報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「夜の帰京路」

2024-02-13 11:56:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月26日19時44分 天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 仙台市地下鉄仙台駅]

〔仙台、仙台。出入口付近の方は、開くドアにご注意ください〕

 愛原公一「おっ、もう仙台駅じゃ。地下鉄だと早いのぅ……」
 愛原学「伯父さんは降りないんだね?」
 公一「おう。お前達はここだな?気をつけて帰れよ?」
 学「伯父さんこそ、気をつけて」

 

〔せんだい、仙台。南北線、JR線、仙台空港アクセス線は、お乗り換えです〕

 仙台市地下鉄の中では、最も乗降客の多い駅である。
 ここで降りる乗客は多かった。
 もちろん、ホームで電車を待つ乗客も多い。
 私達はここで電車を降りた。
 一応、伯父さんが変な動きをしないか、電車が発車するまで待っていた。

〔4番線から、八木山動物公園行き電車が、発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕

 薬師堂駅と同じ、短い発車サインを流れる。
 バタバタと階段を駆け下りて来て、電車に飛び乗ろうとしている光景は、東京とあまり変わらない。
 運転士が先頭の乗務員室から顔を出して、ホーム監視をしている。
 そして、ホームドアと車両のドアが閉まった。
 運転士はそれを確認すると、運転席に引き込み、電車を発車させた。
 結局、伯父さんが車内で何かをすることはなかった。

〔3番線に、荒井行き電車が、到着します〕

 そうしているうちに、反対方向の電車の接近放送が流れる。

 愛原学「じゃあ、行こうか」
 高橋「はい。善場のねーちゃんに報告しなくていいんスか?」
 学「取りあえずは、新幹線乗り場に行ってからにしよう」
 高橋「分かりました」

 私達は、まずは改札口に向かった。
 ちょうどエレベーターがあったので、それに乗って改札階へ向かう。
 こういう時、垂直移動は速い。

 高橋「こういうエレベーターに乗っていると、クリーチャーが襲って来そうで緊張することがあるんですよ」
 愛原「そうか?案外、エレベーターの中は安全だと思うが?」
 リサ「うーん……わたしも、本気で追い掛ける場合はエレベーターのドアを壊してでも追い掛けるねぇ……」
 愛原「さらっと怖いこと言うなw」

 でも、実際にあったこと。
 前のマンションに住んでいた時、リサがそうしたことがある。
 侵入者達のせいであるが、あれでしばらくマンションのエレベーターが使えなくなった時があった。
 東改札口を通過して、これで仙台市地下鉄とはさようなら。
 あとは地下道を通って、JR仙台駅に向かう。
 地上に出なくも良いというのは良いのだが、実は最短ルートであっても、相互の乗り換えには結構歩くのである。

[同日20時00分~20時15分 天候:晴 同地区 JR仙台駅→東北新幹線6158B列車1号車内]

 

 JR仙台駅新幹線ホームに到着する。

 愛原「キップは1人ずつ持とう」
 高橋「あざっス!」
 リサ「わたし、先生の隣ぃ~っ!」
 愛原「だから、自由席だって」

 これから乗る列車は当駅始発なので。
 日曜日夜の上りは空いているだろう。
 キップは特急券と乗車券が1枚になった水色のタイプ。
 覚えている人もいるだろうが、かつては黄緑色の山手線のような色をしていた。
 その色のキップは券売機ではなく、窓口販売でのみ発券されていた為、その窓口を“みどりの窓口”というのはその為だ。
 JR東日本と同じ色である為、JRは東日本のみ世話になっている人達は、『JR東日本の窓口』という意味に捉えていることも結構多い。
 その為か、JR東海は“みどりの窓口”という呼称をやめ、“JR全線きっぷうりば”という呼称にしている。
 今では指定席券売機で水色のキップが買えるが、自動化された“みどりの窓口”という位置付けであるからか。
 自動改札機を通過して、コンコースに入る。

 愛原「まだ時間があるから、売店とかで何か買って行っていいぞ」
 リサ「おっ、そうする!」

 おおかた、ビーフジャーキーでも買って行くのだろう。
 その後はホームに行き、1号車が来る辺りの乗車口で列車を待つ。
 高橋とパールはその間、ホームの喫煙所で吸い溜めしに向かった。
 私は私で、善場主任にメールを打った。
 もちろん、内容は地下鉄で再会した公一伯父さんのことだ。
 さすがに時間も時間だったので、返信はすぐには返って来な……。

 愛原「……くもなかった!」
 リサ「えっ?」
 愛原「こんな日曜日の夜なのに、善場主任から返信が来たよ」
 リサ「うーむ……。さすがは、中身BOW……」

 返信の内容は、『報告ありがとうございます。愛原所長は公一容疑者の行先について、目星はありますか?』というものだった。
 そこで私は、青葉山にはヘリポートがあるので、そこから迎えのヘリコプターに乗るのではないか返信した。

 善場「かしこまりました。それではBSAAに連絡して、その辺りを捜査してもらいます」

 とのことだった。
 それはいいのだが、今更行っても、もう遅いのではないか。
 伯父さんを乗せた電車はとっくに青葉山駅に到着したし、そこからヘリポートまでどうやって行くのかは不明だが、迎えのヘリがあるということは、迎えの車もあるのではないかと思った。

〔ピン♪ポン♪パン♪ポン♪ 13番線に、20時21分発、“やまびこ”158号、東京行きが、10両編成で参ります。この電車は、福島、郡山、宇都宮、大宮、上野、終点東京の順に止まります。グリーン車は、9号車。自由席は、1号車から、5号車です。尚、全車両禁煙です。……〕

 そうこうしているうちに、接近放送がホームに響く。
 上り本線ホームである13番線から当駅始発の列車が発車するということは、下り列車の折り返しではないなと思っていたら、案の定、下り方向から列車がやってきた。
 そちらの方には車両基地があり、そこから回送されて来た列車だろう。
 到着する直前までは車内の照明も消えていたが、到着したら照明が点いた。
 行先のLEDも『回送』から『やまびこ 東京』という表示に変わる。
 車両はE2系と呼ばれる、東北新幹線では最古参の車両だった。

〔「13番線に到着の電車は、20時21分発、“やまびこ”158号、東京行きです。まもなくドアが開きます。乗車口まで、お進みください。……」〕

 ドアが開くと、私とリサは1号車の中に入った。
 まだ高橋達は戻って来ていないので、先に席だけ取っといてやろう。

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