報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「新宿さざなみの旅」

2024-05-26 13:53:03 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月9日07時50分 天候:曇 東京都新宿区新宿 JR新宿駅→中央快速線9043M列車・1号車内]

 255系車両における“新宿さざなみ”1号の指定席車は、1号車から5号車であり、9号車は自由席である為、変更します。

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。7番線に停車中の列車は、7時50分発、特急“新宿さざなみ”1号、館山行きです。……〕

 

 列車が入線し、私とリサは先に乗車していた。

 

 テーブルが肘掛けの中に収納されているタイプなので、それを出して、その上に駅弁や飲み物を置く。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。この列車は“新宿さざなみ”1号、館山行きです。途中、秋葉原、錦糸町、船橋、津田沼、千葉、蘇我、五井、木更津、君津、浜金谷、保田、岩井、富浦に停まります。指定席は1号車から5号車、グリーン車は4号車です。自由席は、6号車から9号車です。車内はデッキを含めまして、全車両禁煙です。トイレは2号車、4号車、5号車、7号車、9号車の各車両の後ろ寄りにあります〕

 堺正幸氏による自動放送が流れ終わった後、高橋とパールがバタバタと戻って来た。

 高橋「一服してきたっス!」
 パール「お待たせしました!」
 愛原「おー、結構ギリギリだったなー」
 パール「マサのヤツ、間違えて9号車に行きまして……」
 愛原「ええっ!?」
 高橋「まさか、台本が急に変わったなんて思いもしなくて……」
 愛原「台本とか言うなしw ほれ、お前達の席はそっち」

 私とリサは進行方向右側の席に座っているが、高橋達の席は通路を挟んで隣の左側の席だ。
 本当は前後して取りたかったのだが、席が空いていなかった。
 近くで取れる席が、この横並びだったのである。

 高橋「あっ、了解です」

 高橋とパールは左側の席に座った。

〔「7時50分発、特急“新宿さざなみ”1号、館山行き、まもなく発車致します。ご乗車になりまして、お待ちください」〕

 しばらくすると、ホームから発車メロディが聞こえて来る。
 “海岸通り”という曲名が付けられているようだ。
 正に、この列車が海の方に行くだけに、相応しい曲だと思うが、実際はただの偶然だろう。

〔「7番線から、7時50分発、特急“新宿さざなみ”1号、館山行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください」〕
〔7番線、ドアが閉まります。ご注意ください〕

 ドアが閉まると、列車はゆっくりと走り出した。
 途中で本線に入る為のポイントを通過する為、電車が大きく揺れる。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は特急“新宿さざなみ”1号、館山行きです。【中略】お客様にお願い致します。携帯電話をご使用の際は、周りのお客様の御迷惑となりませんよう、デッキをご利用ください。次は、秋葉原に停まります〕

 リサ「錦糸町までは戻るって感じ?」
 愛原「いやいや。微妙にズレてるぢゃないか。微妙に」
 リサ「び、ビミョーにね」
 愛原「ずっと山奥の研究所にいたんだから、今度は海だ!」
 リサ「泳ぐの?」
 愛原「まだ海開きしてないし、まだ寒いよ」

 日に当たれば暖かいというところまで、春が濃くなってきたが、さすがに海には入れない。

 愛原「そもそもオマエだって、水着持って来てないじゃないか」
 リサ「それもそうだね」
 愛原「むしろ船に乗るから」
 リサ「わたしに船底で、『メーデーメーデー』って言えって?」
 愛原「誰もそんなこと言っとらんw」

 尚、弁当を食べ終わって、その空き箱などを捨てるついでにトイレに寄ってみたが……。

 

 男子用個室はこんな感じだった。
 何でも、『深海』をイメージしているらしい。
 他の洋式トイレなどは普通だった。
 尚、少し古い車両のせいか、さすがにウォシュレットまでは搭載されていないもよう。

[同日09時41分 天候:晴 千葉県富津市金谷 JR内房線9043M列車・1号車内→金谷駅]

 列車は御茶ノ水駅まで、賑やかな複々線区間を走行した。
 御茶ノ水から錦糸町までは、複線に減少するが、それでも賑やかなことに変わりはない。
 そして、錦糸町駅から再び複々線となる。
 つまり、千葉駅までは賑やかだということだ。
 千葉駅を出てからは少し穏やかになるが、複線区間ということもあり、ローカルというよりは郊外の路線といった感じ。
 すれ違う普通列車も、6両編成以上の比較的長い編成の物が多いからだろう。
 五井駅から出てる小湊鉄道は、さすがにローカル線といった感じだったが。
 一気にローカル線の色が出てくるのは、君津から先の単線区間。
 普通列車の本数も1時間に1本、2両編成ワンマン運転とかになる。
 車窓の方だが、ウィキペディアの記事によると、『東京湾と房総丘陵の間のわずかな平地を、東京湾の沿岸に寄り添う形で走行する。沿線にはマザー牧場・鋸山などの観光スポットや、多数の海水浴場が点在する。また館山は南房総における観光拠点の一つであり、観光アクセスとしての役割が目立つ区間である。海岸沿いを走行するため、風の影響を受けやすく、しばしば運休する。複数ある風規制区間のうち、特に運転中止になりやすい佐貫町駅 - 上総湊駅間では、防風柵の設置が行われ、2012年3月21日に完成したが、それ以外の区間でも風規制になることも多く、線区全体での対策が求められている』とある。
 房総丘陵を走る為、トンネルもいくつか通過する。

 リサ「海が見えてきた!」
 愛原「そうだな。実に懐かしい」
 リサ「ん?」
 愛原「学生の頃、ここに来たことがあるんだ。あの時は、まだ113系とかで運転されてたっけなぁ……。千葉駅から、館山方面まで直通の普通列車なんかもあったりしてな……」
 リサ「面白そう!」
 愛原「昔は良かったねぇ……。今はもうあんなことできないね」

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、浜金谷です。お降りのお客様は、お忘れ物の無いよう、お支度ください。浜金谷の次は、保田に停まります〕

 自動放送の担当声優と、その言い回しのおかげで、まるで東北新幹線に乗っているかのような錯覚を受ける。
 因みに作中では省略されている英語放送も、その担当声優はJR東日本の新幹線の英語放送を担当している人と同じ人である。

 愛原「新宿から凡そ1時間50分。やっと着いたな」
 リサ「ここから海に飛び込むんだね!?」
 愛原「いや、飛び込まないし!港には行くけどさ」

 

 こうして、私達は無事に下車駅に着いたのである。
 都内ではやや曇りがちだった空も、今は晴れている。
 こうして日光が出ていれば、栗原蓮華と同類の鬼型BOWが現れることは無いだろう。

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1 コメント

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あとがき (雲羽百三)
2024-05-26 15:41:29
 浜金谷の次の停車駅、保田は、日蓮正宗寺院だった妙本寺の最寄り駅である。
 行ったことないけどw

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