報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「半鬼姉妹の都内観光」 3

2022-05-01 18:02:31 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月29日18:07.天候:曇 東京都中央区月島 都営地下鉄月島駅→もんじゃ焼き店]

〔つきしま~、月島~。有楽町線は、お乗り換えです〕

 豊島園駅から45分以上掛かって、月島駅に着いた。
 乗り換え無しなのは良いが、硬い席なので、少し腰や尻が痛くなる。
 それでもリサ達は……。

 リサ:「大先輩凄かったよね!リッカーの首を捩じり切るなんて!」
 凛:「そうですね」
 理子:「あの化け物、リッカーって言うんですか?」

 終始、先ほど観た映画の話題で盛り上がっていた。
 リサとしては、自分が受け継いだGウィルスの元を造り出した大先輩の活躍が嬉しかったらしい。
 GウィルスはゾンビウィルスたるTウィルスよりも取り扱いが面倒臭く、しかも一歩どころか、半歩でも間違えると大災害を引き起こす代物なのだが、上手く使うとそれはもう素晴らしいものになる。
 ここにいるリサだけ、どうして食人をせずに済むのかは未だに調査中ではあるが……。
 GウィルスとTウィルスが、上手い具合に取り込めたとしか言いようが無い。

 愛原:「さて、もんじゃストリートはこっちだ」

 地上に出て、もんじゃ焼き店が立ち並ぶ商店街に入った。

 リサ:「もう予約してるの?」
 愛原:「してるよ」

 駅から程近い所に……。

 愛原:「あった、ここだ」

 ガラガラと引き戸を開ける。

 愛原:「こんばんはー」
 店員:「いらっしゃいませ!」
 愛原:「5名で予約していた愛原です」
 店員:「愛原様ですね!こちらへどうぞ!」

 と、1階店舗の奥にあるテーブル席へ案内された。
 鉄板が2つ並んだ8人席である。
 人数が中途半端な為に、4人席では1人余ってしまう。
 そこで、どうしても4人席が2つ繋がった8人席ということになるのだろう。

 店員:「まずはお飲み物から何にしましょう?」
 愛原:「ビールで!」
 高橋:「同じく!」
 リサ:「同じく!」
 凛:「同じ……って、ええっ!?」
 愛原:「コラ、リサ!」
 リサ:「ちっ!」
 高橋:「ちっ、じゃねぇ!」
 愛原:「キミ達はソフトドリンクにしなさい」
 凛:「は、はい。ウーロン茶ください」
 理子:「カルピスで」
 リサ:「……コーラ」
 愛原:「焼き方なんだが……」
 高橋:「俺に任せてください!」
 愛原:「おー、頼むぞ!」

 既に予約と同時にコースも頼んでいる。
 夕食時の為、私達が入ると、どんどん客が入ってくる。
 混む前に予約しといて良かったと思う。
 先に、もんじゃの材料がやってくる。

 高橋:「じゃ、行きますよ!」

 高橋が慣れた様子で、もんじゃ焼きを作る。

 愛原:「さすがだな。まさか、これも少年院とかで?」
 高橋:「以前、ヤーさんの店でバイトした時にやらされたんスよ」
 愛原:「マジかよ。的屋か?」
 高橋:「そんなところです」
 愛原:「食べる時は、この小さい専用ヘラで、鉄板から直接こそぎ取って食べるんだよ」
 リサ:「食べ方だけ知ってるんだ?」
 愛原:「うるさいな」
 高橋:「リサ、余計なこと言うんじゃねぇ。鍋奉行は俺に任せろ」
 愛原:「これ、鉄板だろ。まあ、オマエなら鍋奉行任せても安心だと思うがな」
 高橋:「あざっス!」
 リサ:「それにしても、オリジナル先輩、カッコ良かったなぁ……」

