報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

梅雨空

2013-06-26 15:09:31 | 日記
 家を出る時にはパラついていて、空を見るとまだ明るかったので傘を持って行くかどうか迷ったが、持って行って正解である。仮に出る時に雨が降ってなかったら、
「まあいいか」
 とタカをくくって、大変な目に遭っていたことだろう。これもまた御加護の1つであると、捉えておきたい。
 とはいうものの、今日の外出はあくまで癒し目的であり、こんな雨の中わざわざ行く必要があるのかというと【お察しください】。

 こんな平日でもアニメ関係のショップはそこそこ賑わっているもので、恐らくは私のような平日休みの仕事に就いている者が客として訪れているのだと信じたい。ああ、分かっている。中には自宅警備員みたいなのがいるが、あえてそれには目を向けない。
 つぶやきで、恐らくはラノベに分類されるであろう小説を10万部売り上げたことを自慢していた顕正会男子部員がいたが、アニメイトに行ってみて気づいた。
 確かに10万部売れるのはヒットである。ヒットではあるが、ああいった店で大々的に紹介されている作品群は、更にその10倍以上売れているものなのである。
「業界ナメるな!」
 とは、私の同志(違うサークルの知り合いのクリエイター)の言。
 法華講の同志より、こっちの同志の方がどうしても繋がりが濃い。

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 “ボーカロイドマスター”より。前回の続き。

「兄ちゃん、早く早くぅ!」
「プロデューサー、もっと急いで!」
「無茶言うな、お前ら!速過ぎるって!」
 ボカロの中で1番身体能力に優れているリンとレンが敷島を急かす。
 だいたい、MEIKO達が対処できなかったら、エミリーは自身に搭載されているブースターや超小型ジェット・エンジンを駆使して、すぐ敷島に追い着くだろう。
 ところが、だ。敷島達の脇を赤色灯を点灯させ、けたたましいサイレンを鳴らした救急車が通り過ぎて言った。
「…………」
 敷島は嫌な予感がした。
 その時、ケータイが鳴り響く。
「はい、もしもし!?」
{「プロデューサー。KAITOですが、大変なことになりました」}
「MEIKOとルカが負けたのか!?」
{「いえ、勝負は中止です。ドクターが倒れました」}
「はあ?!」
{「僕が発見した時には、既に心肺停止状態で。さっき、119番通報をしたのですが……」}
「な、何だってー!?」

 敷島達が研究所に取って返した時には、既に救急車が病院に向けて出発したところだった。
 因みに付き添いには、エミリーとルカが乗っている。
「エミリーをぶん殴っといたよ。ドクターが倒れてるのに、何してんのって!自分の親の命令じゃなくて、命が最優先だろって言っておいたよ」
 MEIKOが腕組みをして言った。
「その通りだな」
「何とか救急隊が駆けつける前にAEDを使用してはみましたが、果たして上手くできたかどうか……?」
 KAITOはAEDと心臓マッサージをしたという。
「いや、よくやった。お前にそんな特技があったとはな。……ん?」
 そこで敷島が気づく。
「ちょっと待て。この研究所、AEDなんてあったか?」
「プロデューサー。僕達も電気で動く者です。僕の予備バッテリーを使いましたよ」
「そ、そうか」
 右手と左手をパット代わりにして、そこに電気を流せばAEDの代わりになるという。 敷島は事務室にいて、財団を始めとする関係各所に電話していた。
 しばらくすると、電話が引っ切り無しに掛かってくる。
「たかおさんは、病院に行かなくていいんですか?」
 と、ミクが言う。
「電話番してないとさ」
「いいよ。電話番なら、私がするから」
 と、MEIKO。結局仕事はキャンセルしてしまった。
「そういうわけにはいかない。アイドルに電話番させる事務所がどこにある?」
「もうすぐ平賀博士と七海さんが来るみたいですから、七海さんと交替して行かれるといいでしょう」
「……そうだな」
 すると、MEIKOが敷島の胸倉を掴む。
「いつまでもヘソ曲げてんじゃないよ、ヘボプロデューサー!」
「MEIKOさん!」
 ミクが慌てて止めに入る。
「これでドクターが死んじゃったら、プロジェクト自体が中止になるかもしれないのよ!?」
「……分かったから、放してくれ」
「兄ちゃん、平賀博士が来たよ!」
 窓の外を見ていたリンが言った。
「すぐに七海と交替して、病院に向かうよ」
 敷島はそれだけ言うと、上着を着込んで事務室を出た。
「……たかおさん、遠くへ行っちゃった……」
 ミクが寂しそうに言った。
「え?病院、そんなに遠いの!?」
 レンが驚く。
「いや、同じ区内の泉北病院と聞いてるよ」
 KAITOが言った。
「まあヘタしたら、心臓専門の病院に転院することになるかもしれないが、それだって市内だろう?」
「ミクの言ってることは、そういうことじゃないの、男ども」
 MEIKOは腰に手を当てて言った。
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