル弾が貫通した。

 デイジー:「あらあら。たまたま当たっちゃったわね。早く呼んでもらわないと、次は誰に当たるのかなー?」
 アルエット:「そ、そんな……!」
 シンディ:「きさま、いい加減にしろ!!」

 シンディが飛び膝蹴りをしたが、それをデイジーはサッと交わした。

 デイジー:「あらあら。乱暴者のお姉様が来ましたね」
 シンディ:「だまらっしゃい!マスターを殺しに来たのね!その前に私がキサマをバラバラにする!」

 デイジーは呆れたように溜め息を吐いた。
 そして……。

 デイジー:「旧型のオンボロイドお姉様、最新型の妹である私が解体してあげますわ!」
 シンディ:「抜かせ!」

 旧型とはいえ未だに兵器としても通用するシンディ、それの劣化版とはいえ不法に強化改造されたデイジー。
 ガチンコ勝負の火ぶたがここに切って落とされた。

 アルエット:「私も戦います!」
 シンディ:「あんたは無理よ!」
 アルエット:「これでも7号機に止めを刺したことがあるんだよ!」
 シンディ:「いや、知ってるけどさ!」
 デイジー:「私と同じマルチタイプ派生機のコ、戦闘力が無いなら奥で引っ込んでな。同じロイドまで壊そうとは思わないから」
 アルエット:「シンディお姉ちゃんは壊そうとしてるじゃん!」

 そう言いつつ、アルエットは本当に館内へと走り去って行った。
 もちろん、逃げたのではなく……。

 アルエット:「バージョン400召喚!!」

 戦闘力が無いのなら、戦闘力のあるロボットを操作して戦おうとした。
 バージョン400とはバージョン4.0を巨大化したようなデザインのロボットだ。
 もちろん自動運転可能ではあるが、頭部にはコックピットがあり、そこに乗り込んで手動操作もできる。
 今はアルエットのみ認証して、手動運転できる仕様になっていた。

 アルエット:「いっくよー!」

 果たして、これでどこまで行けるのだろうか?
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“戦う社長の物語” 「ロボットテロ、再び」

2018-07-06 10:12:40 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月24日11:08.天候:曇 東京都千代田区 JR東京駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。東海道新幹線、東海道本線、中央線、山手線、京浜東北線、横須賀線、総武快速線、京葉線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 敷島は上野で降りることはせず、そのまま終点の東京まで乗って行くことにした。
 やはり、会社に向かうべきだと思ったのである。
 秋葉原で地上に出る列車。
 車窓から外が眺められるのだが、そこから爆弾テロの現場となった第2新東京ビルが見えるはずだ。
 新幹線から見る限りでは、特にビル自体に何か大きなダメージが与えられたようには見えなかった。
 もちろん、地下階は大きな被害を受けたはずで、しかもビルの心臓部である防災センターが破壊されたとあらば、ビルとしての運営は成り立たなくなるであろう。
 そこを狙ったテロなのかもしれない。
 つまりは……。

 敷島:「DCJに何か恨みでもあるのか?」
 エミリー:「デイジーは造られた後、しばらく放置された上、転売されたことを恨んでいたようです」
 敷島:「あの老害ジジィのせいだぞ、全く」
 エミリー:「まあまあ」

 敷島の祖父(直系の祖父ではない)で四季グループの最高顧問、敷島孝之亟。
 シンディをいたく気に入り、自分専用のマルチタイプを造らせた。
 敷島はどうせ老い先短いのだからと、シンディをレンタルで出向させる案を提示したが……。

 敷島:「『嫌じゃ嫌じゃ!わしは新品がいいのぢゃ!』と、駄々こねやがって……!」
 エミリー:「まあまあ」

 列車がホームに進入した。

 エミリー:「とにかく参りましょう。テロのせいで、ボーカロイド達も不安になっています」
 敷島:「皆、集まってるのかな?」
 エミリー:「MEIKOとKAITOは関西地方でライブなどがあります」
 敷島:「関西か……。むしろ、そっちの方が安全かな?」
 エミリー:「いえ、やっぱり、事務所に避難させるべきでしょう」
 敷島:「それもそうだな……」

 敷島達は列車を降りると、足早に駅の出口へ向かった。
 もちろん、この間もエミリーの護衛に穴は無い。
 八重洲中央口から外に出ると、すぐにタクシー乗り場に向かい、そこからタクシーに乗った。

