報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「物語再開の度に舞台が埼京地域なのはお察しください」

2018-04-07 10:16:22 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月7日06:50.天候:曇 長野県白馬村 白馬八方バスターミナル]

 係員:「お待たせ致しました!バスタ新宿行きの到着です!」

 係員の案内と共にバスがやってきた。
 前回に乗ったのと同じ車種で、トイレも付いている。
 長野行きはここ始発でない便も多数あるが、冬季以外のバスタ新宿行きは基本的にこの白馬八方始発である。
 そして長距離便は、基本的に座席指定。

 マリア:「このバスにもだいぶ乗り慣れたかな」
 稲生:「僕もです。悲しいことに、鉄道の方が不便で、どうしても便利さを求めるとこのルートなんですよね」

 2人は後ろの2人席に腰掛けた。
 その席が指定されていたからで、4列シートであるが、長野県内で完結する特急バスと比べてシートピッチは広めに取られている。
 何しろ、季節によっては夜行便にも使われるくらいだ。
 尚、荷棚にミク人形とハク人形の入ったバッグを置くのはセオリーである。

 マリア:「お昼はどうする?用意する必要は無いということだけど?」
 稲生:「新宿駅か大宮駅で食べようかと思ってます。もしバスが時刻表通りに着けたら、新宿駅に昼時に着くんで」
 マリア:「ふーん……。まあ、朝食だけは用意してきたけど」
 稲生:「はい」

 ここでバスの半分ほどが乗客で埋まる。
 バスはほぼ定刻通りに白馬八方バスターミナルを発車した。
 そこは鉄道ではなくバスである為、多分、時刻表通りの運転は無理であろう。
 停車停留所はこの後、信濃大町駅と安曇野穂高だけなのだが……。

 稲生:「結局、先生は戻って来ませんでしたね」
 マリア:「いいよ。どうせ東京か勇太の家での合流ってことだろう」
 稲生:「ワンスターホテルの宿泊は断られました」
 マリア:「だろうなw」

 マリアは窓側席に座っているが、着ていたローブを脱いだ。
 その下は黒いブレザーに、緑色のプリーツスカートである。

 マリア:「おおかた、そこから魔界に行くのにも金を取ると言うんだろ?」
 稲生:「そんなところです」
 マリア:「あの守銭奴魔女、何を考えてるのやら……」

[同日12:13.天候:曇 東京都渋谷区 バスタ新宿]

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、バスタ新宿です。お降りの際、お忘れ物、落し物の無いよう、ご注意願います」〕

 ところが奇跡か神がかり。
 バスはダイヤ通りにバスタ新宿に着いてしまった。

 稲生:「ありゃ?ダイヤ通りに着いたぞ?」
 マリア:「さすが、日本はバスも正確だな」
 稲生:「んん……?」

 2人は荷物を手にバスから降りた。

 稲生:「お昼時で混んでいると思うので、このまま大宮駅に移動してそこで食べようと思うんですが、いいですか?」
 マリア:「いいよ。ここでは勇太に任せることになってる」

 多くの乗客で賑わうバスタ新宿からJR新宿駅に移動する稲生達。
 尚、この様子を水晶球で見ている者達がいた。

 イリーナ:「2人とも。あなた達のことは、私が常に見守っているからね。……この剣林弾雨の中でも」
 ダンテ:「私に救助を求めておいて、何きれい事言ってるんだね、キミは?」

 辛くも紛争地域から脱しようとしている大魔道師達が2名いた。
 魔法を使いながらのものであった為、かなり大掛かりな脱出劇となった。
 尚、この奇跡を当地のイスラム教徒達がどのように解釈したかは【お察しください】。

[同日12:25.天候:曇 JR新宿駅→JR埼京線1201K電車10号車内]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。2番線に停車中の電車は、12時31分発、各駅停車、大宮行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕

 埼京線と湘南新宿ラインのホームに行くと、既に緑色のラインカラーを帯びたE233系電車が停車していた。

〔この電車は埼京線、各駅停車、大宮行きです〕
〔This is the Saikyo line train for Omiya.〕

 1番後ろの車両に乗り込むと、車内はガラガラだった。
 ラインカラーと同じモケット色のバケットシートに座る。
 すると同じ色合いのスカートをマリアははいている為、一瞬そこだけ座席と同化しているかのように見えてしまう。

 稲生:「大宮で何食べますかねぇ……」
 マリア:「手軽なものでいいよ。このコ達、アイスクリーム食べたくてしょうがないみたいだから」

 ニュッとマリアのバッグから覗くハク人形とミク人形。
 人形形態はコミカルな動きに終始しているが、人間形態の場合はハウスキーパーとしての仕事をそつなくこなす上、非常の場合はライフルやショットガンを手にして敵を蜂の巣にするのである。
 昔はサーベルやスピアだったのだが、それだけマリアの魔力が上がったということだろうか。

 しばらくして発車時刻になり、ホームに発車メロディが鳴り響いた。
 この頃になると、座席もまだ歯抜け状態で空いているものの、そこそこ埋まるようになった。
 もっとも、先頭車は混んでいることだろう。

〔2番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 この後で英語放送も流れるようになったが、それが言い終わる前にドアが閉まった。
 駆け込み乗車が常習化されていると、車掌もタイミングに合わせてドアを閉めてしまうのだろう。
 ドアが閉まると、電車はすぐに発車した。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は埼京線、各駅停車、大宮行きです。次は、池袋です〕
〔This is the Saikyo line train for Omiya.The next station is Ikebukuro.〕

 マリア:「ん?」
 稲生:「どうしました?」
 マリア:「あのニュース……」

 マリアはドアの上のモニタを指さした。
 ドアの上にはモニタが2つあって、向かって左側はニュースやら天気予報やら広告やらを流すものとなっている。
 そこでは今、海外ニュースが流れているのだが……。

『シリアで謎の発光現象!』『一個部隊全滅か?』『「アッラーの怒り!」と地元では騒然!』

 稲生:「東アジア魔道団が何かしましたか?」
 マリア:「いや、多分うちの師匠が何かしたと思う」
 稲生:「はあ!?」
 マリア:「行ってみる?」
 稲生:「いいです!平和な日本がいい!」

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “大魔道師の弟子” 「やっと... | トップ | 小説の途中ですが、ここで本... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
つぶやき (雲羽百三)
2018-04-07 12:51:37
 ん?sokanetの“紅の歌”再録版?

 トランペットの伴奏が無くなってる。
 テンポが僅かに速くなった。
 音質が良くなった。

 あと“今日も元気で”。
 sokanetで公開されているのはローテンポ(通常版?)だが、YouTubeではアップテンポに歌ったものもあったりするが、あれは何だ?

 いずれにせよ、学会歌の完成度は高いと思う。
 今の顕正会や日蓮正宗で、あの完成度の高い愛唱歌を作るのは無理だろう。

 え?妙観講の歌?歌詞が物騒だわい!
返信する
つぶやき 2 (雲羽百三)
2018-04-07 15:34:03
いや、明日は御講で、うちの稲生勇太もそれでまた上京することになったわけだが、何かしらネタが無いかと思って創価学会公式サイトを覗いてみたのだ。
顕正会公式サイトは役に立たないしね。

それにしても、さすがのF屋さんも愛唱歌については何のツッコミも入れとらんなぁ……。
返信する

コメントを投稿

ユタと愉快な仲間たちシリーズ」カテゴリの最新記事