報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵のお仕事?」 3

2020-04-22 15:06:43 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月5日13:00.天候:晴 東京都千代田区 秋葉原区域内]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は助手の高橋と、斉藤絵恋さん専属メイドの霧崎真珠さんが初デートをしている。
 絵恋さんに依頼され、私は2人の仲を調査すべく、正に今、『探偵の仕事』をしている。
 最近バイオハザード絡みの事件ばっかりだったから、こういう通常業務はむしろホッとする。

 リサ:「あっ、出て来た」

 助手そのものが不在の為、今はリサがそれを代行してくれている。
 本当は高野君に手伝ってもらえると良かったのだが、事務員ということもあり、土休日は基本的に休みである為。

 愛原:「よし、追うぞ」

 高橋と霧崎さんがラーメン屋から出て来た。
 因みにこの場合、今日は東京都心だからしょうがないにせよ、本来なら車を使って尾行するのが普通だ。
 それも、目立たない大衆車とか商用車ね。
 どこにいてもおかしくない車だ。
 車の中に隠れられるし、そこから撮影することもできる。
 ただ、これが車の走りにくい場所だとすれば話は別だ。
 東京都心とか、道の狭い住宅街とかね。
 事務所によっては、タクシーを貸切にしてしまうという。
 確かにタクシーならオフィス街だろうが、住宅街だろうが、繁華街だろうが、どこにいてもおかしくはないからだ。
 また、自分で運転せずに済むので、決定的瞬間のシャッターチャンスを逃がすこともない。
 どちらかというと、探偵よりかはスクープ狙いのマスコミがよく使う手だ。

 リサ:「どこに行くのかな?」
 愛原:「目的も果たしたし、もう帰るのかもしれないな?」

 私はそう思っていた。
 もしくは、また別の店に寄るか……。
 なかなかいい買い物をして、報奨金を使い果たしたかもしれない2人が、あと寄る場所というと……?

 愛原:「ん、こっちか?」

 高橋達は裏通りに入って行った。
 何だろう?
 ジャンクショップにでも行くつもりか?

 リサ:「あそこ!あそこ入って行った!」

 リサが指さした所には……。

 愛原:「マジか!?」

 そこにはラブホがあった。

 愛原:「た、確かにここに入って行ったよな?」
 リサ:「うん。ここは何のお店?」
 愛原:「ここはラブホ……あ、いや、ホテルだよ」
 リサ:「兄ちゃんとメイドさん、泊まって行くん?」

 もしくは、『御休憩』か?
 明日、お互いに仕事があるからな。
 おいおいおい、もうラブホで体を重ねる選択肢を出したのか、オマエら!?
 若いから勢いがあるのかな?
 2人とも非童貞・非少女だからかな?
 まあ、それはいい。

 愛原:「多分、『御休憩』だろう。1回、2回ヤって……あ、いや!」
 リサ:「ん?私も入ってみたい」
 愛原:「子供はダメ!」
 リサ:「えー?もうバスや電車は大人運賃……」
 愛原:「そういうことじゃない。ほら、入口の所にも書いてあるだろ?『18歳未満利用禁止』って」

 もっとも、実際に年齢確認をしているラブホは皆無に等しいから、18歳未満でも大人っぽい恰好をして行けば普通に入れるのが現状だ。
 JKの援交だって、制服姿で入るわけがない。
 個人撮影の援交動画だって、あれは入店時は普通の私服で入り、部屋で制服に着替えさせているだけのことである。

 リサ:「じゃあ、どうするの?」
 愛原:「俺1人で入るわけにもなぁ……」

 もっとも、中には最初は男が1人で入り、後でデリヘルを呼ぶというパターンもある。
 こういう時、相方が高野君だと、カップルを装って入店し、中で監視するということもできるのだが……。

 愛原:「あっ、ちょうどいいのがあった」

 私はホテルの近所にカフェがあるのを見つけた。

 マスター:「いらっしゃいませ」
 愛原:「2人で」
 マスター:「どうぞ、お好きな席にお掛けください」

 私達は通りに面したテーブル席に座った。
 ここならホテルの出入口も見えるから、いい張り込み場所だ。

 愛原:「……そうだ。ここで昼食も食えるな」
 リサ:「ホットケーキ、ジャンボホットケーキ。それとホットミルク」
 愛原:「了解。俺は……ホットドッグとブレンドコーヒーでいいや」

 私が注文すると、再び通りに目を向ける。
 もちろん、すぐに出てくるわけがない。

 リサ:「ねぇ、先生」
 愛原:「何だい?」
 リサ:「先生はああいう所、入ったことあるの?」
 愛原:「いや、無いなぁ。俺は高橋みたいに、右から左へと女が寄って来るような男じゃないんでね」
 リサ:「私と一緒に入る?」
 愛原:「だから、年齢制限が……」
 リサ:「うん。私が18歳になったら」
 愛原:「……あー、なるほどな」
 リサ:「高校の制服着て、エンコーしてあげる」
 愛原:「いくら取る気だよw」

 私は苦笑した。
 リサの場合、お金より、もっと搾り取られそうなものがありそうだ。

 マスター:「お待たせしました」

 しばらくして、注文したものがやってくる。

 マスター:「こちら、ジャンボホットケーキでございます」
 リサ:「おー!」

 3段重ねの、朝マックのホットケーキより直径の大きいホットケーキだ。
 これなら大食のリサも満足だろう、多分。

 マスター:「こちら、ホットドッグでございます」
 愛原:「どうも」

 昭和時代のカフェみたいだ。
 そういう伝統的なカフェの出すホットドックは、キャベツの千切り(またはみじん切り)をウインナーと一緒に炒め、背割りコッペパンに挟んでしばらくオーブントースターで温め、それから出すというのがセオリーだ。
 さっきからフライパンで炒める音が厨房から聞こえてたと思ってたら、これを作っていたわけだ。

 愛原:「よし、じゃ早速食べよう。もちろん、食べている間も監視を怠るな」
 リサ:「はーい」

 リサは美味そうにホットケーキを頬張った。
 その仕草にはホッコリ来るものがある。
 時々、さっきみたいに性欲を匂わせる部分もあるが、まだまだ食欲が優先といった面が強いコだ。
 で、食欲を見たし、今は性欲を満たしている最中の高橋達を私達は監視中というわけだ。

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