[同日11:35.天候:曇 東京都江東区豊洲]

 タクシーが豊洲地区に入る。
 ここは道が広い。

 敷島:「……おう、KAITOか。今、新幹線に乗るところか?いや、申し訳無いな。せっかくの地方遠征なのに。何しろ、状況が状況だからさ」

 ららぽーと豊洲が右手に見えて来る。

 エミリー:「……!」

 その時、1台の2トントラックがタクシーの前に入ってきた。
 スキャンしてみると、トラックのコンテナの中には……。

 エミリー:「黒いロボット!」

 エミリーがそう言った直後、コンテナの扉がバンと開けられ、そこから武装した黒いロボットがマシンガンを放って来た。

 エミリー:「社長!!」

 エミリーは弾雨の中、敷島に覆い被さった。

 運転手:「ぎゃああああっ!!」

 敷島はエミリーが庇ってくれたおかげで被弾しなかったが、運転手は蜂の巣になってしまった。
 制御を失ったタクシーは、バス停に停車していた都営バスに激しく追突!

 エミリー:「社長、大丈夫ですか!?」
 敷島:「ああ、何とか……。くそっ!やっぱり俺達を狙ってたのか!?」
 エミリー:「すぐに脱出します!」

 エミリーは敷島を抱えて、歪んだドアをこじ開けた。
 そして車の外に出ると同時に、車が爆発した。

 敷島:「な、何たるちゃあ……!」
 エミリー:「!? 危ない!」

 すると例のトラックがUターンしてきたのか、今度は反対車線を走って来て、またもや銃口をこちらに向けていた。

 敷島:「黒いロボットか!?あいつら、どこで武器を調達した!?」
 エミリー:「捕まえて尋問します!」

 黒いロボット達が一通りマシンガンを発砲すると、エミリーは左手の有線ロケットアームを飛ばした。
 それで信号機のアームを掴んで、自分の体を引き寄せ、くるっと回転してトラックの前に回り込んだ。

 敷島:「エミリーの奴、いつの間に左手をフックショットみたいに使うようになったんだー?……って、うっ!」

 周りを見ると、銃撃に巻き込まれた一般市民の死屍累々とした光景が……。

 敷島:「久しぶりにやってくれるなぁ!ええ、おい!」

 敷島はスマホを取り出した。

 敷島:「一海!俺だ!絶対に、外に出るんじゃないぞ!?今、豊洲地区が大変なことになってる!ボカロ達は居住区に避難させろ!俺もそっちへ行く!」

 敷島が電話をしながら、事務所に入っているビルへ走って行く。

 敷島:「今、俺もそっちへ向かっている所だから!」

 その後で今度は鷲田警視。
 と!

 敷島:「うわっ!?」

 敷島に向かって発砲してくる者がいた。
 黒いロボットだった。

 敷島:「他にもいたのか!」
 黒いロボットA:「ざび?ざび!」
 黒いロボットB:「Ho!」
 黒いロボットC:「…………」

 黒いロボット達は手にマシンガンを持ち、敷島ににじり寄ってくる。

 敷島:「お前ら、誰の命令でこんなことやってるんだ!?」

 敷島はそう叫んだ。
 もちろん、そんなこと答えるわけがない。
 やはり、エミリーが締め上げないとダメなようだ。
 だが!

 黒いロボットA:「ざび!」

 黒いロボットの1機はタブレットを出すと、そこにデイジーの姿を映し出した。

 黒いロボットB:「ざび!ざびび!
 黒いロボットC:「Hoooooo!」

 すると他の2機は跪いて、デイジーを崇め奉る仕草をした。

 敷島:「情報ありがとうよ!」

 敷島は鞄の中から、ある物を出した。
 それはサブウェポンたるRデコイ。
 特殊な信号音と光を発する。

 黒いロボットA:「ざび!?」
 黒いロボットB:「Ho!?」
 黒いロボットC:「ざびびびび!」

 黒いロボット達はそれに釣られて、デコイに集まり出した。
 直後、それが爆発した。

 敷島:「あばよ、ポンコツ!」

 鉄塊と化したロボット達を背に、敷島は再び走り出した。

 敷島:「デイジーの奴、東京決戦の再来でもする気か!?」

 ようやく敷島は、敷島エージェンシーの入っているビルに到着した。
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