 リサもまたパンフレットを買っていた。

 愛原:「オマエも顔付きのマスク被って、手枷着けてみるか?」
 リサ:「そうだねぇ……。わたしには、これで十分だよ」

 リサは鞄の中から、白い仮面を取り出した。
 目の部分だけが、横に切れ長に開いているだけの仮面だ。

 凛:「天長会の巫女の儀式用のお面ですね」
 愛原:「日本版リサ・トレヴァーのマスクは、それか」

 もんじゃ焼きの他に、お好み焼きや焼きそばもある。
 ビールがついつい進む内容だ。

 リサ:「……バカだよね、あいつら」
 凛:「何がですか?」
 リサ:「こうやっておとなしく言う事聞いていれば、こうやって美味しい物、楽しく食べれたのにさ……」
 凛:「先輩は特別なんですよ」

 恐らくリサは、他の日本版リサ・トレヴァー達の事を言っていたのだろう。
 だが、凛の言う通りである。
 例え人間の言う事を聞いていたって、味覚が人肉しか受け付けなくなるのであれば、確かにどうしようもない部分はある。
 その点、ここにいるリサは普通の食事もできる所が特別なのだと思う。
 私も、こいつは何か特別な感じがしたから、あの自爆する研究施設から連れ出したのだ。

 愛原:「お兄さん、ビールお代わり」
 高橋:「あっ、俺も」
 店員:「はい、ありがとうございます!」

[同日20:23.天候:曇 同地区 もんじゃ焼き店→都営地下鉄月島駅→大江戸線1972A電車先頭車内]

 愛原:「あー、食った飲んだ。ごちそーさん」
 店員:「ありがとうございまーす!」
 愛原:「あ、領収証よろしく」
 店員:「はい!」

 領収証を切ってもらう私。
 これも、ここにいるBOW達の機嫌を取る為の業務だお。
 会計を済ませて領収証をもらい、店の外に出る。

 凛:「先生、御馳走さまでした!」
 理子:「御馳走様でした」
 高橋:「ゴチになりました!」
 リサ:「ごちそうさま」
 愛原:「いや、いいよいいよ。これもキミ達の……卒業祝い……かな?リサは修了祝い?」
 リサ:「それじゃ、今度は入学祝と進級祝いだね!?」
 高橋:「チョーシに乗るんじゃねぇ」
 愛原:「ハハ……。それじゃまあ、行こうか?」
 高橋:「バスじゃないんスか?」
 愛原:「言っただろ?少しでも元を取るって」

 私は東京フリーきっぷが登録されたSuicaを見せて言った。

 高橋:「それもそうですね」

 帰宅ラッシュで賑わう月島駅に、再び戻る。

 愛原:「さっきの行き先の電車に乗れば、森下に行ける。そこから新宿線に一駅乗れば、 菊川だ」
 高橋:「さすがですね」

〔まもなく1番線に、両国、春日経由、都庁前行き電車が到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 ホームに辿り着くと、ちょうど電車が来る頃だった。

〔つきしま~、月島~。有楽町線は、お乗り換えです〕

 私達は電車に乗り込んだ。
 今度は若干、乗客が多かった。
 若干である。
 座席が殆ど埋まって、立ち客が数人いるくらい。
 この辺は、あまり混まないのかもしれない。
 有楽町線は混んでいるだろうが。
 乗り込むと、反対側のドアの前に立ったり、ドア横の手すりに掴まったり、吊り革に掴まったりした。
 私はというと、乗務員室扉の前に立って、前方を見ることにした。
 短い発車メロディの後で、ホームドアと車両のドアが閉まる。
 そして、電車が動きだした。

〔次は門前仲町、門前仲町。東西線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 リサも私の前にピョコっと立って、前方を眺める。

 リサ:「何だか、ネメシス君が前から突っ込んで来そう」
 愛原:「やめろよ?オマエが言うと、何か本当に起こりそうな気がする」
 リサ:「エヘヘ……」

 タイラントを手懐け、ネメシスからは違う意味でストーキングされるリサ。
 あの映画にはどちらも登場しなかったが、それでもリサ・トレヴァーを登場させたのは英断だったと思う。

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