報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「最初の平日」

2024-01-09 15:07:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月13日16時00分 東京都墨田区菊川2丁目 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 愛原「日本アンブレラで、怪しい関係者は全員逮捕したんじゃないですか?」
 善場「そうです。ただ、実際にバイオテロの責任を問えるのは、五十嵐社長以下、本部長や副本部長クラスまでであり、それ未満の立場の社員については、逮捕されても証拠不十分で釈放とか、書類送検とかになっています」
 愛原「日野博士についてはどうなんでしょうね?」
 善場「お待ちください」

 善場主任は自分のノートPCを取り出し、それでどこかのネットワークにアクセスしたようだ。
 日本アンブレラの元関係者達が今、どうしているかが分かる一覧表だ。
 五十嵐元社長や副社長の親子については、未だに公判中となっている。
 確か今は、最高裁に上告中のはずだ。
 親子は経営者としての立場上の責任を取るのは吝かではないが、白井達の研究内容については関知していないので、責任は取れないと主張している。
 それに対して東京高裁は、『日本法人の最高責任者が、アメリカ法人の失態を知らないとは到底考えられず、研究部門の最高責任者である白井伝三郎の研究内容についても、立場的に知り得たはずで、それを知らないという主張は信用できない』としている。
 善場主任のPCでは、白井は死亡扱いになっている。

 善場「お待たせしました。日野博士、本名は日野博士ですね」
 愛原「ああ、博士と書いて『ひろし』ですか」
 善場「はい。精神薬に関する研究開発において、違法行為があったとして逮捕されています。が、不起訴処分になっていますね。現在の動向は不明となっています。持っている国家資格は、薬剤師や臨床検査技師などですね」

 そして、善場主任はその日野博士の顔写真を画面に出す。

 善場「リサを『医者』として診ようとした男は、これで間違いない?」
 リサ「うん!わたしが会った時は、もっと白髪があったけど、これで間違いないよ!」
 善場「今は栗原家で、主治医みたいなことをしていたのかもしれませんね。闇医者行為で、医師法違反でも検挙できそうです」
 リサ「偽医者だったのかぁ……」
 善場「それよりリサ、ここはいいから、早いとこテスト勉強して来なさい」
 リサ「はーい」
 愛原「お前、シレッといるもんなぁ……」

 リサは階段から4階の自室に向かった。

 愛原「何か、お手伝いできることはありますか?」
 善場「今のところは無さそうですね。奥日光の捜査もまだ続いていますので」
 愛原「栗原蓮華、全く姿を現しませんね」
 善場「どこかに潜んでいるのでしょう。……これはまだ公になっていないのですが、リサよりも不利な条件に陥っているものと思われます」
 愛原「と、仰いますと?」
 善場「目撃証言があるのは事実なんですが、それが全て夜間なんですよ」
 高橋「人目の無ェ夜に移動してんじゃねーの?」
 善場「私共も、最初はそう思いました。ですが、どうやら昼は行動できないらしいのです」
 高橋「それって……」
 愛原「宮城にいた日本版リサ・トレヴァー『6番』と同じだな。リサも、欠陥とバカにしていたヤツ」
 高橋「いましたね!」

 10代前半の少女が多い中で、『6番』は20代であった。
 見た目は美人だったが、肌はやたら色白かったのを覚えている。
 公一伯父さんがプリウスミサイルを放ち、『6番』の家に突っ込んだことで、壁に穴が開き、そこから差し込んだ西日を浴びた『6番』は自然発火して死亡した。

 高橋「でもよ、それって逆に見つかりにくいんじゃねーの?」
 善場「そういうことです。リサみたいに、GPSを仕込んでいるわけでは無いですからね」

 昼間は一切行動できないヴァンパイア型。
 昼間も行動はできるが、昼間は人間同然の力しか出せない人狼型のいずれかかと思われたが、どうやら前者のようである。

 愛原「北関東にいるんですよね?」
 善場「そこから西に移動しているようなので、今は新潟などに移動しているかもしれませんね?」
 愛原「新潟かぁ……」
 善場「今は夜の長い季節ですので、比較的有利な条件であると思われます」
 愛原「確かに」
 善場「既に何人もの人間を襲って食べているので、体質が変わったかもしれませんね」
 愛原「当然、私達は見つけ次第、殺していいわけですね?」
 善場「はい。もちろん、お持ちの銃の使用・発砲も許可します」
 高橋「いいねぇ!先生、この旅行券で鬼退治に行きましょうや!」
 愛原「行き先、仙台方面じゃなくていいの?」
 高橋「……おっと、そうでした」
 善場「まあ、あくまで新潟方面ではないかという予想なだけで、それが本当に当たっているかどうかは分かりませんよ?」
 愛原「そうですよね」

[同日18時00分 天候:晴 愛原家3階ダイニング]

 愛原「お、今日は大きな魚だなぁ」
 パール「ホッケの塩焼きです」
 愛原「肉もいいけど、たまには魚も食べたいもんな」
 高橋「そうっスね」
 リサ「……ま、それは確かに」
 パール「リサさんには、他にも焼肉がありますから」
 リサ「レアでお願い!」
 愛原「ステーキじゃねーよ」
 高橋「ったく、こいつは……」
 愛原「今日は俺が魚の気分だったから魚中心の夕食になるが、明日はリサの功績を称えて、ステーキにしておこう」
 リサ「おー!」
 愛原「明日はちょっと、旅行の予約でもしておこう。あいにくと、間に平日が入ってるんだよなぁ……」
 高橋「そういえばそうっスね。ガッコ、あんのか?」
 リサ「あるね……」
 愛原「学校が終わってから出発しよう」
 リサ「いいの?」
 愛原「いいよ。で、その前日は別の温泉にでも行けばいいんだ。……かなりマニアックになるかもだぞ?」
 高橋「上等です」
 パール「お付き合いさせて頂きます」
 リサ「先生とだったら、地獄の果てまで一緒だよ!」
 愛原「いや、地獄までは行きたくねぇなぁ」
 リサ「どこにするの?」
 愛原「春休みと被らないようにしないと。どうもリサの春休みの藤野は、1週間程度でいいらしいな」
 高橋「1週間程度って、確か春休みって短いんじゃなかったでしたっけ?」
 愛原「短いね。卒業生は1ヶ月くらいあるけど、在校生は2週間も無いんじゃないかな?」

 東京中央学園は名前の通り私立だから、都立高校と比べれば、若干違う所もあるだろう。
 だが、確かに期間は同じくらいだったはずだ。

 リサ「せっかくの春休みなのにぁ……」
 愛原「そう言うな。少しでも、人間に近づく為の治療だぞ」

 どちらかというと、リサの暴走を抑える為の物と言った方がいいか。
 背中から触手が生えるなどの化け物化を防ぐ為の物といった感じ。
 現状、リサが人間に戻るのかなり困難ということになっている。

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