報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵のお仕事」 final

2020-04-22 20:45:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月5日15:00.天候:晴 東京都千代田区 秋葉原電気街近辺にあるカフェ]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 高橋と霧崎さんがラブホに入ってから2時間。
 そして、私とリサが張り込み用に入ったカフェに滞在して2時間が経過した。

 リサ:「あ、出て来た」

 リサがラブホを指さした。

 愛原:「よし!」

 私は2人に向かってデジカメのシャッターを切った。
 確かに、ラブホに入った時と比べて距離感は縮まったかのように見える。
 しかし、まだ手を繋いだりということはなかった。
 とはいうものの、どうやら高橋は霧崎さんを『女』にしてあげられたようだ。
 それは何よりだ。

 愛原:「よし、俺達も行くぞ」
 リサ:「うん!」

 私は会計を済ませると、店の外に出た。
 先に店の外に出ていたリサが、2人の行った方を指さした。

 リサ:「あっちあっち!」
 愛原:「分かった」

 さすがに家に帰るだろうかと思う。
 それとも、どこか一服してから帰るか?

 愛原:「ん?」

 しかし2人は昭和通りに出ると、そこを南下し、和泉橋を渡った。
 どうやら本当に真っ直ぐ帰るみたいで、私達は2人が都営新宿線の岩本町駅に入るのを見届けた。

 リサ:「私達も電車に乗らないの?」
 愛原:「いや、調査はここまでだ。あとは高橋よりも先に帰らないとな」

 私はリサの質問にそう答えると、昭和通りを走っていた空車のタクシーを捕まえた。

 愛原:「はい、乗って」
 リサ:「はーい」

 リサを先に乗せて、私も後から乗る。

 愛原:「菊川1丁目まで」
 運転手:「はい、菊川1丁目ですね」

 車が走り出してから、私はデジカメを取り出した。

 愛原:「しかし、よくよく考えてみたら、表向きのクライアントは絵恋さんだぞ?一番の収穫はこの2人がラブホに出入りしたところだけど、それを報告していいものかね?」
 リサ:「いいと思う」
 愛原:「そうかね?御嬢様だから、『不潔!』とか言わないかね?」
 リサ:「兄ちゃんに対しては言うかもしれないけど、メイドさんに対しては言わないと思う。むしろ、『大人の女』って感じ」
 愛原:「そうかね」

 ラブホに入る時の霧崎さんは無表情だが、出てくる時は何となく微笑を浮かべているように見える。
 高橋、『クエスト達成』……かな?
 しかし、いくら大金持ちの御嬢様とはいえ、女子中学生から多大な報酬をもらうことになるとはな。

 リサ:「先生、私も後で連れて行ってね?あのラブ……」
 愛原:「あー、分かった分かった!……それが何を意味しているのか、分かってオマエは言ってるのか?」
 リサ:「もちろん!」

 本当かなぁ?
 ゲーセンに行くような感覚だと、絶対後悔するぞ。

 リサ:「研究所でもされた『性的実験』。あれは絶対嫌だったけど、先生となら良さそう……」

 年端も行かない少女達を拉致して、絶対いかがわしい行為をしているだろうと思ったが、噂通りであったようだ。

 愛原:「もう少し大人になってからな?でないと俺が捕まるし、オマエも補導だ」
 リサ:「今は車に乗ってるから、車道にいてもいいでしょ?」
 愛原:「歩道じゃねぇ!」

[同日18:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 高橋:「先生、サーセン!遅くなりました!」
 愛原:「遅かったな?ミリタリーショップ以外に、まあ、昼飯も食っただろうが、他にどこか行ってたのか?」
 高橋:「まあ、色々と……。一応あいつを送って行ってやったんですが、その時に話し込んじゃって……」

 ん?まさかこいつら、ラブホだけでは飽き足らず……?
 まさか、な……。

 愛原:「まあいいさ。ということは、随分と仲良くなれたってことでいいのかな?」
 高橋:「まあ、そうっスね。あいつが、どう思ってるのかまでは分かりませんけど……」
 愛原:「信用できない男を家まで送らせたりはしないと思うし、話し込ませないと思う。それができたんだから、相当なもんだと思うがな?」
 高橋:「ハハハ……そうっスかね」

 そもそも、ラブホに一緒に入ったこと自体が驚きだ。
 一体、どうやって連れ込んだのか聞いてみたいところだが、それだと今回の調査がバレてしまうからなぁ……。
 見てた限り、無理やり連れ込んだわけでは無さそうだから、何かそうなるきっかけを作ったのだろう。

