報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

富士参詣深夜便

2013-08-21 00:32:44 | 日記
 “新人魔王の奮闘記”より……。

「ブリュンヒルデ城は今は廃城だけども、改修すれば使えそうだな」
 春明は国内東方の町の視察から帰って来たところだった。
「私の分析によりますと、かつての城主、ブリュンヒルデ公爵はSMが趣味のド変態だったとのことです。グフフフ……。何でも、七つの大罪の1つであるところの色欲の悪魔に取り憑かれた公爵は、夜な夜なJKは元より、JCや果てはJSを……!嗚呼、何とも羨まし……」
「どこの世界にも、横田みたいな奴はいるんだな。てか、お前も実行に移したら死刑だからな?」
 春明はさらっと流しつつ、首相執務室に入った。
「お帰りなさいませ、閣下」
 留守を預かっていた共和党のセバスチャン参事が挨拶してきた。
「ただいま。何か変わった事はあった?」
「閣下の留守中は何も無かったのですが、急遽陛下に来賓の御予定が入りまして……」
「これから?」
「ええ」
「誰だい?」
「皇太后様です」
 さらっとセバスチャンが言ったものだから、思わず納得しかかった。
「どこの国の?」
「我が国です。コーヒーが入りました。タリーズの“ハウスブレンド”でございます」
「うん、ありがと。……うちの国、皇太后なんていたっけ?」
 春明は隣に控えているサイラスに振ってみた。
「存じません」
 サイラスは人間より長く尖った耳を少し下げ、跳ね上げた。
「私の分析によりますと、皇太后様というのは、王様あるいは女王様の御母堂様のことですね」
「それくらい知ってる。てか横田、また小難しい単語を……」
「ということは、ルーシー陛下のお母様ということになりますね」
 サイラスが抑揚の無い声で言った。
「うん……」
 春明は一瞬、何の疑いも持たなかったが、
「ブッ!!」
 口に運んだコーヒーを噴き出してしまった。
「どうした、安倍さん?」
 サイラスが目を丸くした。
「って、ルーシーはその親から勘当同然なんだぞ!?すぐに警戒体制を取れ!場合によっちゃ、血の雨が降るぞ!!」
「ええーっ!?」
 

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