報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「鬼との戦い」

2024-03-03 16:44:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日22時00分 天候:晴 東京都板橋区常盤台 伊藤家]

 愛原「そこにいるのは分かってるんだ!隠れてないで出て来い!」

 私は下に向かって叫んだ。
 すると、下の暗闇からボウッと光る赤い光。
 明らかに、『鬼の目』である。

 高橋「先生、来ます!」
 愛原「おうっ!」

 暗闇から風を切って飛び出した来たのは……2人だった!

 栗原蓮華「愛原先生、久しぶり

 窓から差し込む月明りに、銀髪が照らされる。
 人間だった頃の面影は残っているものの、もう何人も人を食ったようだ。
 鋭い牙が覗いている。
 角は見当たらないが、元人間の鬼の場合、必ずしも角があるとは限らない。
 鬼化した蓮華とはこれで2回目の再会だが、初見の時は角があったように思う。
 人食いを繰り返しているうちに、何がしかの変化があり、角が無くなったのだろう。
 代わりに……。

 伊藤縁「わーっ!本当にリサさんが来てくれたーっ!」
 愛原「ああっ!?」
 高橋「あぁ!?」
 リサ「うへ……!」

 伊藤縁は元々小太り体型だったが、両親を食い殺したからなのか、随分と体型がデブってしまっている。

 蓮華「ねぇ、私の言った通りでしょう?私の言う通りにすれば、リサの方から来てくれるってね」
 縁「さすがは蓮華様です!」
 リサ「蓮華……様?!」
 蓮華「このキモメンは私が『鬼』にした。だから、こいつは私の下僕。リサが寄生虫に寄生させた人間を下僕にするようなものよ」
 リサ「なるほど、そういうことか」
 高橋「要は吸血鬼方式ってことじゃねーか。ブッ殺……」

 高橋はライトニングホークを取り出した。
 それで蓮華に向けて発砲しようとしたが、蓮華は目にも留まらぬ速さで、私の所へやってくる。
 そして、上目遣いで妖艶な顔をした。

 蓮華「ねぇ?あんなヤツじゃなくて、私と一緒にならない?あいつよりは、いい女だって自信あるよ?」
 愛原「お、おま……」
 リサ「ダメーッ!絶対ダメーッ!!」
 蓮華「やかましい!オマエなんかには、その程度の男で十分だ!」
 縁「リサさぁーん!結婚してーっ!!」
 高橋「あ、あいつ、鬼というか、豚みたいになってないっスか!?」
 リサ「うらぁーっ!」

 リサは脂肪をプルンプルンさせて迫って来た縁を、鋭い爪で引っ掻いた。

 縁「うぎゃぁーっ!!」
 リサ「絶対お断り!そっちも!!」
 蓮華「いい隠れ家を見つけたのよ。そこならBSAAも邪魔できない。ねぇ、私と一緒に鬼にならない?」
 愛原「そ、そんなこと言われても……」

 蓮華は私に真正面から抱き着いて、リサよりも豊かな胸を押し付けて来る。
 こんな大胆なコだったっけ?
 人間だった頃から性欲が強いのは何となく分かっていたが……。

 リサ「いい加減に離れろーっ!!」

 リサは蓮華に飛び掛かった。

 蓮華「フ……」

 直後、爆発が起きる。

 善場「な、何事ですか!?」
 マイケル「2階が爆発した!」
 ジム「グラインダー!消防署に連絡しませんと!」
 マイケル「911でいいんだっけか?」
 善場「日本では119です!というか、BSAAの消火班を呼んでください!」

 当然、外も大騒ぎである。

 愛原「わあーっ!?」

 爆発と同時に私は蓮華に担がれ、伊藤家から飛び出した。

 蓮華「愛原先生と結婚するのは、この私!」
 リサ「そうはさせるかーっ!」

 人間の女性にはさっぱりモテなかった私だが、何でこう人間を辞めた鬼女達には好かれるんだろう……。

 高橋「ね、ねーちゃん!」
 善場「高橋助手!無事でしたか!愛原所長は!?」
 高橋「栗原蓮華に拉致られた!今、リサが追ってる!で、そのリサを追って……」
 縁「リサさぁぁぁぁん!待ってぇぇぇぇぇっ!!」
 高橋「あの豚鬼野郎も走ってやがる」
 善場「オークとトロルを足しで2で割ったようなBOWになったのですね、伊藤縁君は……」
 マイケル「オラオラオラーっ!集中砲火ーっ!!」
 ジム「BSAAをナメないでくださいね!」
 レイチェル「ロケットランチャー、使いますか!?」
 マイケル「こんなのイスラエル隊からガメてきたAUG(ウージ)のマシンガンで十分だよ」

 庭では待機していたBSAAが、伊藤縁を集中砲火で倒したようである。
 では、蓮華に拉致された私はというと……。

 愛原「もう少し貴重品扱いしてくれ!」
 蓮華「大丈夫だって!鬼になれば、何てことないから!」

 蓮華は脅威的な速さとジャンプ力で、建物を飛び越えると……。

 愛原「うわっ!」

 ときわ台駅を通過した東武東上線の電車の屋根に飛び乗った。
 方向的に下りのようだ。

 蓮華「ヒャッホーッ!気~持ちい~っ!」
 愛原「無茶苦茶だ!走行中の電車の屋根に飛び乗るなんて!」

 ときわ台駅を通過したということは、少なくとも各駅停車ではないということだ。

 愛原「ほら!BSAAのヘリが追ってきたぞ!」

 ヘリが電車の屋根の上を照らす。
 そうこうしているうちに、電車は上板橋駅も通過した。
 どうやら、準急電車でも無かったようだ。

 蓮華「フッ!」

 蓮華は両手を出すと、その掌から、青白い光の球を発生させた。

 愛原「ま、まさか……!?」
 蓮華「カプコン製のヘリは墜ちるのが鉄則って、前に先生が言ってたよねぇ?」
 愛原「そんなのカプコンに言ってくれ!」
 蓮華「先生の言う事は聞かなくっちゃね!」
 愛原「おい、バカ、やめろ!」

 こんな所でヘリを堕としたら、ヘリの搭乗員はもちろん、墜落した場所で死傷者が発生してしまう!
 私は咄嗟に、蓮華のスカートを捲った。
 まだ3月だというのに、東京中央学園の夏服を着ている。
 人間だった頃は普通の長さのスカートを穿いていたのに、今ではだいぶ短くしている。

 愛原「お前もブルマを穿いてないじゃないか!リサに穿けって言われなかったのか!?」

 蓮華はブルマもスパッツも穿いておらず、白いショーツが丸見えだった。

 蓮華「きゃっ!エッチ!!」

 鬼のくせにまだ羞恥心が残っているのか、蓮華は慌てて捲られたスカートを押さえた。
 そのせいで光の球が変な方向へと飛んで行き、うち1つは電車の進行方向の線路の上に落ちた。
 線路が強く発光する。
 当然、異常に気付いた電車の運転士が警笛を鳴らしながら、急ブレーキを掛けた。

 愛原「うおっと!」

 掴まる所の無い電車の屋根の上。
 私と蓮華はバランスを崩して、電車の屋根から落ちた。
 しかも、落ちた所は上り線側。

 愛原「でっ!?」

 そこへ対向電車がやってくる。
 私は電車を避けながら、しかし蓮華をわざと電車の方に突き飛ばした。

 愛原「ううううっ!!」

 私は耳を押さえながら、線路の外に転がった。
 鈍い衝撃音がしたからだ。
 明らかに、蓮華は対向電車に轢かれた。
 これで死んでくれるか……?

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