 愛原:「で、何を買ったんだ?」
 高橋:「その前に、夕飯作りますよ」
 愛原:「いや、その心配は無い。今日は出前を頼んだから。ピザでいいな?」
 高橋:「何か、サーセン。いいんスか?ピザって結構高い……」
 愛原:「いいよいいよ。心配すんな」

 絵恋さんから報酬もらえるからな。

 高橋:「何か俺も一緒にナイフ買うことになっちゃって……。あいつとお揃いっス」
 愛原:「これはまた、ゾンビなんかすぐ殺せそうなナイフだねぇ……」
 高橋:「何せ、真珠がハンターをピヨらせたナイフですから」
 愛原:「なるほど。弾の節約にはなるわけだ」
 高橋:「そういうことです。あとは弾薬ケースですね。ゲームとかじゃ、探索先に都合良く弾薬ケースや弾が落ちていますが、現実は違いますから」
 愛原:「霧生市の時は警察から頂戴したり、UBCSから頂戴したりしたもんな。ハンドガンは買ったのか?」
 高橋:「サーセン。やっぱいいのが無かったんで、カスタムの部品だけです」

 レーザーポインターとか、装填数を増やすヤツとか……。
 私もショットガンは持っているが、そんなにカスタムはしていないからなぁ……。

 愛原:「でも、こんなんじゃ、リサは倒せないな」
 リサ:「対戦車ロケット砲だったら、さすがに私もヤバいかも……」
 愛原:「その対戦車ロケット砲でもネメシスは死ななかったらしいが、本当にそいつの言う事を聞かせることは可能なのか?」
 リサ:「うん、大丈夫」

 リサを制御できる人間は私だけ……だよな、きっと。
 どうしてリサが私を『主人』と認識し、あわよくば『セックスしてもいい』と言うまでになったのか。
 今振り返って見ても、運くらいしか思い当たらない。

 ピンポーン♪

 愛原:「あ、ピザ来たかな。はーい」
 高橋:「あー、俺出ます。支払いは?」
 愛原:「もう既にクレカ先払いにしたから大丈夫」
 高橋:「さすが先生っス」

 高橋は玄関に向かった。
 クレカ払いでポイント貯めて、タダで旅行行けるくらいにまではなったものの……。

〔「……安倍総理は『緊急事態宣言』を出すかどうかの判断について……」〕

 私はテレビニュースを見た。
 うーん……リサからワクチンを作るという計画、上手く行くのかなぁ……?

 高橋:「先生!Lサイズ2枚とチキンとフライドポテトって、大丈夫っスか!?」
 愛原:「大丈夫大丈夫。俺は1枚のうち半分だけでいい。リサはLサイズ1枚分軽く食べるから」
 リサ:「腹八分目~」
 高橋:「食い過ぎだ、この野郎!ちったぁ先生の御財布を考えろ!」

 それでもリサが太ることはない。
 BOWの中には明らかにデブってるタイプもいるのだが、そこは体の作りの違いによるものなのだろうか。

 愛原:「まあ、いいからいいから。ビールも注文してたと思うけど?」
 高橋:「これっスね。……これは俺の分っスか?あざーす」
 リサ:「私はコーラ」
 高橋:「何でこいつ太らないんスか?」
 愛原:「BOWだからだろう」
 高橋:「しかもまだロリ体型だし。先生は巨乳女がお好みだぞ、あぁ?」
 愛原:「勝手に好みにすんなよ。ほら、それより乾杯すんぞ」
 高橋:「うっス!」

 私達は缶ビールのプルタブを開けた。
 リサはコーラのペットボトルだ。
 それで乾杯した。
 リサがロリ体型か……。
 言われてみれば、リサと最初に会ってからそんなに身長とか変わっていないような気がする。
 育ち盛りなんだから、いつの間にか身長が伸びたり、大人な体型になったりしそうなものだが……。
 まあ、そういうのも含めて上級BOW『リサ・トレヴァー』なんだろうけど……。

 愛原:「高橋。今のうちにショッピングとか楽しんで良かったかもしれないな」
 高橋:「何スか?」

 私はテレビを指さした。
 新型コロナウィルスの脅威を報道している。

 愛原:「斉藤社長の見立てでは、本当に『緊急事態宣言』が出される。そうなったら、もうミリタリーショップ辺りは営業自粛になるだろう」

 そして、ラブホも……かな?

 高橋:「なるほど。そうかもしれないっスね」

 リサから抽出したTウィルスだのGウィルスだののサンプル。
 新たなバイオハザードは引き起こさず、且つ新型コロナウィルスだけやっつけるように作るのは至難の業なのかもしれない。
 そしてそんな朗報が私達の耳に届く前、政府は本当に『緊急事態宣言』を発令することとなる。

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