報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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“私立探偵 愛原学” 「鬼の兄妹と対決!でも……」

2023-08-12 20:57:32 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月6日12時00分 天候:雪 栃木県日光市某所 某民泊施設地下]

 愛原「地上は危ない!一先ず奥へ逃げよう!」
 高橋「はい!」

 鬼の男が現れたということは、その妹も近くにいるはずだ。
 私は事務室のドアを閉めると、廊下にあったソファとかを引っ張って、それをドアの前に置いた。
 まあ、ただの気休めだろうがな。

 高橋「どこに行くんスか?」
 愛原「ピアノのある部屋だ!」

 私は図面を見た。
 ピアノがあるとしたら、この『仮眠室』だろうか?
 いや、寝る場所なのにピアノが置いてあるわけがない。

 リサ「『食堂』じゃない?」
 愛原「そうか!」

 それは1階の台所の真下だった。
 もしかしたら、1階の台所で作った料理を何かで地下に運んだりしていたのかもしれない。
 そこも、カードキーが必要だった。
 リサのカードキーで開ける。
 と、背後から大きな音が聞こえて来た。
 どうやら、非常口の扉が破られたらしい。
 すぐに事務室のドアを大きく叩かれたり、蹴られる。
 うかうかしていたら、追い付かれてしまう。

 鬼の男「オレを撃ちやがったクソ野郎!ブッ殺す!!」

 なんて喚いている。

 高橋「売られたケンカは買うしか無いっス!」
 愛原「今はいいから!」

 私達は『食堂』に入った。

 愛原「ピアノは……あった!」

 壁際にアップライトピアノが1台置かれていた。
 しかもそれは、自動演奏機能付きのピアノだった。

 愛原「曲?曲か……」

 私はモニタの中から、ある曲を選択した。
 それはゾンビの下の隠れていた書類に書かれていたもの。

 愛原「『細田友晴のテーマ』これだな」

 私はそれを選曲した。
 自動的に演奏されるピアノ。

 https://www.youtube.com/watch?v=xtyxo60SlyU

 愛原「聞いたこともない曲だな」

 しかし、カフェか何かで流れていそうな曲ではある。
 と、廊下の方で、大きな音がした。
 ついに事務室のドアも破られたのだ。

 鬼の男「ここかぁ!!」

 ピアノの音が漏れていたか、すぐに鬼の男はここを突き止めてしまう。

 高橋「先生!いつになったら、何がどうなるんですか!?」
 愛原「た、多分、このピアノの演奏が終わったらじゃないかなー……」
 高橋「はあ?!」

 私は銃を構えた。
 もちろん、高橋もそうした。
 リサは両手の爪を長く鋭く伸ばし、放電した。
 と、ようやくピアノの演奏が終わる。
 すると、食器棚が横に動いた。

 愛原「あれはエレベーターだ!なるほど!あれでB2階へ行けるんだな!」

 造りの古いエレベーターだった。
 扉は手動。
 格子の扉が外側からは蛇腹状に、内側からは両開きの引き戸になっていた。

 愛原「早く乗れ!」

 私は扉を手動で開けると、急いでエレベーターに乗った。

 愛原「あれ?!」

 だが、ボタンを見て目を丸くした。
 B2階のボタンが無い。
 1階とB1階しか無かった。
 どこかにB2階のボタンが隠れているのか?
 しかし、探している暇は無かった。

 鬼の男「うらぁぁぁっ!!」

 ドカッと、ついに食堂の扉が破られたからである。

 愛原「仕方ない!」

 私は1階のボタンを押した。
 エレベーターが上昇する。

 鬼の男「待てや、コラーッ!!」
 高橋「うるせっ!これでもくれてやらぁ!」

 高橋は再びマグナムを撃ち込んだ。
 それは再び鬼の男に命中した。
 どうやら、弾を避けるほどの素早さは無いらしい。

 愛原「一体、どこに出るんだ?」

 エレベーターが1階に到着する。
 しかし、そこは真っ暗だった。
 少なくとも、そこが家の中だとは思えなかった。

 愛原「物置小屋だ!」

 裏庭の物置小屋に出た。
 物置小屋と見せかけて、実はエレベーターを隠す小屋だったのだ。

 愛原「今のうちに退くぞ!BSAAに救援を要請するんだ!」
 高橋「はい!」

 私達は中庭に出て、門扉から外に出ようとした。

 リサ「先生、危ない!」

 リサが私を突き飛ばす。
 と、リサの右腕に太いツララが突き刺さった。
 それはリサの右腕を貫通した。

 リサ「いってーっ!」

 リサは左手で、それを引き抜く。
 一瞬、右腕から血がドバッと出たが、すぐに血は止まった。
 そして、見る見るうちに傷が塞がって行く。
 さすがは鬼型BOWだ。

 鬼の女「逃がしゃしないよ!」

 鬼の女が屋根の上にいた。
 その手には、ツララが握られている。
 それを私に放ったのだ。
 そしてそれが、リサの右腕に突き刺さった。

 鬼の女「あんた達はここで私達のエサになるのさ!」

 鬼の女は金色の瞳を私達に向け、牙を覗かせた。

 愛原「そうは行くか!BSAAに救援を頼む!」

 私は閃光手榴弾を取り出した。
 それを鬼の女に投げつける。

 鬼の女「そんな爆弾1つ、効かな……」

 しかし、閃光手榴弾というのはただの手榴弾ではない。
 大きな音と光を放って、敵の視覚と聴覚を一時的に封じる爆弾である。
 よって、それそのものに殺傷能力は無い。

 鬼の女「ぎゃっ!……目が……耳が……」

 五感が人間より鋭い鬼には、よく効いた。

 リサ「うー……耳がキンキンする……眩しい……」

 咄嗟に目を瞑り、耳を塞いだリサにさえ、多少の影響は出ているのだから。

 高橋「食らえ、オラ!」

 高橋は鬼の女にマグナムを発射した。
 至近距離から頭を狙って撃った。
 人間なら即死だろうが、恐らくこれでも鬼なら死なないだろう。
 やはり、栗原家の持つ鬼斬りの刀が無いとダメだ。

 愛原「早くこっちへ!」

 私達は家の外に出ると、一目散に駐車場に向かった。

 愛原「急いでこの町から離れるんだ!」
 高橋「はい!」

 そして車に乗り込み、エンジンを掛けてすぐに出発する。
 私は自分のスマホを取り出すと、すぐに善場主任に連絡した。

 愛原「も、もしもし!善場主任ですか!?愛原ですが、緊急事態発生です!栃木県……でっ!」

 その時、車に大きな衝撃が走った。
 まるで、後ろから別の車に追突されたかのような衝撃だ。

 高橋「わぁっ!」

 それでハンドルを取られた高橋だが、体勢を立て直そうとすると、積もった雪にタイヤが取られ、ついに電柱に衝突してしまった。

 愛原「がっ!」

 エアバッグは作動したが、シートベルトを着ける前だったので、私はシートから投げ出された。
 それは高橋も同じだった。
 一体……何が起きた……?

 善場「もしもし!?愛原所長!?何かありましたか!?応答してください!愛原所長!」

 ……床に落ちたスマホから、善場の声が虚しく響いていた。

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