報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「青い目の人形」 大宮~蕨

2021-07-21 16:28:44 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月30日10:59.天候:曇 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅→京浜東北線1131A電車10号車内]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪ まもなく、大宮です。上越新幹線、北陸新幹線、高崎線、湘南新宿ライン、埼京線、川越線、京浜東北線、東武線とニューシャトルはお乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。大宮の次は、上野に止まります〕

 稲生:「大宮だ。ここまで来ると、帰って来た気がするねぇ……」
 マリア:「元々の実家はここだったもんね」
 稲生:「そうそう」

 そんなことを話しながら荷棚から荷物を下ろす。

 マリア:「ほら、早く入って」
 ミク人形:「ムギュ!」
 ハク人形:「ムギュ!」

 これまでの2体の人形に対し、1体が追加されたので、バッグの中は少し窮屈になっているようだ。

 マリア:「屋敷に帰るまでの間、辛抱して」

 列車は速度を落として行き、上り本線ホームに入った。

〔「ご乗車ありがとうございました。大宮ぁ、大宮です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。14番線の電車は、“やまびこ”130号、東京行きです。次は、上野に止まります」〕

 ホームに降り立つと、ムワッとした空気が稲生達を襲う。

 稲生:「仙台より蒸し暑い」
 マリア:「ホント。屋敷の方が涼しいな」
 稲生:「そうだよね。今頃屋敷じゃあ、『サバト』と称して全裸プールだもんね」
 マリア:「勇太は絶対見るなよ!?」
 稲生:「分かってるよ。僕はマリアの全裸プールが見たい」
 マリア:「! だ、だったら、勇太もだよ!?」
 稲生:「あー、そうだねぇ。今日はさすがに無理か」
 マリア:「今日はね。次だよ、次!」
 稲生:「次はいつだい?」
 マリア:「来月の……」
 稲生:「周期早くない!?」
 マリア:「今年は比較的多いよ。『世界変革の日』が近いほど、サバトの回数も多くなる」
 稲生:「もしかして、コロナ禍とか無茶ぶり開催東京オリンピックとか、色々関係してるのかい?」
 マリア:「関係……しているよ」
 稲生:「やっぱり」
 マリア:「グランドマスター達、絶対そういう顔を持っているから」
 稲生:「うちの先生もイルミナティの会員とか?」
 マリア:「会員どころか、スーパーバイザーくらいの肩書はありそうだよ」
 稲生:「そうなの!?」
 マリア:「本部に籍を置いて、世界各地の支部と連絡を取り合いながら、活動内容を監視・指導するってこれ、スーパーバイザーじゃない?」
 稲生:「まんま小売チェーンのスーパーバイザーだよ。先生、そんなことしてるの?」
 マリア:「最初、どこかの企業の顧問でもやってるのかと思った。だけど、どうも企業じゃないようだ。もしかしたら、勇太の言うイルミナティ辺りじゃないのかって思った。あとはフリーメイソンとかね」
 稲生:「僕達には『のほほん、ゆるゆる指導の先生』みたいな顔しか見せないのにねぇ……」
 マリア:「いや、私にはたまに『冷酷な大魔道師』の顔を見せることがある。師匠の裏の顔に気づいた者は、魔法で抹殺されてる」
 稲生:「そんなこと、僕に話していいのかい?」
 マリア:「勇太だって、『こっち側』にいる者だからいいの。それに、もうすぐマスター認定されるんだから、そうなったら嫌でも知ることになるよ?だったら、後で一気に知ってパニックになるよりは、今少し知っておいた方が、心構えができるだろ?」
 稲生:「そうだね。ありがとう」

 新幹線改札口を出て、在来線コンコースに出る。
 そこから京浜東北線のホームに向かうが、途中でマリアがトイレに行った。
 それからホームに向かったので、電車は次のに乗ることとなった。

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。2番線に停車中の電車は、11時19分発、快速、大船行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕

 停車中の電車の最後尾に乗り込む。
 車内は空気清浄機の音と冷房の音とで、随分と賑やかになっていた。
 今はもちろん駅に停車中だからドアが開いているのは仕方が無いが、それに加えてコロナ対策で窓も開いている為、冷房の効きはあまり良くない。
 それでも座席に座ると、時折冷房の風が吹いてくるのだ。

〔この電車は京浜東北線、快速、大船行きです〕
〔This is the Keihin-Tohoku line rapid service train for Ofuna.〕

 稲生:「帰りのキップも買わないとなぁ……。余裕を持って、週末にする?」
 マリア:「それでいいよ」
 稲生:「了解」

〔「11時19分発、京浜東北線、快速、大船行き、発車致します」〕

 ホームに発車メロディが流れる。
 大宮アルディージャの応援歌であるが、始発駅であるだけに、結構フルコーラスが流れやすい。

〔2番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車のドアが閉まると、少しは冷房が効くようになる。
 電車が走り出すと、開いた窓からも風が入って来た。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は京浜東北線、快速、大船行きです。停車駅は田端までの各駅と上野、秋葉原、神田、東京、浜松町、浜松町からの各駅です。次はさいたま新都心、さいたま新都心。お出口は、右側です〕
〔This is the Keihin-Tohoku line rapid service train for Ofuna.The next station is Saitama-Shintoshin.JK46.The doors on the right side will open.〕

 稲生:「ん?」

 外は少し風が出て来たようだ。
 もしかしたら、ゲリラ豪雨とか、あるのかもしれない。
 それはいいのだが、風に乗ってマリアの匂いが漂って来るような気がした。

 稲生:(そうか。暑い中、駅の中を歩いたからか……汗かいたんだな)
 マリア:「勇太」
 稲生:「な、なに?」
 マリア:「着いたらミシン借りる前に、シャワー貸してくれる?」
 稲生:「いいよ!」
 マリア:「ああ、あと、エレーナのシャワーシーンの動画は削除しといて」
 稲生:「えっ?……あっ!」

 いつの間にか稲生のスマホにエレーナからメールの着信があり、しかもそれは動画が添付されたものだった。
 確かにサムネを見る限り、プールから上がったと思われるエレーナが全裸でシャワーを浴びるシーンのようである。

 稲生:「よく分かったねぇ……」
 マリア:「こう見えても、マスター(一人前)だから」
 稲生:「鈴木君にあげれば喜ぶかな?」
 マリア:「Oh!勇太、Good idea!鈴木に転送してやれ」
 稲生:「どうなっても知らないよー?」

 尚、エレーナのことが好きな鈴木は、『功徳~~~~~~!!』と、大いに喜び、エレーナは鈴木に犯される夢にうなされたという。

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