報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「新宿駅の風景」

2024-05-25 21:33:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月9日07時21分 天候:曇 東京都新宿区西新宿 都営地下鉄新宿線621T電車・最後尾車内→京王新線・新宿駅→JR新宿駅]

〔「まもなく新宿、新宿、終点です。お出口は、右側です。この電車は新宿止まりの電車です。新宿駅到着後、回送となります。引き続いてのご乗車はできませんので、ご注意ください。今度の笹塚行きは、降りたホームから28分。その後、快速、大沢……失礼しました。快速、橋本行きは40分の発車です。ご乗車ありがとうございました。まもなく新宿、新宿、終点です」〕

 乗り換え駅である新宿駅に到着する。
 リサは相変わらず、こんな朝早くから『魔王軍』とLINEでもやっているのか、スマホ弄りをしているが、高橋とパールは互いに寄り添いながら寝ていた。
 因みにこの時、パールもフードを被っている。

〔「ご乗車ありがとうございました。新宿、新宿、終点です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください。4番線の電車は、回送電車です。ご乗車にはなれませんので、ご注意ください。この後の笹塚行きは、28分発です」〕

 愛原「おい、2人とも、降りるぞ」

 私は2人を揺り動かした。

 高橋「到着っスか」
 愛原「新宿だ。降りるぞ」
 高橋「うぃーっス」

 まあ、酔っ払っているわけではないので、普通に起こせば起きる。

 リサ「この後はJRに乗り換えだね?」
 愛原「そうだ。キップは改札前で渡すよ」

 地下5階のホームからエスカレーターを乗り継いで、地下1階の改札口まで向かう。

 リサ「先生。JRのキップ」

 リサは人間形態なので、長くない爪の手を差し出した。

 愛原「いや、地下鉄の改札じゃなくて、JRの改札口な?」
 リサ「あっ、と!」

 地下鉄の改札口を出て、今度はJRの改札口に向かう。
 日曜日の朝ということもあって、平日の同じ時間と比べれば人は少ない。

 愛原「キップは1人ずつ持とう」
 高橋「ありがとうございます」
 リサ「わたし、先生の隣~!」
 愛原「はいはい。窓側な?」
 リサ「ありがとう!」
 愛原「特急券だけだから、改札口はSuicaやPasmoで通過してくれ」
 高橋「なるほど。このキップじゃ、通れないんスね」
 愛原「それは指定席特急券だけだからな?」
 リサ「駅弁はどこに?」
 愛原「コンコースの中だろう。特急が出る中央線ホームの近くで売ってると思う」
 リサ「なるほど」

 改札口を通過し、コンコースの中に入る。
 それから……。

 愛原「あれだな」

 駅弁屋を発見した。

 リサ「おー!」
 愛原「リサは俺が買ってやるよ。何がいい?」
 リサ「肉!」
 愛原「だろうな」

 リサは“やまゆり牛しぐれ煮弁当”を所望した。
 私達が向かうのは千葉県だが、ここから出発する特急の殆どは、まずは山梨方面に向かうことを思い出す。
 私は牛タン弁当を見つけたので、それにしてしまった。
 別に、仙台に帰るわけじゃないのにw
 高橋達は、幕の内弁当関係にしていた。
 で、因みに私は、他にも缶ビールとおつまみも購入した。

 リサ「先生、これから乗る電車って、車内販売ある?」
 愛原「いや、どうも無いみたいだな。まあ、週末限定の臨時列車だからしょうがない」
 リサ「じゃあ、ここで買って行った方がいいね」
 愛原「そういうことだな。ホームにも、売店はあるみたいだぞ」
 リサ「そっかぁ……」

 ここでは駅弁などを買っておく。

 愛原「7番線か。ラッシュの時間だと、中央快速も発着するホームだな。それ以外だと、こういう臨時列車のホームとか……」

 新宿駅のようなターミナル駅は、当然ながら乗降客が多い。
 ましてや、平日のラッシュともなれば尚更だ。
 発着に時間が掛かるのは、致し方無い。
 とはいえ、そのせいで後続電車が詰まって渋滞が起こるのも考えものだ。
 そこで新宿駅では臨時ホームを開放し、後続電車をそこに到着させる。
 そうこうしているうちに先行電車が発車する。
 しかし、後続電車も混雑していて乗降に手間取る。
 そうしているうちに、また次の電車がやってくるが、これは先ほどの先行列車が停車していたホームに入れる。
 そして、更に後続は……というようなことを繰り返して、なるべく渋滞を減らす。
 これを『相互発車』という。
 さすがに今日は日曜日で、中央快速線の電車もそこまで混雑していないし、本数も多いわけではないので、相互発車は行われていない。
 そこで、7番線は素直に臨時列車のホームとなるわけである。

 愛原「因みに喫煙所は、普段から特急が発車している9番線、10番線ホームにあるから。吸うなら今のうちな?」
 高橋「はい。行ってきます。電車は7番線っスね?」
 愛原「そう。最後尾の1号車な?」
 高橋「分かりました。行ってきまーす」
 パール「行ってきます」

 喫煙者の2人は、特急ホームへと向かった。

 愛原「俺達は先に行こうか?」
 リサ「うん。お菓子も買いたい」
 愛原「おっと」

 7番線ホームは8番線との島式ホームである。
 平日朝ラッシュは両側を使用して相互発車を行うが、休日ダイヤでは行われない。
 上りホームであり、東京行きの中央快速電車が8番線のみを使用する。
 休日の朝とはいえ、そこはターミナル駅。
 上り電車が到着すると、そこから乗客がわんさか降りて来る。

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の7番線の列車は、7時50分発、特急“新宿さざなみ”1号、館山行きです。この列車は、9両です。……次は、秋葉原に、停車します〕

 ホーム上にあるNewDaysで、リサはポッキーやビーフジャーキー、そしてジュースを買った。
 本当に旅気分である。

 リサ「ふっ、フフフ……」
 愛原「どうした、リサ?」

 目当ての物を買い、ホームに出たところで、リサが何故か笑い出した。

 リサ「いや、きっと、化け物扱いされているヤツでさ、のんきにこれから電車旅行するってヤツ、世界中でわたしだけだろうなぁって思った。それだけ」
 愛原「なるほどな」

 公式には、元BOWで今は人間に戻っているとされている人物なら、世界には何人かいるが、現役で未だにBOWでというのは2人しかいない。
 1人はここにいるリサ。 
 そしてもう1人は、まだ幼児のローズマリー・ウィンターズ。
 アメリカからウィンターズ夫妻と共に、ルーマニアに亡命している。
 本来はBSAAの機密情報なのだが、善場主任が特別に教えてくれた。
 どうせ接点は無いし、あくまで知識として、そういう存在もあるのだという知識の一環で。

 愛原「今はそうだが、ルーマニアにいるとされるローズマリー・ウィンターズが大きくなって、特に暴走もしないようなら、お前みたいに電車やバスに乗ったりするようになるかもな?」
 リサ「そーかなー……」

 その時、もしかしたらリサと接点を持つようになるのかもしれない。

 愛原「先に並んでおくか。1号車はあっちだ」
 リサ「分かった」

 私は8番線の快速、東京行き電車を横目に、7番線側を歩いた。

 ※下りの指定席車は1号車から5号車であった為、修正しました。

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