報恩坊の怪しい偽作家!

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“大魔道師の弟子” 「新富士での一夜」

2022-08-28 11:49:39 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[7月18日17:00.天候:晴 静岡県富士市 東横イン新富士駅南口]

 翌日の交通費を確保した後、駅と直結している駅ビル『ASTY新富士』に入り、そこのテナントの1つであるコーヒーショップで休憩する。

 勇太:「キップはどうする?」
 マリア:「勇太が持ってて。ちゃんと終電に間に合うんだ?」
 勇太:「何とかね」

 そんな話をしながら、駅南口のロータリーを出ると、すぐ目の前にホテルはあった。

 勇太:「これなら、新幹線がよく見えるだろう」
 マリア:「そういうことか」

 ホテルの中に入る。
 勇太は自分の会員証をフロントに出した。

 勇太:「今日から一泊で予約していた稲生です」
 フロント係:「はい、稲生様ですね」

 マリアは勇太がチェックインをしている間、辺りを見回した。

 マリア:(さすがにこういうホテルは、今のアルカディアシティには無いだろうな)

 南端村では和風の宿屋、都心の1番街~9番街であっても、ドミトリー形式の宿屋(こちらの世界で言うペンションに近い)が主流である。

 フロント係:「御記入ありがとうございます。お支払いは如何なさいますか?」
 勇太:「あ、カードで……」

 マリアはサッとイリーナのプラチナカードを渡した。
 今回はシングルを2部屋取っていたが、それでも1泊で1万円を少し超えるくらい。
 これなら、プラチナカードを持つイリーナも文句は言わないだろう。
 むしろ、『あら?もっと高いホテル、泊まっても良かったのよ?』くらい言いそうだ。

 フロント係:「ありがとうございます。それではこちら、お部屋のカードキーになります」
 勇太:「おっ、このホテルはカードキー方式なんだ」

 同じ東横インでも、オープンした時期によって普通の鍵か、カードキーかで異なる。
 この新富士駅南口店は比較的新しい店舗の為か、カードキー方式である。

 フロント係:「そちらのエレベーターで、7階へどうぞ」
 勇太:「よろしくお願いします」

 勇太はカードキーを2枚受け取った。

 マリア:「隣同士か?」
 勇太:「そう。で、ここからアメニティを持って行く」

 エレベーターホール前から、ナイトウェアやらスキンケアやら持って行く。
 尚、新聞も希望すればここから持って行ける。
 エレベーターに乗る時も、ボタンの横にあるカードリーダーにカードキーを翳さないとボタンが押せないようになっている。

 勇太:「7階ね」

 エレベーターは2基あって、マンションのエレベーターみたいにドアには防犯窓付き(最近のタワマンなどには無いらしい。防犯よりもプライバシー優先か?)。

 マリア:「少なくともエレーナのホテルよりは高級だろう」
 勇太:「そりゃ、個人経営のホテルとチェーンホテルとはではねぇ……。そもそも比較していいものなのやら……」

 7階に到着すると、エレベーターホールには貸出品としてのズボンプレッサーとVODのカード販売機がある。

 勇太:「映画観る時はこれか。どうする?」
 マリア:「映画観たい時に買えばいいと思うよ」
 勇太:「それもそうか」

 部屋は隣同士だが別々。

 勇太:「またマリアと一緒に泊まりたかったなぁ……」
 マリア:「今晩と翌朝、勤行やるでしょ?だったら、部屋の個室の方がいい」
 勇太:「魔女狩りは近づいて来ないよ?w」
 マリア:「そもそも、部屋ブチ破ってまでは襲って来ないから」

 魔女狩り隊も、まさかその中に御経を唱える仏教徒がいるとは想定していない。
 なので、勇太が1番狙われにくいという。
 厄介なのは、まだ遭遇したことは無いのだが、『無宗教系魔女狩り』。
 何でも宗教2世に多く、1世による洗脳が失敗し、更にその1世の信仰姿勢のせいで不幸な目に遭った者がそれと化しやすいという……。
 ん?山上容疑者?
 宗教全てが嫌いになっているので、勇太が仏教徒であろうが関係無く襲う。
 銃火器も使って来るので、窓やドアもブチ破って来るであろう。
 山上容疑者???

 勇太:「夕食の前に勤行をやろう」

 勇太は夕勤行の準備をし……。

 マリア:「Oh!これだ!」

 マリアはベッドにダイブ。
 スカートが捲れてパンツ丸見えになろうが関係無い。
 すると、メイド人形のミカエラが人間形態になった。

 ミカエラ:「マスター。お召し物を洗濯してきます。私服にお着替えを」
 マリア:「明日には屋敷に帰るんだから、いいんじゃない?」
 クラリス:「服にシワが出来ています。すぐに洗濯致します」
 マリア:「分かったよ」

[同日18:00.天候:晴 同市内 JR新富士駅 ASTY新富士1Fまるごと駿河湾]

 生魚はあまり得意ではない(が、出されれば食べれるほどには克服した)マリアだが、あえてこの店に入った。
 生魚だけ取り扱っているわけではないからである。

 マリア:「久しぶりに、魚が食べたくなったわけか」
 勇太:「そういうこと」

 勇太は大判ホッケ焼き定食を注文した。
 法華講員なだけに!
 一方、マリアは……。

 マリア:「おっ、ここにも牛タンある」

 と、牛タン定食を注文した。
 やはりマリアは、魚より肉の方がいいらしい。
 イギリス人は、あまり魚を食べないか?

 勇太:「あと、それとビール一杯くらい、いいかな」
 マリア:「……やっぱりこういう店は、サケとかしかないか……」

 ワインやウィスキーは平気なマリアだが、同じアルコール度数でも日本酒や焼酎は悪酔いする。
 ので、マリアも今回は勇太と同じくビールを注文した。
 今はJK制服ではなく、普通にTシャツとジーンズで来た為、特に店員から年齢確認を求められることはなかった。

 マリア:「藤谷さんには連絡した?」
 勇太:「したした。班長には“こだま”711号に乗ると、伝えておいたよ。これは10時頃に新富士駅に到着する列車だから、チェックイン近くまでゆっくりできるよ」
 マリア:「そりゃいい」

 そういうことはを話していると、先にビールと御通しが来る。
 この御通し、外国人には戸惑う習慣らしい。
 さすがに今のマリアは慣れたが。
 『実はテーブルチャージ(席代)が掛かっていて、それを支払ったことへの証として、こういう小鉢が運ばれてくる』とでも説明すれば良い。
 まあ、物は言いようだw

 勇太:「長旅も、明日までだね。お疲れ」
 マリア:「その長旅、明日もだよ。まあ、いいけど」

 2人してジョッキを合わせた。

 勇太:「乗り換えが4回くらいあるからね。身延線、中央本線、大糸線……」
 マリア:「魔界のフィールドを歩かされるよりはマシさ」
 勇太:「確かに……」

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