報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「成田空港にて」

2023-07-28 14:53:52 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月3日13時21分 天候:不明 千葉県成田市古込 空港第2ビル駅→同市三里塚御料牧場 成田空港駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく空港第2ビル(成田第2・第3ターミナル)、空港第2ビル(成田第2・第3ターミナル)です。出口は、右側です。……〕

 列車は成田空港第2ビル駅に接近した。
 既に地下トンネルを走行しているが、今のところはまだ何も起きない。
 だが、まだ油断はできない。
 テロリストの中には、列車を降り際に爆弾を爆発させたりすることもあるからだ。
 そして、列車はホームに停車した。
 鬼の男の妹を名乗る鬼の女は、席を立つと、デッキに向かった。

〔「ご乗車ありがとうございました。空港第2ビル、空港第2ビルです。……」〕

 ホームから発車ベルの音が聞こえて来る。
 ここで半分くらいの乗客を降ろすスカイライナー。
 そして、ドアが閉まって再び電車はトンネル内を走行した。

 リサ「先生、大丈夫!?」
 愛原「ああ……大丈夫だ」
 高橋「先生!さすがっス!鬼を前にして、全く動じないその態度!やっぱ先生は名探偵っスよ!」
 愛原「い、いや、あの場合……ああするしか無かっただろ」

 私はスマホを取り出した。

 愛原「電車を降りたら通報するぞ。あくまでも、電車内では通報しないという約束だったからな」
 高橋「な、なるほど」

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、成田空港(成田第1ターミナル)、成田空港(成田第1ターミナル)です。どなた様も、お忘れ物をなさいませんよう、お支度ください。本日も京成スカイライナーをご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 東京メトロの自動放送と同じ声優の自動放送が流れると、少しは安心する。
 電車は鬼の女を降ろした空港第2ビルから1kmほど走って、終点の成田空港駅に到着した。

 

〔「ご乗車ありがとうございました。成田空港、成田空港、終点です。車内にお忘れ物をなさいませんよう、お降りください。……」〕

 私達はホームに降りた。

 愛原「ちょっと待ってくれないか。善場主任に通報したい」
 リサ「分かった。……トイレ行ってきていい?」
 愛原「ああ。トイレはこの上だ。改札からは出るんじゃないぞ?」
 リサ「分かった」
 絵恋「私も行く」
 パール「それでは、私は護衛を……」
 高橋「さっさと行けー」

 私はホームのベンチに座った。

 

 私達が乗った列車は折り返し、京成上野行きになるようだ。
 一体、鬼の女は何の用で空港第2ビル駅に降りたのだろう。
 荷物からして、飛行機に乗るような感じではなかったが……。

 善場「善場です」
 愛原「愛原です。実はちょっと、大変なことになりまして……」
 善場「伺いましょう」

 私はこれまでの経緯を話した。

 善場「分かりました。それでは、係官を現地に向かわせましょう」
 愛原「現地で合流する必要はありますか?」
 善場「それには及びません。京成上野12時40分発のスカイライナーに、日暮里駅から乗り込み、愛原所長の隣の席に座って、空港第2ビル駅で降りたのですね」
 愛原「そうです!」
 善場「そして、特急券を車内で購入したと?」
 愛原「はい。改札に来た車掌から購入してました」
 善場「特に、自分の存在を隠す気は無いようですね」
 愛原「まさか、空港が閉鎖になるとかは……」
 善場「今後の展開では、その可能性もあります。我那覇絵恋さんの飛行機は、何時に離陸しますか?航空会社の便名が分かれば、それもお願いします」
 愛原「はい。ピーチ航空507便、15時55分の離陸です」
 善場「かしこまりました。その1時間前に、チェックインを済ませる予定ですね?」
 愛原「そんなところです」

 なので、私達の見送りは15時前に終わる予定だ。
 成田空港から都内への手段は、特に決めていないことも伝えた。

 善場「所長方が帰京される頃には、避難命令も解除されていると思われますので」
 愛原「そうですか」
 善場「ただ、道路は渋滞しているかもしれませんね」
 愛原「なるほど。鬼の男について、何か新しい情報はありますか?」
 善場「はい。それについて、情報を共有したいので……」
 高橋「うわっ、何だ!?」

 その時、高橋が突然大声を上げた。

 愛原「何だ!?」
 高橋「変な目玉が!」
 愛原「!?」

 最初はピンポン玉が浮いているように見えた。
 だが、良く見るとそれは2つの目玉だった。
 ギョロッと赤い瞳が私の方を見る。

 善場「何かありましたか!?」
 愛原「な、何か変な目玉が、私達の周りを……」
 善場「! 逃げてください!直ちに、そこから!急いで!!」
 愛原「!! 高橋!逃げるぞ!」
 高橋「ええっ!?」

 私は高橋の服の袖を掴んで、一気に階段まで走った。
 爆発でもするのかと思ったが、そんなことはない。
 だが、目玉が私達を追って来た。

 高橋「やる気か、この野郎!」

 高橋は持っていたマグナムを取り出した。

 愛原「当たるわけないだろ、そんな小さいの!」

 大型拳銃で、ピンポン玉みたいな大きさの、それもふわふわ浮いている物に当てられるとは思えない。
 それなら、まだ私のショットガンの方がマシだ。
 だが、今は細かく分解している状態。
 あの目玉が何をしてくるか分からない以上、組み立てているヒマなど無かったし、仮にあったとしても、こんな大勢の旅客がいる前で撃つわけにはいかなかった。
 私達は階段を駆け上り、改札階に出た。
 そして、コンコース内にあるトイレに向かった。

 パール「どうしたの?」

 パールはトイレに入っておらず、その入口付近で少女達を待っていた。

 愛原「パール!すんごいマズいことになった!どうやら、敵に捕捉されたらしい!すぐにここから離れるぞ!」
 パール「待ってください!まだ、御嬢様方が中に……」
 高橋「早く呼んで来い!」
 パール「敵ってどこにいるんですか!?」
 愛原「これだ!」

 私はふわふわ浮かんで付いてくる目玉を指さした。
 これだけだと、何かの玩具の一種だと周囲には思われているようで、特に騒ぎにはなっていない。

 パール「これが敵ですか……。それでは!」

 ザシュッ!スパッ!

 愛原「え……?」

 何と、パールは手持ちのミリタリーナイフを取り出すと、それで目玉2つを倒してしまった。
 1つは切っ先で突き刺し、もう1つはスパッと真っ二つにしてしまった。
 目玉は煙を上げて、消えて行った。

 パール「これで宜しいですね?」
 高橋「オメーなぁ……」
 善場「ちょっと、善場主任に確認してみるわ」

 私は一旦切った電話を、もう1度掛け直すことにした。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (んっ?)
2023-07-28 18:06:16
其れは「鬼太郎」のお父さんだ!ww
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んっ?さんへ (雲羽百三)
2023-07-28 20:52:06
 コメントありがとうございます。

 手足が生えていれば、そうだったんでしょうけどねw
 気になる目玉の正体については、これから書きます。
返信する

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