報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「帰り道」 2

2020-09-21 13:18:22 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月27日13:00.天候:晴 宮城県大崎市岩出山池月 あ・ら・伊達な道の駅]

 往路の時に立ち寄った道の駅に再び立ち寄り、そこで昼食を取った。
 案の定、昼食バイキングにリサの食欲は全開であった。
 リサは他のBOWと違って普通の食事もできるが、そうでないと大量食人をするのだろう。
 それでも、これだけ食べても体型は太らないとはこれ如何に?

 リサ:「食後のソフトクリーム♪」
 愛原:「そんなに食べて、よく太らないな?」
 リサ:「変化の時にエネルギーを使うからね。あと、さっきハンター達と戦った時にも」
 愛原:「そういうことか」

 形態を変化させる際のエネルギー消費が大きいのか。
 あと、私達が戦ったハンターは、普通のハンドガン程度ではなかなか倒せない。
 具体的に言えば、日本の警察官が持っているような拳銃程度ということだ。
 口径の大きい高橋のマグナムや、ショットガン以上の銃器でないと倒すのは難しいとされる。
 それをリサは素手や素足で倒すのだから凄い。
 が、その分、大量のエネルギーを消費するということだ。

 愛原:「それじゃ、少し休んだら行くか」
 高橋:「ちょっと一服してきます」
 愛原:「おーう」

[同日13:45.天候:晴 宮城県大崎市古川李埣 ENEOSスタンド]

 車を返す前に、ガソリンを満タンにしておかないといけない。
 駅近くのセルフスタンドに立ち寄った。

 愛原:「意外と早く着いたな。こりゃ、一泊しないで帰れるかもな」
 高橋:「仙台駅で降りず、そのまま帰っちゃいましょう」
 愛原:「こらこら。斉藤さんは、うちの事務所の大口顧客の御嬢様だぞ」

 もっとも、寄越してくる仕事というのは、確かに高額報酬ではあるが、おおよそ探偵の仕事とはかけ離れていたり、或いは本当に命懸けのものだったりするのだが。

 愛原:「というか、予算の問題もあるんだよなぁ……」
 高橋:「は?」
 リサ:「ちょっとトイレ行って来る」
 愛原:「行ってらっしゃい」

 リサはスタンド内のトイレに向かった。

 高橋:「予算というのは?レンタカー代とか、このガソリン代とか、善場の姉ちゃん達が出してくれるんですよね?」
 愛原:「そういうことになっているんだが、何しろそれまでは俺達の立替払いだからな。俺の財布が……」
 高橋:「ああ。じゃ、とっとと帰った方がいいってことですね」
 愛原:「一泊する余裕は確かに無いな。あと、斉藤さんには悪いけど、仙台までは高速バスで行かせてもらおう」
 高橋:「バスが走ってるんスか」
 愛原:「JRバスね。在来線でケチろうとすると、どうしても小牛田駅で乗り換えしなくちゃいけなくなる。それもそれでメンドくさい」
 高橋:「あー、確かに。こういう時、やっぱり車の方が便利っスね」
 愛原:「そうだな。実家から借りるという手があったんだが、爆発のせいで鋭意修理中だし、かといって公一伯父さんはプリウスをオシャカにするし、軽トラだと定員オーバーだし」
 高橋:「何気に愛原家、車の損失デカいっスね」
 愛原:「そうだな。うちの実家は完全に被害者だが、伯父さんの場合は【お察しください】」
 高橋:「でもそれのおかげで、俺達助かりましたからぁ……」
 愛原:「それな」

 給油が終わってもリサはトイレから戻って来なかった。
 後がつかえていたので、私達の車は駐車スペースに移動した。

 高橋:「何やってんだ、あいつ!先生をお待たせしやがって!」
 愛原:「まあまあ。女性のトイレは長いものだよ。別に急いでるわけじゃない。それより、高橋とリサが小牛田の吉田家で戦った相手……」
 高橋:「ああ。リサみたいな奴だったけど、リサよりは弱かったヤツですね。ま、それに負けた俺も弱かったっスけど……」
 愛原:「お前1人でボスキャラに立ち向かおうなんざ、不利過ぎるだろ。俺が言いたいのは、あのUSBメモリーの中に書いてあったのが本当だとしたら……」
 高橋:「本当だとしたら?」
 愛原:「他にもいるぞ?リサの亜種みたいな奴ら」
 高橋:「ええっ、マジっすか!?」
 愛原:「通りで未だに“青いアンブレラ”が国内に常駐しているわけだ。普段はリサみたいに人間に化けているから、なかなか分からないらしい」
 高橋:「まだいるんスか、あんな化け物……」
 愛原:「こりゃ、ますます五十嵐元社長に話を聞かないとダメだな」
 高橋:「川口ナンバーってことは、川口市内を探せばいいんじゃないスか?」
 愛原:「隣の蕨市とかもそうだろ。まあ、蕨市は狭いけど」

 日本一狭い市ということで有名だ。

 愛原:「意外と斉藤社長とか知ってたりしてな。元同業者だし」
 高橋:「ああ!」
 愛原:「俺も知り合いの探偵業経営者の家、何軒か知ってるぞ。お呼ばれしたり、御挨拶に出向いたりしたことがある。斉藤社長も似たようなものだろ」

 ガチャと後ろのドアが開いた。
 リサが戻って来たのか。

 斉藤絵恋:「そうですね。父なら多分知ってると思います」
 愛原:「そうだろうそうだろう。後で聞いてみるか」
 斉藤:「何でしたら、私から聞いておきますよ」
 愛原:「そうか?じゃあ、お願いしようかな。…………………………………」
 高橋:「…………………………………」
 斉藤:「はい。えーと、詳しい話をお願いします」
 愛原:「何でここにいるんだ、キミが!?」
 高橋:「いつの間にかしれっといるんじゃねェ!」
 愛原:「何でここにいるんだ!?あれ?仙台市内で待ってるはずだろ!?俺達の到着を!」
 高橋:「ファミパンおじさんの物真似か、あぁ!?」
 斉藤:「ごめんなさーい。どうしても待ちきれなくってぇ……」
 愛原:「てか、どうして俺達がここにいるって分かったんだ!?」
 斉藤:「それは……」

 斉藤さんは恥ずかしそうに自分のスマホを取り出した。

 斉藤:「文明の利器(GPS)で
 愛原:「キミはストーカーか!」
 高橋:「犯罪者ァァァァァ!」

 高橋は斉藤さんからスマホを奪い取った。

 高橋:「ぬん!」
 斉藤:「ぎゃあああっ!?」

 そして、道路にぶん投げる。
 ちょうどそこへ大型長距離トラックがやってきて、その荷台に乗ってしまった。

 高橋:「次やったら、ヤり捨てんぞ!」
 斉藤:「私とリサさんの運命の赤い糸がぁあああ!」

 ちょうどそこへ空車のタクシーが通り掛かり……。

 斉藤:「た、タクシー!タクシー!」

 斉藤さんはタクシーに飛び乗って行った。

 リサ:「ただいま。何かあったの?」
 高橋:「リサ、遅ェぞ!さっさと乗れ!」
 愛原:「まあまあ」
 リサ:Σ(゚Д゚)

 リサが乗り込むと、高橋は一気に車を出した。

 高橋:「また厄介事になる前に、とっととこの町を離れましょう!」
 愛原:「おい、その前にこの車、返しに行かなくちゃならんぞ?」
 リサ:「一体、何があったの?」

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